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【書評】「アメリカは自己啓発本でできている」尾崎俊介

2026/03/30公開 更新
本のソムリエ
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「アメリカは自己啓発本でできている」尾崎俊介


【私の評価】★★★★★(91点)


要約と感想レビュー


ベンジャミン・フランクリンの13の徳

アメリカと日本の自己啓発書を、解説した一冊です。


まず、アメリカ初期の自己啓発書としてベンジャミン・フランクリン (Benjamin Franklin, 1706-1790)の「フランクリン自伝」が紹介されています。「フランクリン自伝」で注目されるのは、13の徳目でしょう。


節制、沈黙、規律、決断、節約、勤勉、誠実、正義、中庸、清潔、平静、純潔、謙譲という13の徳は、「価値観」に相当するものです。若い時には、自信満々の鼻持ちならない自信家だったフランクリンは、こうした13の徳を大切にすることで、植民地全権委任代表となり、「独立宣言」起草のための「五人委員会」の委員に就任することになるのです。


そしてベンジャミン・フランクリンの徳を大切にする人格主義に影響を受け、現代に再構築したのが、スティブン・R・コヴィーの「7つの習慣」なのです。


スティブン・R・コヴィーの「7つの習慣」・・・コヴィは元々自己啓発本の研究者だった・・・コヴィーは自ら掲げたの原点を、ベンジャミン・フランクリンに見ていたのだ(p39)

天は自ら助くる者を助く

「天は自ら助くる者を助く」という自己啓発がアメリカと日本で多くの人に受け入れられた背景には、過去の不自由な社会背景があったと解説しています。


そもそもアメリカは、キリスト教プロテスタントの中で最も厳格なカルヴァン主義が主流であり、神がすべてのことをあらかじめ決めているという「予定説」が信じられていました。


しかし、「個人の努力次第で天国に行ける」という「新しい考え方(=ニューソート)」が広がり、自己啓発が注目されたのです。


日本でも江戸時代には「士農工商」という身分制度がありましたが、明治に入ってこの身分制度が撤廃されると、身分によらず「立身出世」が可能な世の中になったのです。そこに「天は自ら助くる者を助く」という自己啓発本が読まれる背景があったわけです。


アメリカの場合、厳格なカルヴァン主義に基づくピューリタニズムが蔓延していた社会がまずあって、そこにニューソートという新しい宗教概念が入り込み、「個人の努力次第で天国に行けるようになるかもしれない」という希望的観測が生まれた(p44)

自分自身が変わるほかない

自己啓発本の内容は、自助努力系でも引き寄せ系でも、ポジティブ・シンキング系でも、「良い人生を求めるなら、自分自身が変わるほかない」という内容です。思考が変われば行動が変わり、行動が変われば習慣が変わり、習慣が変われば運命が変わるという考え方なのです。


この本では、ある物書きが、クレメント・ストーンに「大きな目標を設定しなさい」とアドバイスされ、「年収を十万ドルにしたい」と目標を設定したら、簡単に年収9万ドルになり、「年収百万ドルも叶うに違いない!」と目標を変えたら、出版した「こころのチキンスープ」がベストセラーになり、百万ドルの小切手が届いたという事例を紹介しています。ジャック・キャンフィールドさんですね。


暗示の力というか、諦めない信念の力の影響もあると思いますが、そもそも思わなければ、叶う可能性はゼロなので、大きな目標設定は必須なわけです。もちろん、あまりに悲惨な状況で、ポジティブ・シンキングはどうなの?という批判はあるのです。


例えば、乳がんになって命の危機なのに、「乳がんは私の人生で最高の贈り物です!」と前向き発言に批判する人もいますが、それでも精神的に落ち込むよりは、楽天的なほうがいいという考え方なのです。


自分の運命は自分の意思によってどうとでも選べる(p29)

自己啓発本110冊

著者はアメリカ文学の研究者ですので、なぜアメリカで自己啓発が好まれるのかという分析も素晴らしい。


私が数えたところ、110冊くらいの自己啓発書が出てきますが、9割は既読でした。オグ・マンディーノの「地上最強の商人」も紹介されており、よく読み込んでいる印象でした。


ただ、私は「地上最強の商人」の巻物を7年間読み続けた人なので、金持ちになりたければ、セールスマンになれ!という現実主義があるという著者の解説に、「そんなに浅い内容じゃないんだけどね」と反感を感じてしまいました。


ともあれ、自己啓発本を解説した本としては、すばらしいまとまりではないでしょうか。尾崎さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言


・「森の生活」の著者であるヘンリー・デイヴィッド・ソロー・・自分を世間から一旦切り離し、他人と比べたり他人の評価を気にしたりすることなく、自分お流のシンプルで豊かな生活を送る(p181)


・コーチング理論のキーワードは「選択」と「責任」である。部下自身に「選択」させ、その選択に「責任」を持たせろ、というわけだ(p214)


・「ダイヤモンドを探せ」・・ラッセル・コンウェルによれば、「金持ちになるチャンスはどこにでも転がっている」(p103)


・「印税で1億円稼ぐ」・・・第一作に魂を込めろ・・常に一万部売れる本を目指すこと・・百冊で百万部到達を目指す(p5)


▼引用は、この本からです
「アメリカは自己啓発本でできている」尾崎俊介
Amazon.co.jpで詳細を見る
尾崎俊介 (著)、平凡社


【私の評価】★★★★★(91点)


目次


はじめに
千田琢哉「印税で1億円稼ぐ」


第1章 自己啓発思想の誕生
「スウェーデンボルグの思想」高橋和夫
フランクリン自伝」ベンジャミン・フランクリン
「ニュー・アメリカニズム」巽孝之
カーネギー自伝」 アンドリュー・カーネギー
「西国立志編」(「自助論」)サミュエル・スマイルズ
「前進あるのみ」オリソン・S・マーデン
「完訳 7つの習慣」スティーブン・R・コヴィー
「学問のすゝめ」福沢諭吉
「代表的日本人」内村鑑三
「後世への最大遺物・デンマルク国の話」内村鑑三
「修養」新渡戸稲造
「努力論」幸田露伴
「高橋是清自伝」高橋是清
「道をひらく」松下幸之助
「夢をかなえるゾウ」水野敬也


第2章 引き寄せ系自己啓発本の誕生
「原因」と「結果」の法則」 ジェームズ・アレン
「ニューソート その系譜と現代的意義」マーチン・A・ラーソン
「コピペされ、拡散されるエマソン」 尾崎俊介
「引き寄せの法則 すべての願いが現実になる」ウィリアム・W・アトキンソン
「確実に金持ちになる「引き寄せの法則」」ウォレス・ワトルズ
「ザ・マスター・キー」 チャールズ・F・ハアネル
「願望物質化の「超」法則」 ジュヌビエーブ・ベーレン
「自己暗示」 C・H・ブルックス/エミール・クーエ
「世界はどうした って「あなたの意のまま」」 ネヴィル・ゴダード
マーフィー眠りながら成功する」ジョセフ・マーフィー
「ザ・ストレンジスト・シークレット」 アール・ナイチンゲール
「富と成功をもたらす 7つの法則」 ディーパック・チョプラ
「引き寄せの法則」 マイケル・J・ロオジエ
「ザ・シ ークレット」 ロンダ・バーン
「こころのチキンスープ」 ジャック・キャンフィールド/マーク・ビクター・ハンセン


第3章 ポジティブであること
「積極的考え方のカー 成功と幸福を手にする17の原則」ノーマン・V・ビール
「「宇宙の力」を使いこなす方法」 キャサリン・ポンダー
「あなたはできる 命が変わる7つのステップ」ジョエル・オスティーン
いかにして自分の夢を実現するか思いどおりの人生を築くためにすべきこと」ロバート・シュラー
「チーズはどこへ消えた?」 スペンサー・ジョンソン
「ポジティブ病の国、アメリカ」 バーバラ・エーレンライク
「チーズは探すな -他の誰かの迷路の中でネズミとして生きることを拒んだ人たちへ」ディーパック・マルホトラ
「それでも人は、楽天的 な方がいい」シェリー・E・テイラー


第4章 「お金持ちになろう!」アメリカの成功哲学
「ダイヤモンドを探せ」 ラッセル・コンウェル
世界最強の商人」 オグ・マンディーノ
「バビロンの大富豪」ジョージ・S・クレイソン
「アルケミスト ―夢を旅した少年」パウロ・コエーリョ
「夢をかなえるゾウ」水野敬也
「オレなら、3秒で売 るね!圧倒的に売れまくるクールでパワフルなマーケティング」マーク・ジョイナー
「アンソニー・ロビンズの運命 を動かす」アンソニー・ロビンズ
「アンソニー・ロビンズの自分 を磨く」アンソニー・ロビンズ
「ジグ・ジグラー のポジティブ思考可能性を開く6つのステップ」ジグ・ジグラー
「となりの億万長者―成功を生む7つの法則」トマス・J・スタンリー/ウィリアム・D・ダンコ


第5章 年長者が人生を説く父から息子への手紙
キングスレイ・ウォード「ビジネスマンの父より 息子への30通の手紙」
キングスレイ・ウォード「ビジネスマンの父より 娘への25通の手紙」
フィリップ・チェスターフィールド「わが息子よ、君はどう生きるか」
ロジャー&チャーリー・モーティマー「定職をも たない息子への手紙」
ポール・トーディ「イエメンで鮭釣りを」
吉野源三郎「君たちはどう生きるか」


第6章 日めくり式自己啓発本
「プーア・リチャードの暦(「若き商人への手紙」)」 ベンジャミン・フランクリン
ヒルティ「眠られぬ夜のために 第 一部」
シャクティーガーウェイン「マインド・カレンダー」
サラ・バン・ブラナック「シンプルな豊かさ 癒しと喜びのデイブック1月~6月」
サラ・バン・ブラナック「シンプルな豊かさ 癒しと喜びのデイブック7月~12月」
H・D・ソロー「森の生活」
グレッチェン・ルービン「人生は「幸せ計画」でうまくいく!」
アリアナ・ハフィントン「サード・メトリック」
桑原武夫編「一日一日―人類の知恵」
岩波書店編集部編「岩波新書の90年」
井上裕介「日めくり まいにち、ポジティヴー」
萩本欽一「まいにち運がたまる!欽ちゃんの日めくりカレ ンダー」
ぺこば「日めくり毎日へこば」
飯尾和樹「まいにち、飯尾さん」
瀬戸内寂聴「笑って生ききる 日めくりカレンダー」
吉弘行「365日くらやみカレンダー」
アン・ミカ「ポジティブ日めくりカレンダー 毎日アンミカ」
なかやまきんに君「なかやまきんに君の[日めくり]パワ ワード!」
高岸安行「毎日「やればできる!」 ティモンディ高岸の魔法の 愛ことば」
「日めくり まいにち、修造!」 松岡修造


第7章 スポーツ界の自己啓発本

「最新版 ス ポック博士の育児書」ベンジャミン・スポック/マイケル・B・ローゼンバーグ
「奇蹟のランニング」ジェイムズ・F・フィックス
「ジェーン・フォンダのワークア ウト」ジェーン・フォンダ
「ビー・ヒア・ナウ」ラム・ダス/ラマ・ファウンデーション
「インナーゲーム」W・T・ガルウェイ
「インナーゴルフ」W・T・ガルウェイ
「インナーワーク」ティモシー・ガルウェイ
「はじめのコーチング」 ジョン・ウィットモア
「ポータブル・ コーチ」トマス・レナード
「アンソニー・ロビンズの運命 を動かす」 アンソニー・ロビンズ
「アンソニー・ロビンズの自分 を磨く」アンソニー・ロビンズ
「コーチングの神様が教える「できる人」の法則」マーシャル・ゴールドスミス/マーク・ライター
「完訳 7つの習慣」スティーブン・R・コヴィー
「沈黙の季節 更年期をどう生きるか」 ゲイル・シーヒー
「心を整える。勝利をたぐり寄せるための5 の習慣」長谷部 誠
「察知力」中村俊輔
「上昇思考」長友佑都
「やめないよ」三浦知良
「とまらない」三浦知良
「カズのまま死にたい」三浦知良
「信念を貫く」松井秀喜
「采配」落合博満
「野村ノート」野村克也
「吉井理人コーチング論」吉井理人


第8章 自己啓発本界のトホホな面々
「アンソニー・ロビンズの運命 を動かす」アンソニー・ロビンズ
「BASHAR 2006 バシャールが語る魂のブルーブリント」バシャール(ダリル・アンカ)
「カーネギーとジョブズの人生を拓く天国の対談 アドラー哲学を実践して得た100の金言」永江誠司
「人を動かす」デール・カーネギー
「嫌われる勇気」岸見一郎・古賀史健
「アメリカインディアンの教え」加藤諦三
「子 どもが育つ魔法の言葉」 ドロシー・ロー・ノルト/レイチャル・ハリス
「一歩ずつ幸せに近づく本 当り前のことを当り前のように」アニー・コール
「水は答えを知っているその結晶にこめられた メッセージ」江本勝
「人生がときめく片づけの魔法」近藤麻理恵
「こうして、思考は現実になる」パム・グラウト


著者経歴


尾崎俊介(おざき しゅんすけ)・・・1963年神奈川県生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科英米文学専攻後期博士課程単位取得。現在、愛知教育大学教授。専門はアメリカ文学・アメリカ文化。


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