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【書評】「サード・メトリック しなやかにつかみとる持続可能な成功」アリアナ・ハフィントン

2026/05/13公開 更新
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「サード・メトリック しなやかにつかみとる持続可能な成功」アリアナ・ハフィントン


【私の評価】★★★☆☆(77点)


要約と感想レビュー


金と権力の先にあるもの

2005年にニュースサイト「ハフィントンポスト」を創設し、タイム誌「世界で最も影響力のある100人」に選出されたアリアナ・ハフィントン氏が、自らの挫折体験から導いた「真の成功」論をまとめた一冊です。


著者はハフィントンポストの創業当時、週7日・1日18時間働き続けていました。しかし2007年、疲労と睡眠不足のために自室のオフィスで倒れ、頬骨を骨折するという重傷を負います。


この体験で著者が気づいたのは、「金と権力という基準では成功していたが、自分の人生はめちゃくちゃだった」という現実でした。では真の成功とは何なのか。そこから著者は、金と権力に次ぐ3番目の成功基準「サード・メトリック(第三の価値観)」を探り始めたのです。


著者が辿り着いた答えは、幸福(ウェルビーイング)、知恵(ウィズダム)、不思議と驚き(ワンダー)、与えること(ギビング)という4つの要素です。本書はその一つひとつを、著者自身の体験と研究データを交えながら説明しています。


時代とともに、私たちの社会では「成功=金と権力」になってしまった(p15)

幸福(ウェルビーイング)

著者が幸福のための最初の処方箋として挙げるのが、睡眠と瞑想です。


自らの骨折という体験を踏まえ、著者は2011年にハフィントンポストの編集部に「昼寝ルーム」を2部屋設置します。睡眠を犠牲にして働くことの無意味さが、やっと認知されつつあるのです。


瞑想についても著者は強く推奨しています。かつては「ヒッピー風のニューエイジ的な現実逃避」と見なされがちだった瞑想が、生産性・積極性・健康・ストレス軽減に効果があると研究で示されており、広く実践されるようになってきたといいます。


そして、自分が亡くなったとき、葬儀で語られるのはいくら稼いだかではなく、どんな人間関係を築いたか、家族や友人にとってどれほど大切な存在だったか、何に情熱を傾けていたか、何を楽しんでいたかではないかと、著者の問いかけるのです。


就寝時間は飛行機や列車の出発時刻と同じで、絶対に変えられない予定だとみなすべきだ・・・そのために、その他のすべての予定を調整しなければならない(p104)

与えること(ギビング)

与えることは、人を幸福にします。研究によると週1回のボランティア活動が生み出す幸福感は、年収が2万ドルから7万5,000ドルに増えたときと同等だという。


ビジネスの事例では、スターバックスのハワード・シュルツCEOが、収益が落ち込んだ局面でも投資家からの医療保険費用削減圧力を跳ね返し、週20時間以上働くパートタイム従業員にも保険制度を適用し続けた判断は、従業員の愛社精神を高め、長期的な企業価値を守ることになりました。


そして興味深いのが、ハーバード大学が1938年から75年間にわたって男性卒業生268人を追跡調査した「グラント研究」の結論です。幸福は、富でも地位でも業績でもなく、良好な人間関係こそが幸福の源泉であるという結論は、説得力があります。


そして、こうした思いやりや利他主義は生まれ持った特性ではなく、経験や訓練で育成可能なスキルだとの研究が証明しているのです。


ハーバード大学は1938年から、男子卒業生268人の人生を追跡調査する「グラント研究」を実施してきた・・・75年と2000万ドルかけたグラント研究の結論はとても単純。すなわち「幸福とは愛」ということだ(p207)

知恵(ウィズダム)

「知恵」の章では、著者はメディア業界のスクープ至上主義を批判し、気候変動・経済格差・薬物対策といった社会課題への対応不足も批判しています。 しかし、このように批判できるとは自らもメディアとしてよほど記事に自信があるのでしょうか。「ハフィントンポスト日本版」が朝日新聞と提携している点も含めて心配になりました。


また、本書全体を通じて気になるのは、著者自身が「金と権力のためにハフィントンポストを創業した」という事実です。今は金と権力だけではないと著者は書いていますが、いかにアメリカが金と権力に支配されているのかということなのでしょう。

 
ハフィントンさん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言


・イギリスの詩人テッド・ヒューズは・・・人が後悔する唯一のこと、それは十分に大胆になれなかったこと、十分に心を投じなかったこと、十分に愛さなかったことだ(p207)


・アメリカンドリームという成功の概念は、今や物質の所有によって定義されている。豪邸や車、ヨットやプライベートジェット(p26)


・死んでしまえば触れられないことに、なぜこの世での限られた時間を費やすのだろうか?(p29)


▼引用は、この本からです
「サード・メトリック しなやかにつかみとる持続可能な成功」アリアナ・ハフィントン
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アリアナ・ハフィントン (著)、CEメディアハウス


【私の評価】★★★☆☆(77点)


目次


1 ウェルビーイング
2 ウィズダム
3 ワンダー
4 ギビング


著者経歴


アリアナ・ハフィントン(Arianna Huffington)・・・1950年ギリシャ・アテネ生まれ。「ハフィントンポスト」創設者、プレジデント、および編集長。16歳でイギリス・ケンブリッジ大学に入学し、経済学を修める。2006年と2011年にタイム誌の「世界で最も影響力のある100人」に選出されるなど、「ハフィントンポスト」を世界的なメディアに育て上げる。二人の娘の母。


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