「結果を出すチームのリーダーがやっていること NECで学んだ高効率プロジェクトマネジメント」五十嵐 剛
2024/06/11公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★★(91点)
要約と感想レビュー
トップダウンで部長になる
NECで39歳で部長、社長賞を4度受賞した著者の仕事術を教えてもらいましょう。著者は30代、40代はリーダーとして365日、24時間働きながら、細かく指示し、トップダウンで部下を管理しながら仕事をしてきたという。
具体的には、部下に「ゴール」と「期限」と「優先順位」を示して、指示内容もその場で復唱させていたという。数日かかる仕事の場合には、指示内容や作業計画表を提出させ、初日に中間報告してもらうなど、指示が正しく伝わっているのか細かく管理していたのです。これは指示内容が適切に伝わってないことが何度もあり、やり直しや手直しによって納期を守れないことが多発していたからでしょう。
こうしたきめ細かい管理によって、著者は成果を出し、著者は39歳で部長職にまで出世することになったのです。
納期に影響する可能性が出てきた場合には即座に報告・・このルールを守れなかったら人事評価を下げる、と言明してもいいくらいです(p86)
人は自分で決めたことにしか動かない
50代には、数十億円の大赤字となっていたプロジェクトの火消し役に任命されます。いかに著者が、NECの切り札として期待されていたのかわかります。ところが、それまでの仕事のやり方では事態は改善せず、ストレスで著者は難聴になってしまうのです。そこで上司からのアドバイスにより、叱責ではなく現場の声を聞き、それらを仕事の進め方に反映するボトムアップ型に変更したところ、成果が出てきたと言う。
具体的には、メンバーと対話しながらスローガンを作り、その実現に必要な「役割」をメンバーに割り振りました。また、メンバー一人ひとりに役割と権限を与えたのです。するとメンバーは目に見えて、自分で考え、自ら動くようになったという。それまで、トップダウン型のやり方では、メンバーに生気も元気もなかったのに、ボトムアップだとメンバーも自分もやる気が出るようになったのです。この体験から著者は、「人は、自分で決めたことにしか動かない」と気付いたのです。
現場のメンバーの声を吸い上げ、仕事の進め方にそれらを反映するボトムアップなやり方のほうが・・メンバーのモチベーションが上がる(p7)
目標はメンバーごとに議論して決める
著者はそれまでのトップダウン型にボトムアップ型の仕事のやり方を加えることの効果を体感し、社長に直訴して、会社変革室長として、NECの仕事のやり方を変え、4回目の社長賞受賞しました。
著者は仕事の目標設定では、チームの各メンバーごとに1時間、一緒に議論して決めています。また、仕事を指示する際には、「なんのため」にその仕事をやるのか、その理由をメンバー全員が納得するように配慮しているという。さらに、メンバーのやる気に配慮して、期待した水準以下だったとしても、まずは褒めて感謝するようにしているというのです。
こうした配慮によりリーダーへの信頼感があれば、現場の担当者が何か違和感を持ったら、遠慮なくリーダーに報告してくれるようになるという。著者のボトムアップの取り組みは、メンバーのやる気を引き出し、風通しのよい職場にしているように見えました。ボトムアップの内容も、普通の職場でも活用しやすい内容と感じました。五十嵐さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・誰のための仕事かを明確に・・そうしないと、見当外れな方向性でメンバーが「頑張って」しまう可能性がある(p38)
・7人のサブリーダー(直属のメンバー)・・1人は予備として残し・・通常業務や各サブチーム間の調整業務などを担当してもいます(p58)
・ルールを明確化しておく・・基本設計に影響が出る仕様決定については、その場で了承せず、必ずいったん社に持ち帰りリーダーの判断を仰ぐ(p130)
【私の評価】★★★★★(91点)
目次
第1章 すぐマネできて機能的!「自働するチーム」のレシピ
第2章 リーダーは超ラク! メンバーに「任せる」進捗管理
第3章 成果につながる! 風通しのよい雰囲気づくり
第4章 モチベを引き出す! メンバーとのコミュニケーション術
第5章 グイグイ信頼される! リーダーの習慣
第6章 みんなが安心! ピンチを成長に変える「トラブル対応」
著者経歴
五十嵐 剛(いがらし つよし)・・・株式会社リーダーズクリエイティブラボ 代表取締役CEO。いきいきチーム創り仕掛け人。長野県東御市出身。大学卒業後、NECのグループ会社に就職。NEC本社に逆出向。官庁の大規模システムプロジェクトを担当する。年間売上600億円、メンバー1000人を超えるプロジェクトのリーダーとして、トップダウン型のマネジメントで社内外の期待に応える。2001年、グループ12万人のうち100人だけが選ばれるNEC社長賞を受賞し、39歳で部長に昇格。2007年、公共機関の大規模システムの改変を担当。2009年に二度目の社長賞を受賞。実績を買われ、数十億円の大赤字を出していたプロジェクトの火消し役に任命。24時間働くようなスタイルだったために突発性難聴を発症し、右耳聴力を失う。それでも事態は改善せず、プロジェクトが機能しなくなる危惧を覚えて上司に相談したところ、叱責ではなく現場を第一に考える「リーダーの在り方」に触れ、人生の転機となる。以来、的確に指示を行うトップダウンと、メンバーをリスペクトして一緒に考えるボトムアップを組み合わせるマネジメントスタイルへと切り替える。すると、わずか半年でプロジェクトが生まれ変わり、業績もV字回復。2015 年に3回目の社長賞を受賞。社長に直訴し、会社変革組織を設立して初代室長を拝命。改革活動が評価され、2016年に前例なき4回目の社長賞受賞。2023 年にNEC を定年退職、株式会社リーダーズクリエイティブラボの代表取締役CEOに就任。リーダーの育成や、結果を出すチームビルディングについて支援している。趣味は寺社仏閣巡りと御朱印集め、日本酒と蕎麦、ビールとラーメン。ラーメンは自作ラーメンも入れて年間300食以上食す。
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