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【書評】「だいじょぶだぁ~不登校・うつを経験した精神科医の読む薬」平光源

2025/04/10公開 更新
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「だいじょぶだぁ~不登校・うつを経験した精神科医の読む薬」平光源


【私の評価】★★★★★(92点)


要約と感想レビュー


薬に頼らず考え方を変える

宮城県仙台市に薬に頼らず1000人以上の心の病を解決し、3か月先まで予約が埋まる精神科医がいるという。精神科医というと患者の話を聞いて、薬を処方するというイメージですが、著者の手法はどのようなものでしょうか。


まず、患者の不安に対しては、考え方を変えるようアドバイスしています。例えば、自信が持てない人に対しては、「気が弱いということは,心がとても繊細で優しいという長所ですよ」と伝えています。


また大病を患って家族に介護してもらっている母親が罪悪感で苦しんでいるケースでは、「その罪悪感は,もとは家族を思いやる「愛」なんです」と説明しています。このようにマイナスのように見えることにも、実はプラスの面もあるわけで、それを患者に伝えているのです。


ADHD(注意欠如・多動症)の特性は,医学的には「原始時代の狩人の能力」と言われていて,動くものを見つけて素早く反応する能力なんです(p23)

自分の失敗談を話す

著者の必殺技は、患者に自分の失敗談や経験を話すことです。例えば、過去の失敗がトラウマになって前に進めない人には、自分が医学部受験に失敗して3年浪人してうつになった経験を語っています。


また、叱られるのが辛い人には、自分が外科の研修で先輩の厳しい言葉に泣いた経験を語っています。患者からすると、どっちが医者で患者なのかわからなくなって、親近感を持ち、ホッとするのかもしれません。


眠れなくなってしまった人にも、自分が眠れない場合は、むずかしい哲学書を読むことを伝えています。経験談はわかりやすいのです。


受験勉強に失敗し,3浪が決まったあとの2カ月ぐらいは,うつ状態になって,ヒゲも伸ばし放題で風呂にもろくに入らずに,死人のようにベッドに横たわっていました(p34)

精神科というより人生相談所

上司から「そのやり方じゃダメだ」と言われて落ち込んでいる人には、「否定された」と受け取るよりも、「こうしたらうまくクリアできる」と教えてくれていることを教えています。


ビジネスをしていて、お金を請求するのが苦手でどうしてもサービスをしすぎてしまう人には、お金は,愛と感謝のエネルギーであり、豊かさとはお金を循環させることであることを教えています。


また、退職後に家にいる夫にイライラしている主婦には、感情を変えるのは難しいので、「行動」を変えることをアドバイスしています。例えば,週に2日は,夫に外出してもらって,外で昼食を食べてきてもらうとストレスも減るというわけです。


ここまでくると、精神科医というよりよろず相談所というか、人生相談のような内容となっています。


上司が「そのやり方じゃダメだよ。こうしたらうまくクリアできるよ」と大切なクリアの秘密を教えてくれるのを「叱られた」「否定された」とネガティブに取ってしまうのは本当にもったいない(p82)

薬に頼らない精神科医

実は、著者は東北地方の地方病院を転々とする、やる気のないしがない勤務医だったのです。しかし、2011年の東日本大震災を経験して、「一度しかない人生だから,ここで死んだと思ってやりたいことをやってみよう!」と思い立ち,「薬に頼らないクリニック」を開業したという。素晴らしい!


著者は「薬に頼らないクリニック」を目指していますが、逆にいえば、精神科医は薬に頼っているという現状が見えてきます。もう少し調査を進めます。平さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言


・あなたの過去の闇は,消すべき不要なものではなく,あなたの人生を光に変える大切な宝物(p36)


・私の生きる定義は・・「さまざまな経験を経て自分を楽しもう!」ということです(p129)


・Q:期待に応えようとしすぎてしまう・・A:あなたの人生はあなたのものです。たとえ親の願いとまったく逆であったとしても,自分の願いがあるのなら,それを大切にしてください(p93)


・Q:いつも時間に追われて,やりたいことができない・・・A:あなたの時間は,あなたの命です・・本当に必要なこと以外は思い切って捨ててしまいましょう(p127)


▼引用は、この本からです
「だいじょぶだぁ~不登校・うつを経験した精神科医の読む薬」平光源
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平光源 (著)、英智舎


【私の評価】★★★★★(92点)


目次

第1章 「だいじょぶだぁ~」と思える思考のコツ
第2章 人間関係の処方箋
第3章 時間の悩みへの処方箋
第4章 お金の悩みへの処方箋
第5章 健康の悩みへの処方箋


著者経歴

平光源(たいら こうげん)・・・東北地方でクリニックを開業。高校時代、自分の不登校によって医学部受験に失敗。3年浪人してうつになり、ある本がきっかけでうつから回復した経験をふまえて、約25年精神科医として心のケアに当たる。支援学校学校医、老健施設往診医、いのちの電話相談医、傾聴の会顧問など、その活動は多岐にわたる。精神保健指定医、精神科専門医、日本医師会認定産業医。


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