「あなたが死にたいのは、死ぬほど頑張って生きているから」平光源
2021/04/12公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★★(91点)
要約と感想レビュー
他人と比較して一喜一憂
私は死にたいと思ったことがないので、死にたいと思う人はどうして自死を選ぼうとするのか、知りたくて手にした一冊です。精神科医の著者が教えるのは、死にたいという人は、自分に生きる価値がないと思っているということです。最初に「良く生きねば」ならないという真剣な思いがあり、社会で生きていく中で、人に評価されるべきと思いこむのです。
評価される自分になりたいという思いと、それを満たすことのできない自分を発見すると、そんな自分を許すことができくなるという。そこから自分で死を選択してしまうという。著者が伝えたい大切なことは、他人と比較して一喜一憂するのではなく、いまの自分を認めて、現時点で理想の自分でないことを諦め許すことなのです。
生きるからには「良く生きねば」という制限が加わる。さらに、人と人との関わりの中で、人間関係の制約が生まれて、「良く思われなければ」が生まれる。続いて、そのための「価値を作らなければ」という制限が生まれて、自分の価値に悩み、価値がないと絶望し、死にたくなる(p49)
「死にたい」と口にする人
著者の平(たいら)さんは、「死にたい」と口にする人のほとんどは、本当に「死にたい」のではないという。死にたいという受験生の例では、自分を認めてくれない父に自分を認めてほしいという本音が隠れていました。受験に失敗し、父の期待に答えることができないから、耐えられず死を考えてしまうのです。
著者の患者さんと対応してきた経験では、患者さんが一度死んだつもりになってリセットできるかどうか。そこに思い込みを乗り越えるヒントがあるという。「自分が死んだ」ということを受け入れると、それまで自分を縛っていた思い込みから開放されるのです。「死」はただの終わりですから、まずは、死なずにリセットできるかどうかなのです。例えば、「親や夫の言うことを聞かなくてはいけない」とは思わずに、いったん親と別居してみるのもよいのでしょう。
思いがけない一言が私の口からこぼれました。「死んでもいいよ」・・・びっくりしたように丸くなった彼女の瞳から、堰を切ったように大粒の涙がこぼれ落ちました・・・「自分が死んだ」と思って行動することでどんどん解放されていったのです(p21)
簡単に死なないほうが良い
私がどうして死にたいと思わないかといえば、両親や周囲から十分に愛されてきたからだ、と思いました。著者の言う通り、今のままであなたは素晴らしい、このままの自分でよいのだと思えなければ、周囲から攻撃されれば苦しくなってしまうのです。そうして「ああすれば良かった」とか、「なんで分かってくれないんだろう」というような、後悔や、不満や悩み続けるのはもったいないのです。
しかし、人それぞれ生まれ育った環境は違うし、どこかで人格を否定する人が出てくることは仕方がないことです。いじめを主導している人は、ターゲットをイジメ殺した後も、のうのうと生きていけます。"いじめ殺す"のは、完全犯罪なのです。生きていれば復讐することは可能ですので、簡単に死なないほうが私は良いと思います。平さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・何かをしなくては自分を好きになれないような自己肯定感はいらない。いまのあなたで十分、素晴らしい!(p97)
・プラス思考は突然変異、マイナス思考が正常・・・自然界においては、マイナス思考が正常で標準だからです(p53)
・自分が人に希望や感動を与えられないなら、生きている価値がない・・・思い通りにならない現実を目の前に、こんな自分なら死んだほうがいいと錯覚し、本当に実行してしまいます(p159)
【私の評価】★★★★★(91点)
目次
第1章 あなたが死にたいのは、死ぬほど頑張って生きているから
第2章 弱い自分をそのまま愛する。それが本当に強い人
第3章 心だけでも、新しい自分に生まれ変わる
第4章 生きている人ができることは、生きること
著者経歴
平 光源(たいら こうげん)・・・東北のとある精神科クリニックを営む、精神科医。薬に頼らずに1000人の心の病を寛解させたことが評判となり、現在では3か月先まで予約が殺到している。
精神科医関係書籍
「あなたが死にたいのは、死ぬほど頑張って生きているから」平光源
「自己評価の心理学―なぜあの人は自分に自信があるのか」
「「苦しい」が「楽しい」に変わる本 ー「つらい」を科学的になくす7つの方法」樺沢 紫苑
「精神科医Tomyが教える 心の荷物の手放し方」
「精神科医は腹の底で何を考えているか」春日武彦
「人生に、上下も勝ち負けもありません 精神科医が教える老子の言葉」野村総一郎
「患者のカルテに見た自分」中沢正夫
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