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「不安な時代に踏み出すための「だったらこうしてみたら?」」植松 努

2022/12/12公開 更新
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「不安な時代に踏み出すための「だったらこうしてみたら?」」植松 努


【私の評価】★★★★★(94点)


要約と感想レビュー

植松さんは成績が悪かった

解体現場で鉄くずをくっつけるバッテリー式マグネットを販売しながら、北海道でロケット開発を行っている植松さんの一冊です。植松さんは子どもの頃から飛行機やロケットが大好きで、スペースシャトルの英語の本を買って勉強していたという。パソコンで飛行機を飛ばすための難しい方程式も、微分も積分も解いていたのに、学校では数学の問題を解くことができなかったという。


つまり学校の試験は暗記中心で、パソコンも文献も持ち込み禁止なので筆算ができない植松さんは成績が悪かったのです。そんなロケットの本を読む時間があったら試験のための勉強をしろ!と先生に言われ、テストのたびに怒られて、算数や数学が嫌いになったというのです。勉強ができないから進路指導の先生は、飛行機やロケットの勉強をするために国立大学に生きたいという植松さんに対し、「この成績では絶対無理」「身のほどを知れ」と言い放ったという。


結局、植松さんは国立大学に合格するのですが、大学に行ってわかったのは、大学で学ぶ流体力学や物理学は、子どもの頃に自分で勉強していたことと同じ内容だったのです。大学の試験では資料を持ち込んでもいいし、そもそも研究に答えはないのです。社会人になってからも、会社の資金繰りや人事採用や技術開発で、学校で暗記したようなことは必要なかったのです。必要なことは調べればいいし、専門家に聞けばいいからです。


「身のほどを知れ」と誰かに言われたら・・「ああ、この人は、学ぶことをやめたかわいそうな人なんだ」と思えばいいんです(p42)

やりたいことをワクワク勉強する

確かに今の学校というのは、暗記中心で、言われたことや決まっていることを正確にこなしていく、従順で官僚的な人を作るための仕組みなのでしょう。社会人のように世の中の知恵や人脈を使って成果を出すための訓練は、大学以降、または社会人になってから学ぶことになるのです。


植松さんは、以前、LEGOの全国大会に出場するという子どもに出会いましたが、彼の学校の先生は、その大会に出るために学校を休むのを許可してくれないので、参加できないというエピソードを紹介しています。衝撃を受けました。現代社会は、ゲームのプロがいるくらい。遊びを商売にしている会社が多いのですが、高校までの教育は社会から隔離されたものとなっているのでしょう。


それでも私達は社会で生きていかなくてはいけません。だから植松さんはこうした本を書いて、子どもたちが、自分でやりたいことをワクワク勉強して頑張ってほしいと願っているのです。自分を同じ経験をしてほしくないのでしょう。


いまの中学や高校では、「学びたい」を考えるヒマがありません。そんなヒマがあったら、受験対策の勉強をして、少しでも偏差値が高い高校に行ったほうがいい、と教えられてしまいます(p104)

だったらこうしてみたら?

著者の提案は、やりたいことがあったら「どうせ無理だよ」と考えるのではなく、やりたいことをやって、壁にぶつかりながら「だったらこうしてみたら?」と考えていくことです。社会や学校で、私たちは「どうせ無理」と言う人たちと戦っていかなくてはなりません。そうした人たちに負けない人を増やしたいのです。


大好きなことや、やりたいことをやってみようということです。今の時代は趣味や遊びが、商売になる豊かでよい時代なのです。仮に大好きなことが商売にならなくても、人の役に立つことを別にやりながら、やってみたいことをやる自由が社会人にはあるのです。人の役に立つ仕事をして、生きていくために最低限のお金を稼げば、あとは自分の好きなことをしてもOK。植松さんの場合は、人の役に立つ磁石を研究しながら、空いた時間でロケットの研究をしているわけです。


一人でもワクワク生きていく人が増えるといいなと思いながら読みました。文句なく★5とします。植松さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・Q2:夢はまだありません。・・だったら、誰かの夢を応援してみたら?(p22)


・わかってくれる人に会いたいけれど、チャンスがありません・・だったら、メールを出してみたら?(p167)


・勇気を出して、自分の弱点を話しちゃいましょう・・・相手も弱いし、自分も弱いから、助け合える。人はそうやって進化してきたんです(p214)


・10年続いている会社というのは、ごくわずかです。そういう会社の経営者にアドバイスをもらうのはすごくいいことです(p156)


▼引用は、この本からです
「不安な時代に踏み出すための「だったらこうしてみたら?」」植松 努
植松 努、PHP研究所


【私の評価】★★★★★(94点)


目次

第1章 夢なんかない。自分が何をしたいのかわからないと言う君へ。
第2章 やりたい仕事も向いている仕事もわからなくて、不安な君へ。
第3章 お金のことが心配で未来が考えられない君へ。
第4章 人の目が気になって「はじめの一歩」を踏み出せない君へ。



著者経歴

植松 努(うえまつ つとむ)・・・1966年、北海道芦別市生まれ。株式会社植松電機・代表取締役。株式会社カムイスペースワークス・代表取締役。NPO法人北海道宇宙科学技術創成センター(HASTIC)・理事。幼少の頃より紙飛行機が好きで、大学では流体力学を学び、卒業後に入った会社では航空機設計を手がけた。植松電機では、バッテリー式マグネット開発の他、ロケット開発、宇宙空間と同じ無重力状態を作り出す微小重力の実験、小型人工衛星開発、アメリカ民間宇宙開発企業との共同事業など、「人の可能性を奪わない社会」の実現のため邁進している。その一方で、全国各地での講演やモデルロケット教室を通じて、年間10,000人以上の子どもたちに、「どうせ無理」をはねかえし、夢をあきらめないことの大切さを伝える活動をしている。


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