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「こころのウェルビーイングのためにいますぐ、できること 」西山直隆

2023/03/06公開 更新
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「こころのウェルビーイングのためにいますぐ、できること 」西山直隆


【私の評価】★★★★★(95点)


要約と感想レビュー

お金は幸せとそれほど関係ない

著者は外資系コンサル会社で最年少部長となるなど、社会人として金銭的に成功していました。しかし、シンガポールで物質的な豊かさを追求する生活をしているなかで、日本の心の豊かさを大切にする考え方に気づいたというのです。著者は、金銭的な成功が、かならずしも人生の成功、幸福感につながらないという証拠を示していきます。


まず、ハーバード大学の成人発達研究所では、研究の結果、幸せと健康をもたらすのは、人との良い人間関係を築いているかどうかであるという結論に達しています。


同じようにスティーブ・ジョブズは自分の死を前にして、富を築いた後は、富とは関係のない他のことを追い求めるべきだ。終わることのない富への追求は、人生を歪めてしまう。あなたの家族に愛情を、そして自分自身を大切に扱ってあげてください、という言葉を残しているのです。


ポジティブ心理学者のマーティン・セリグマンも「良い人生」とは自分独自の美徳や強み、時間を忘れて夢中になるようなことを見つけ、それに集中することだと言っています。お金は幸せと、それほど関係ないのです。


・自分の強みが活かせる分野に没頭し、その強みやスキルを他者の幸せの追求のために役立てることが、より深く継続的な幸福感を育み、幸福の総量を大きくする(p102)


恩送りで豊かになる

お金を使わない心の豊かさの仕組みとして著者が考えたのは、「恩送り」(giv)です。誰かから受けた恩を、自分は別の人に送るというものです。具体的には、ワークショップで自分の好きなこと、得意なことを参加者全員でシェアします。そして、自分が貢献できることを無償で参加者に提供(giv)するのです。


この活動でgivを提供すると、その報酬は感謝の気持ちです。サンクスカードや画像で感謝の気持ちがフィードバックされるのです。この活動は、「徳を積む」「生きがい」「和をもって尊しとなす」「一人ひとりの小さな優しさが社会全体を明るくする」といった日本人が古来から持っている知恵を凝縮したものであるように感じました。 


・givでは自分の好きなこと、得意なことを無償で人に贈ることができる(p15)


心の豊かさを追求する

著者は金銭的な豊かさだけでなく、心の豊かさも追求しているのだと思いました。著者が推奨するのは、家事をしてくれて働く自分を支えてくれる家族へ感謝することです。そして、今日あった良かったこと、あるいは誰かへの感謝をノートに書き出してみることです。


貨幣経済は、モノとモノの交換を効率化しました。しかし人と人との関係も効率化されてしまい、人の顔が見えなくなってしまっているのだと思います。そうした資本主義の課題を具体的に解決しようと活動する著者の行動力と、書籍のまとまりの高さに驚愕しました。星5とします。西山さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・非効率で一見無駄に見えることが、実は人生を豊かにしてくれている・・山に行って火を起こし、テントを張って泊まること(p155)


・献血は有償にすると、無償のときよりも集まりにくくなるそうだ(p159)


・最も成功するタイプに君臨したのはギバーであった・・最も成功しなかったのもギバーだったという(p204)


・インドでは「あなたは人に迷惑をかけて生きているのだから、人のことも許してあげなさい」と教えられるそうだ(p78)


▼引用は、この本からです
「こころのウェルビーイングのためにいますぐ、できること 」西山直隆
西山直隆、中央経済社


【私の評価】★★★★★(95点)


目次

1 モノで満たされた社会 こころは満たされない社会
2 こころのメカニズム
3 ありがとうの力
4 ギブの力
5 優しい社会を未来に残す



著者経歴

西山直隆(にしやま なおたか)・・・一般社団法人giv代表理事。1985年生まれ。関西学院大学卒業。米国公認会計士の資格を取得後、デロイトトーマツグループにてベンチャー企業の成長支援に従事。当時、最年少部長に就任。2016年よりアジア事業立ち上げを任され、シンガポールに。海外での多様な価値観に触れる中で、金銭的豊かさだけではなく、こころの豊かさが得られる社会のあり方について考える。実際に社会で実装するために2019年に帰国し、一般社団法人givを設立。同時に国籍や宗教、性別に関わらず、誰もが最高に輝ける社会の実現に向けて、グローバル高度人材採用のプラットフォームを展開するTech Japan株式会社の代表取締役も務める。


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