「偽りの報道 冤罪「モリ・カケ」事件と朝日新聞」長谷川熙
2018/04/02|

Tweet

【私の評価】★★★★★(90点)
■元朝日新聞記者の長谷川さんが
「モリ・カケ」の加計学園疑惑に
絞って調査した一冊です。
加計学園疑惑は、
朝日新聞の歪曲報道からはじまったと
断言しています。
なぜなら、朝日新聞が加計学園疑惑の
根拠とした文科省の内部文書には
安倍首相が関与したとは
全く書かれていないからです。
国家戦略特区の担当が、
安倍首相がいつも話している
「規制改革を最短で進める」
という意向を再確認しただけ。
それを、あたかも安倍総理が
加計学園の案件を進めるよう
圧力をかけているかのように
報道したのです。
(なお、国家戦略特区の担当者は、
そんな発言はしていないと否定。
文科省の内部文書が創作である
可能性もある)
・この文科省文書は獣医学部新設問題について首相からの指示は何もなかったことを逆に裏書きしている・・岩盤規制の打破をスピード感をもって進めるという常々安倍首相が指示している原則論を、国家戦略特区担当の内閣府側が具体案件に当てはめて強調したごく普通の発言と理解できます(p39)
【文科省内部文書から引用】
「設置の時期については、今治市の区域指定時より『最短距離で規制改革』を前提としたプロセスを踏んでいる状況であり、これは総理のご意向だと聞いている」
■これと同じような報道が
東日本大震災の時にもありました。
震災時の東京電力福島第一原子力発電所で
吉田所長の待機命令を無視して
社員が撤退していたと
朝日新聞が報道した事例です。
取材により、当時の状況を把握していた
門田隆将氏は、「これは朝日の歪曲だ」
と指摘しましたが、朝日新聞からは
抗議文を送りつけられています。
(今回も朝日新聞は同じように
「徹底検証『森友・加計事件』」を
出版した小川栄太郎氏と飛鳥新社に対し
5千万円の損害賠償などを求める
訴訟を起こしています。
この本も訴えられるのでしょうか?)
ところが「吉田調書」を新聞各社が入手し
読んでみると、朝日新聞が歪曲していたことが
明らかとなり、社長が辞任することに
なったのはご記憶のとおりです。
・加戸氏は・・加計学園が獣医学部を新設するのは行政がゆがめられたのだと言う前川前文科事務次官を厳しく批判し、「歪められていた行政が正された」のだと7月10日の参院委で、詳しい経緯と共に明言したのですが、決定的に重大な加戸発言の中のこの核心部分もいや、決定的に重大であるからこそなのでしょうが、少なくとも朝日新聞にはひと言も載っていません(p123)
■さらに問題なのは、朝日新聞が
「行政がゆがめられた」と主張する
前川 前文科事務次官を
全面に報道していたことでしょう。
「歪められていた行政が正された」
と主張する加戸守行 前愛媛県知事を
ほとんど報道しないのです。
獣医師会・文科省・朝日 VS
愛媛県・国家戦略特区・官邸という
分かりやすい構図が見えてきました。
新聞、テレビは記録として
残っていますので、
検証するのは容易でしょう。
10年後に加計学園問題が
歴史として分析・評価され、
どのように記録されるのでしょうか。
長谷川さん
良い本をありがとうございました。
───────────────
■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・朝日の推量、立論を支える根拠となっているのが・・2017年5月17日付の朝刊で大々的に報じた文科省の内部文書、つまり「官邸の最高レベルが言っている」と「総理のご意向だと聞いている」がそれぞれ含まれている・・(p26)
・結局、獣医学部の新設は、とりあえずは広域的に獣医師養成系大学などが存在しない地域のそれも一ヶ所の一校に限ることで決着し、その経緯は2017年7月の国会での「加計」問題集中審議の際に山本幸三地方創生担当相から日本獣医師会からの要請、つまり圧力でそうなったことが答弁されています(p146)
・朝日新聞などによる、長期にわたる安倍「加計」疑惑の報道で加計学園の関係学校の志望者が減って加計学園が潰れる可能性がなきにしもあらず・・印象操作のような報道が延々と続いてきたことで、在校生も周りから馬鹿にされ、非常に苦しんでいる(p94)
この記事が参考になったと思った方は、
クリックをお願いいたします。
↓ ↓ ↓
ワック (2018-02-26)
売り上げランキング: 716
【私の評価】★★★★★(90点)
■目次
第一部 「文科省内部文書」による空中楼閣」に嵌まった朝日新聞
第二部 獣医師界と癒着した官庁行政の欠陥を黙殺した朝日新聞
補遺 「流言飛語」と「報道しない自由」を謳歌する朝日新聞