「物の見方・考え方」松下 幸之助
2018/04/03公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★★(90点)
要約と感想レビュー
私は運が良かった
経営の神様と言われる松下幸之助は、自分の力で成功したとは思っていなかったようです。
私は学校に行っていない。だから、人の意見を聞くことができた。体も弱かった。だから、人を使って人を育てることができた。自分は貧乏であった。だから、お金を大切にすることを知った。
自分は大した能力もないのに成功した。だから私は運が良かったのだろう。そう考えれば、慢心することもないだろうということです。
私より偉い人が世の中には無数にいる・・にもかかわらず、日本一の金持ちだとか、商売の神様だとか人はいう・・自分はやはり運が強いのだという解釈をする・・えらい努力をしたから、こうなったのだとか思うと、どこかに無理が生まれ、重くるしい感じがする。そこからどうしても誇り以上の物を考えがちになる。野心も生まれてくる。そこに失敗の芽生えがあると思う(p223)
うまくいかないのは反省が足りない
たとえ正しい志を持っていたとしてもうまくいかないのは、自分に甘いところがあったのではないか、と松下幸之助は自分に厳しい人です。
タイミングが早かったのではないか。やる力が組織になかったのではないか。人選を間違ったのではないか。いずれにしろうまくいなかないということは自分の認識が足りず、判断を間違った、反省しようと考えているのです。
ただ、自分の思う通りできなかった場合がたくさんあったものの、その失敗が成功に転化している場合が非常に多いとしています。おもしろいことに、失敗を多くして成功しているというのです。
事志と反する結果が生ずるのかということを考えてみると、多くは自己認識というか、自分を中心にした反省が足らないからだといえると思う・・その人の見方が甘かったのだと思う(p75)
大将は家を出たらいけない
江戸時代の教えを引用し、大将というものは家を出たらいけない。使いは番頭にやらせるのが大将としての仕事の態度というか勤務体制だとしています。いかに松下幸之助が学んでいたのかという証拠だと思います。
最近の松下幸之助の著作と違う文体で、松下幸之助の息づかいが伝わってくるようでした。松下幸之助は実力で成功したのですが、自分は運がいいだけだと考え、慢心を抑えようとしているのです。謙虚もここまでくると素晴らしいすね。松下さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・率先垂範ということは必要であるが、それだけでは足りない。これはまどろこしい点もあるであろうが、部下にまかせるということが必要である。そのうちには、部下もかならずや一人前になり、十分自分のかわりになり時には自分以上にうまくやるようになるであろう(p26)
・自分が自由に仕事ができるということほどありがたいことはない。だから私が会社に事業部をつくって独立採算制で自由に経営をさせるということはそういうところから出ている(p144)
・西郷隆盛が次のような遺訓をのこしている・・「国に功労ある人には禄を与えよ。功労があるからといって地位を与えてはならない・・功労があるからといって、見識のないものに地位を与えるということは国家崩壊のもととなる」・・事業経営においても同じことがいえる(p203)
・今日の日本の繁栄というものは、自力によってかち得たものではないと思う。外国からの援助によってもたらされたということを、われわれは忘れてはならぬと思う。ご招致のとおり、戦後いち早く「生産性本部」という機関もでき、またトップ・マネジメントの研究会などがあちこちにできた・・一番はじめにいい出したかというと、それはアメリカであった(p77)
・ロサンジェルスという町がある。人口は600万人といわれているが、毎年非常に膨張していて、近い将来、1000万人になろうといわれている。このロサンジェルスの市会議員は、わずか16人である。ところが、私が、ちょうどそのとき話をしていた町は、人口わずか5万の地方都市であった。その人口5万人の町に市会議員は何人いるかと聞いたら、30人いるという(p198)
・求める人材がなかなか見つからぬのは結局、日本の各社がいたずらに余剰人員をかかえて手放さない。いや手放せないことが一つの原因をなしているからである。余剰人員とは、貴重な人を無駄に使っていることにほかならぬような気がする(p21)
▼引用は下記の書籍からです。
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【私の評価】★★★★★(90点)
目次
会社経営のカンどころ
責任の持ち方
金だけが目的で仕事はできぬ
事業に失敗したらどうする?
長期勤続のちから
伸びる会社・伸びる社員
難局を切り抜ける条件
事志に反す
物の見方 考え方
商売の道
役に立つ人間
「のれん」の精神
心の持ち方
私の学校教育論
経営についての考え方
日本の経営者 アメリカの経営者
人多くして人なし
「運」について考える
著者経歴
松下 幸之助・・・パナソニック(旧松下電器)グループ創業者。PHP研究所創設者。1894年生まれ。9歳から火鉢店、自転車店に奉公し、大阪電灯(株)勤務。1918年松下電器を創業。1946年PHP研究所を創設。1989年94歳で永眠。
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