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「実施する順に解説!「マーケティング」実践講座」弓削 徹

2023/06/06公開 更新
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「実施する順に解説!「マーケティング」実践講座」弓削 徹


【私の評価】★★★★★(95点)


要約と感想レビュー

なぜマーケッティングが必要なのか

「ノートパソコン」の名付け親が、日本工業大学大学院のマーケッティング論で講義している内容をまとめた一冊です。いきなり講義のつかみとして、「国内のガム売上高は、2005年からの10年ほどで半分以下に落ち込みました。なぜでしょう?」と質問が投げかけられます。その答えは・・・。つかみとしては最高でしょう。


そして、なぜマーケッティングが必要かといえば、ただの水を、定価980円で値引き販売する会社の事例、5千円、1万円で販売する事例、容器を高級にして1万5千円で販売する事例を紹介しています。つまり、誰に、どんなチャンネルで、いくらで売るのかマーケティング戦略は自由に決められるのです。このように理論に対して、実例や具体例がばんばん出てくるところが、現役のマーケティングコンサルタントである著者の強みなのでしょう。


「魔法の水」をどう売るか・・販売価格を5千円に定めてテレビCMに1億円かけ、全国で10万個を売り上げ・・・容器に5千円をかけて販売価格は1万5千円・・5千個を売り上げ(p18)

ネーミングを変えるだけでヒットする

商品開発においては、市場調査や仮説を立てていくことになるのですが、「仮説」があるから市場調査が必要となることをしっかり書いています。市場調査から「良い仮説」は生まれないのです。実際、市場調査をしない企業としてイーロン・マスクのテスラ、バルミューダ、ZARAなどを紹介しています。消費者に意見を聞いてもヒット商品を作ることはできないのです。


同じように、ネーミングを変えるだけで商品がヒットしてしまうという現実があります。著者は、モノが売れないときの駆け込み寺と表現していますが、「フレッシュライフ」で販売された靴下が、「通勤快足」に変更したら大ヒットした例、「モイスチャーティッシュ」も「鼻セレブ」とネーミングを変えただけでヒットした例があるのです。著者はネーミングの発想の型12個と実例を示していますが、実務としてはこれで十分でしょう。あとは私達自身が、考えるべきことなのです。


ネーミングを変更して成功した例・・缶入り煎茶、防風通聖散、小ねじプライヤー、三陰交をあたためる、優子・・(p141)

成功した企業の成功の要因

成功した企業の成功の要因を、さりげなく紹介しているところも素晴らしいところです。例えば、モノタロウは、大手メーカーの工場を顧客にしようと創業しましたが、既存の納入先が強く顧客は増えませんでした。工具カタログでFAX注文をとるなど試行錯誤を経て、インターネットで町工場からの小口注文を受けるビジネスモデルへ転身して成功したという。


また、高い収益性を誇るキーエンスについては、3つの成功要因として、顧客に「常駐」しているくらいの密着感があること、営業の進捗全社ランキングが週次で配信されること、全社の膨大な情報から、新製品提案書がつくられることが紹介されています。こうした成功例は、読む人によっては宝の山に見えるはずです。


アメリカだと大学で一流のプロが教授になって教えていることを読んだことがありますが、日本でもここまできたのか、と感動しました。教科書となるべき一冊であり、安すぎます。弓削さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・ZOZOTOWN・・メーカーを問わず一律のサイズ感「ZOZOサイズ」を提示し、買いやすくしました(p43)


・オムニチャンネル戦略・・オムニとは「すべて」という意味・・リアル店舗とネット通販とを融合(p192)


・ギフティング・・インフルエンサーにDM(ダイレクトメッセージ)で連絡して商品を無償提供し、「よかったら紹介してください」とする(p227)


・展示ブース・・・誘引の仕掛けの例・・体験/試用できる・・コスト削減診断・・サンプル配布・・モニター募集・・事例集/小冊子配布(p245)


・×多くの人が買いつづけてくれています。
 ◯80%がリピーターになってしまう秘密とは?(p287)


▼引用は、この本からです
「実施する順に解説!「マーケティング」実践講座」弓削 徹
弓削 徹、日本実業出版社


【私の評価】★★★★★(95点)


目次

第1章 マーケティングの手順を知る
第2章 マーケティング調査でテーマを探す
第3章 新規事業・新商品を開発する
第4章 マーケティング調査を有効化する
第5章 選ばれるネーミングを開発する
第6章 もっとも有利な価格に決定する
第7章 流通チャネルを決める
第8章 プロモーションを実施する
第9章 キャッチコピーを書く
第10章 ブランドを育成する
第11章 その先のマーケティング技法で戦う



著者経歴

弓削 徹(ゆげ とおる)・・・日本工業大学大学院教授。製造業のマーケティングコンサルタント。東京・浅草生まれ。クリエイターとしてSONY、サントリー、オリンパス、CASIO、雪印などの商品開発、広告・販促キャンペーンを成功させ、「製造業なら弓削」との評価を得る。[ノートパソコン]の名付け親。現在は、大学でマーケティング論の授業をおこなうほか、これまで全国の商工会議所750ヵ所に登壇。フクザツなマーケティングテーマを、明解なキーワードと事例で伝える内容は、わかりやすく実践的と好評。日本の土台である中小ものづくり企業のマーケティング導入の支援活動とともに、地域貢献として復興庁・有識者会議委員、中小機構・中小企業アドバイザーなどを務める。


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