「メモ・ノートの極意」弓削徹
2022/08/30公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★★(93点)
要約と感想レビュー
自分に宿題を出す
「ノートパソコン」を考え出したコピーライターによる、アイデアを生むメモ・ノートの秘密です。著者の実力は、このエピソードでわかります。あるときJRの階段の垂直の板のところにポスターを貼る提案をしたところ、採用されなかったのに、1年後くらいにJRの階段にポスターが設置されていたという。ここで、「誰でも同じアイデアに行き着くものだ」と謙遜していますが,俺のほうが早かったといいたかったのでしょう。
このようにアイデアマンの著者ですが,その実力の秘密は,「自分に宿題を出す」ところにあると思いました。常に自分に宿題を出しているから,寝ても起きてもそのことを考えてアイデアが浮かぶのです。情報収集しているときに、自然と宿題の答えが浮き上がってくるのです。
また、苦手な段取り仕事は,手順やコツを書いたノウハウノートを作っているというので、著者はメモ魔でもあるのです。例えば「インタビュー」であれば、パターン例としてアイスブレイク→下調べをしておいてホメる→カンタンな質問をする→時系列に聞いていく→将来の予想,展開を訊く→失礼にあたるかもしれないことを訊くなどノウハウ化しているわけです。
課題を問いの形式にして,自分に宿題するのです(p48)
アイデア出しの型
著者にはアイデア出しの型があるように,感じました。まず、制約なくアイデアを考えても何も出てきませんので、「枠をはめて考えること」が最初のステップとなります。例えば、新規事業を考えるなら、「年間の利益1億円以上になるビジネス」「在庫がいらないビジネス」などと制約を決めて考えるのです。
そしてアイデアとして、「一挙両得」となるものを考えます。例えば、「キレイな店で安い」「家族で楽しめるゲーム」などと都合のよいアイデアを考えるのです。その他にも「ゼロベースで見直す」「当たり前を疑う」などアイデア出しのチェックポイントを紹介しています。ノートに書かれた過去に成果を出した成功パターンやアイデア事例などを参考にしながら、こうしたプロセスでアイデアを出していくのです。
アイデアが出せない原因・・アイデアを発想する型ができていないこと・過去のアイデア事例を知らないこと(p14)
アイデアは通すことのほうが難しい
コンサルタントの実務面では、「アイデアは通すことのほうが難しい」と著者が言うように,アイデアを作るより,どのアイデアが採用されるのか考えながら,絞り込んでいく作業が難しいことがわかります。極論すれば,いかにヒットする企画でもクライアントがOKしなければ企画は通らないのです。アイデアマンのコンサルタントとすれば、その塩梅が難しいということなのでしょう。
アイデア自体は頑張れば誰でもそれなりのものが出せるので、本当の勝負は、クライアントの本音を引き出し、信頼してもらえるのかなのだと思いました。アイデア出しで悩んでいるようではダメなのです。レベルの高い一冊でした。★5とします。弓削さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・本当の悩みや課題は,別のところにあることも少なくない・・事業部長の本音(p50)
・仕事上のデータや最新ニュース,他社の成功事例・・アイスブレイクのネタまで・・ネタ帳を持つようにしましょう(p23)
・(セミナーでの)質問と回答とをメモしてノートにまとめるようにしました・・多くの質問は一定のパターンに収れんする(p21)
【私の評価】★★★★★(93点)
目次
Chapter1 メモ・ノートで何を実現するのか
Chapter2 アイデアが生まれる仕組みのつくり方
Chapter3 メモとノートをどう使い分けるか
Chapter4 「脳作業」でビジネスを価値化する
Chapter5 1枚のメモからキャリアを開花させる
著者経歴
弓削徹(ゆげ とおる)・・・製造業のマーケティングコンサルタント、コピーライター。(株)エスト・コミュニケーションズ代表取締役。東京・浅草生まれ。クリエイターとしてSONY、サントリー、パナソニックなどの商品開発、広告キャンペーンを成功させ、「製造業なら弓削」との評価を得る。「ノートパソコン」の命名者。
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