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「世界大異変―現実を直視し、どう行動するか」ジム・ロジャーズ

2022/08/29公開 更新
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「世界大異変―現実を直視し、どう行動するか」ジム・ロジャーズ


【私の評価】★★★★☆(84点)


要約と感想レビュー

 ジョージ・ソロスとクォンタム・ファンドを設立し、10年間で42倍にしたという伝説の投資家の考え方を教えてもらいましょう。著者の投資スタイルは、戦争などで大きく下落した国の株を買って長期保有するというものです。実例としてロシア、ベネゼエラ、北朝鮮、イランに投資できないかと考えているというのですから、人の投資しないところに投資して長期保有するわけです。


 著者の投資のアドバイスとしては、自分が投資すると決めた分野について徹底的に研究し、その分野のエキスパートになるまで投資しないことです。やはり投資とはプロでも間違える恐ろしい世界であり、確実に間違えないという自信のある範囲で投資するのが原則なのでしょう。


・EVの生産に不可欠な銅やその他金属関連の株には投資している(p63)


 興味深いのは、現在のコロナ禍によって世界の中央銀行は多額の財政支出を行っており、株や債券はバブル状況にあるということです。いずれこのバブルはしぼむと予想されますが、どこまでバブルが膨らむのか、どこからしぼむのか、どこまでしぼむのか予測するのは難しいのです。それがわかれば、大富豪になれるわけです。


 そして国際情勢を見てみればロシア、中国と西欧諸国が対立しており、場合によっては小さな経済ブロックが出現し、第一次世界大戦前と似たものになる可能性があるという。著者はアメリカドルを中心に投資していますが、いずれアメリカがイギリスのように没落するときがくるのです。それがわかる人はいません。著者も、ドルを売った後に何を買うか日々考えているという。


・中国の製造業、ロシアのエネルギーや食糧などが、・・それがシャットアウトされるようなことになれば、物不足やインフレに拍車がかかることになる(p30)


 このように将来予想される株式暴落、インフレに対して私たちはどのようにして資産防衛術すればよいのでしょうか。これはある程度資産のある人向けのアドバイスになりますが、まず、海外に資産の一部を置くこと。そして、現金またはすぐに換金できる資産を持っておくこと。そしてよく理解していない投資をしないことです。


 最初の海外に資産を置くというのは、資産を分散して持っておくということでしょう。また、現金の比率を増やしておくのも大不況時の基本となります。アドバイスとしては当たり前の内容でしたが、未来を予測することは難しいという当たり前のことを教えてもらえました。ジムさん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・株式と商品の価格変動には、逆の相関があって、およそ18年程度のサイクルで両者が変化している(p118)


・増税は経済にとってプラスになることはあまりない・・借金を増やして、増税を繰り返していけば自分たちの仕事も増やせるので、その悪循環は続くことになる(p68)


・100年前のイギリスが良い例だが、政府の支出と借金が膨れ上がったイギリスは度重なる増税で競争力を失ってしまった(p57)


・私は投資の世界で成功し、実際に自由を手に入れた・・・今の若い人たちは、何のために勉強をしているのかを考えるべきだ(p124)


・早いうちに海外に身を置くことを経験すべきだ。きっとあなたの人生の視野を広げてくれるに違いない(p107)


▼引用は、この本からです
「世界大異変―現実を直視し、どう行動するか」ジム・ロジャーズ
ジム・ロジャーズ 、東洋経済新報社


【私の評価】★★★★☆(84点)


目次

第1章 巨大バブルの崩壊は目前に迫っている―世界的金融緩和の代償は戦後最大の経済危機へ
第2章 ウクライナ侵攻で、世界はどう変わるのか―西側諸国は優位を失い、中国の影響力が大きくなる
第3章 円安・インフレ時代、日本人のための資産防衛術―「日本終了」に備えたプランBを準備せよ
第4章 絶望の中で投資の絶好機はやってくる―「逆張り」でリターンを上げてきた私の投資法
エピローグ 大変異が起こる世界を生き抜くために



著者経歴

 ジム・ロジャーズ(Jim Rogers)・・・1942年、米国アラバマ州生まれ。イェール大学で歴史学、オックスフォード大学で哲学を修めた後、ウォール街で働く。ジョージ・ソロスとクォンタム・ファンドを設立し、10年で4200パーセントという驚異的なリターンを上げる。37歳で引退した後、コロンビア大学で金融論を指導する傍ら、テレビやラジオのコメンテーターとして活躍。2007年よりシンガポール在住。ウォーレン・バフェット、ジョージ・ソロスと並び世界三大投資家と称される。


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