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「お金の流れで読む 日本と世界の未来 世界的投資家は予見する」ジム・ロジャーズ

2019/04/03公開 更新
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お金の流れで読む 日本と世界の未来 世界的投資家は予見する (PHP新書)


【私の評価】★★★★★(90点)


要約と感想レビュー

 リーマンショック、中国の台頭、トランプ大統領の当選を予言した伝説の冒険投資家が教える「社会の未来を予想する方法」です。未来を予想するコツは、いま自分がいる状態を理解することです。景気がいいのか、悪化しつつあるのか。そして現状を理解するために、歴史を学ぶのです。歴史を学べば、現状のデータ分析から未来を予想することができるのです。


 例えばリーマンショックについては、その前年から住宅ローン業務を担う連邦住宅抵当公庫(ファニーメイ)のバランスシートがおかしいことに著者は気づいたという。そこで、この公庫の株を空売りしたうえで、テレビに出演して「もうすぐ崩壊が訪れる」とコメントしたのですが、誰も耳を傾けてくれなかったという。


 著者は今度は、北朝鮮の開国または統一朝鮮の成立を予想しています。これからの10~20年は、北朝鮮・韓国の統一国家が世界で最も刺激的な国になるだろうと予想しているのです。


・2015年、CNNのインタビューで、私はすでに「北朝鮮に全財産を投資したい」と発言している。当時、周囲では懐疑的な反応が多かった。でも、私が1980年に「中国に投資しなければならない」と言った時にも、周りからは嘲笑を買ったのだ(p114)


 著者の投資家として手法は、未来の大きなトレンドに投資する方法です。誰も気づかないチャンスを探すのです。長期のトレンドを予測したうえで、短期の変動も考慮して投資しています。例えば日本については、短期的には日銀の金融緩和により株価は上昇する。ただし、長期的には国の債務超過からインフレ、衰退に向かうと予想しています。


 そしてかつて世界大恐慌があったように、やがて世界を金融危機が襲うことも想定内です。通貨の下落やインフレから身を守るために、リアルアセット(実物資産)を持つことを推奨しています。具体的には、コモディティ(商品)を勧めており、中国が買わないといけないものを買っておくということなのです。


・私が最後にまとめて日本株を買ったのは、東日本大震災の前後のことだ。震災が起こる前、日本株が非常に安かったので買い始めた。その後、震災が起きてから日本株はさらに信じられないくらい下落した・・・日本株を大量に購入したのはこの時だ。農業関係の株も多く買った(p55)


 著者は普通の人よりも先を読んで投資する傾向があるようです。読みは正しいとしても、早すぎて失敗することもあるという。とにかく今の状態を正確に把握することが大事なのだとわかりました。


 ロジャーズさん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・私がこれまで手ひどい失敗したことが幾度となくあるが、失敗するときはいつもリサーチが不足していた・・自分がよく知っている業界や国に投資するのが一番だろう(p201)


・アメリカ経済が一番繁栄を極めていたのは移民法が制定される1920年の前・・・外国人を排除し、門戸を閉じた国が衰退の一途を辿るということを、歴史は何度でも教えてくれる(p48)


・国連の人口分析の専門家は、総人口に占める子ども(0~14歳)の比率が30%以下、高齢者(65歳以上)が15%以下の時、経済が飛躍的に成長する「機会の窓」が開くと見積もっている(p59)


・日本の強み・・私がどんな要望を出しても、日本人の回答は必ず「はい」だった。「それはできない」と否定する前に、やります、できます、と答えてくれるのだ・・この働くことへの真摯な姿勢は、世界中の成功している起業家がみな持っているものだ。「実行し、そして成功させる」という姿勢である(p78)


・ロシア株としては、肥料業界の銘柄を持っている・・他には航空会社、アエロフロートの株も保有している・・ロシアは、債務が少ない国であることも注目すべき点だ。債務が少ないのは、誰もロシアに金を貸さないから。昔の中国に似ている(p176)


・シベリア地方には、大きな機会がある。特に中国との国境付近には、天然資源が豊富だ・・・いまも中国人がたくさん住んでいるし、中国企業も進出しつつある。いずれ中国がそこを占領することを、プーチンはわかっているのだろう。だからいま、シベリアにほど近いウラジオストクに莫大な投資をしているのだ(p179)


▼引用は下記の書籍からです。
お金の流れで読む 日本と世界の未来 世界的投資家は予見する (PHP新書)
ジム・ロジャーズ
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【私の評価】★★★★★(90点)


目次

序章 風はアジアから吹いている―ただし、その風には「強弱」がある
第1章 大いなる可能性を秘めた日本
第2章 朝鮮半島はこれから「世界で最も刺激的な場所」になる
第3章 中国―世界の覇権国に最も近い国
第4章 アジアを取り囲む大国たち―アメリカ・ロシア・インド
第5章 大変化の波に乗り遅れるな
第6章 未来のお金と経済の形



著者経歴

ジム・ロジャーズ(Jim Rogers)・・・1942年生まれ。大学卒業後、米陸軍に従事し、その後、ウォール街 で働く。ジョージ・ソロスと共同で国際投資会社クォンタム・ファンドを設立し、10年で40倍以上の驚異的なリターンを実現する。37歳で引退。世界をバイクや車で回り、コロンビア大学で教鞭をとる。米国経済の破綻によって米ドルは暴落すると主張してきた。


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