「超限戦 21世紀の「新しい戦争」」喬 良、王 湘穂
2019/04/04公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(71点)
■1999年に人民解放軍の軍人が
21世紀の戦争、同時多発テロを
予言したと言われる一冊です。
現代の科学技術、情報技術を使えば、
簡単に敵国を攻撃することができる。
さらにあらゆる手段を組み合わせて
多角的に攻撃することで
その効果が倍増されるのです。
つまり超限戦とは仁義なき
ルールなき戦いの時代が来た
ということなのです。
・貿易戦・・金融戦・・新テロ戦・・生態戦・・心理戦・・密輸戦・・メディア戦・・麻薬戦・・ハッカー戦・・特許を独占する技術戦・・仮想戦・・資源戦・・経済援助戦・・文化戦・・国際法戦・・(p71)
■出版の2年後の2001年9月11日に
米国同時多発テロが発生し、
テロを予言したと言われています。
しかし、私には予言したというよりも
アメリカがやっている戦略を
中国もやるべきであると主張したのでは
ないかと思うのです。
つまり、アメリカが行っている
金融戦、経済援助戦、情報戦などを分析し
これは意図的なアメリカの攻撃なのだと
解説しているのです。
・ソロスを代表とする大口金融投機家は、一日当たり取引額が一兆2000億ドルを超える国際遊休資本を拠り所として、金融派生手段を運用し、自由経済のルールを活用して、世界の金融市場で手練手管を弄し、騒乱を招き、次々と金融危機を引き起こした・・われわれはこれを金融テロリストと呼んでしかるべきであろう(p169)
■昔から戦争には仁義もなければ
ルールもなかったのです。
新しい技術が生まれれば
それが戦争に使われるという
ことなのでしょう。
喬さん、王さん、
良い本をありがとうございました。
■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・非武力、非軍事、ひいては非殺傷、非流血の方式も同様に、あるいはそれ以上に、戦争目標現実に有利にはたらくかもしれない(p73)
・日本のオウム真理教、イタリアのマフィア、極端なイスラム・テロ組織、コロンビアや「金新月」の麻薬組織、陰険で本心を推測しがたいハッカー、莫大なヘッジファンドを持つ金融投機家など、目標が明確で、意思が強く、偏執狂的性格を持つ精神がアンバランスな者であれば、誰でも軍事的あるいは非軍事的戦争を起こす可能性を持つのである(p146)
・メディアは客観報道という上着を巧妙にまとっているゆえに、計り知れない影響力を隠し持っている(p98)
・金融危機を起こした後、相手のコンピューターシステムに事前に潜ませておいたウイルスとハッカーの分隊が同時に敵のネットワークに攻撃を仕掛け、民間の電力網や交通管制網、金融取引ネット、電気通信網、マスメディア・ネットワークを全面的な麻痺状態に陥れ、社会の恐慌、街頭の騒乱、政府の危機を誘発させる。そして最後に大軍が国境を乗り越え、軍事手段の運用を逐次エスカレートさせて、敵に城下の盟の調印を迫る(p182)
・何ものも眼中にないアメリカ人は常にわが身をふりかえって反省する行動を取る。こうした一見矛盾した性格は、高慢なヤンキーたちが苦労するのをこの目で見たいと期待する人たちをびっくりさせ、同時にアメリカ人も、その都度少なからざる利益を得る。確かに、アメリカ人はほとんど毎回の軍事行動から教訓をくみ取り、次の行動に移る門を開くための鍵を見つけるのである(p84)
・山本五十六はまぎれもなくあの時代、最も創造力に富んだ軍事"異才"だった。空母を使って真珠湾を奇襲・・・ところが、不可解なのは、その山本が自らの独創的な戦法の画期的な意義を理解していなかったということだ(p90)
・アメリカ製の爆撃機は空を飛ぶ黄金の山のようなもので、多くの攻撃目標よりも高価である。重さにして何トンにもなる米ドルを、取るに足らない目標にぶつけたところで、その価値があるかどうか疑わしい(p118)
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【私の評価】★★★☆☆(71点)
■目次
第1部 新戦争論
いつも先行するのは兵器革命
戦争の顔がぼやけてしまった
教典に背く教典
アメリカ人は象のどこを触ったのか
第2部 新戦法論
戦争ギャンブルの新たな見方
勝利の法則を見いだす 側面から剣を刺す
すべてはただ一つに帰する 超限の組み合わせ
必要な原則