【書評】「認知症は決断が10割 介護は、決断次第で天国にも地獄にも!」 長谷川嘉哉
2026/06/04公開 更新
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【私の評価】★★★★★(96点)
要約と感想レビュー
自宅で認知症の親を介護するコツ
祖父が認知症になった経験から医師を志し、開業以来70,000件以上の訪問診療と1000人以上の看取りを実践してきた認知症専門医による一冊です。
実は現在、本のソムリエの母は高齢で認知症の症状もあり要介護認定を受けていますが、一人で実家に住んでいます。そうした私が読んでみて、本書は認知症の親をどう介護すればいいかと悩んでいる人にぴったりの一冊ではないでしょうか。
まず著者が強調するのが、「自分の親は嫁に任せずに自分で看る」ということです。嫁にとって、自分の親は他人です。自分の親は自分が介護すべきなのです。
そして、親が認知症と診断されたら、まず「脳神経内科」を受診し、すぐに要介護認定の申請をすることを著者は勧めます。また、適切な診察のためにも、認知症の親の怒っている姿や、失神、徘徊などの症状を動画に撮っておくことを勧めています。
お嫁さんだって忙しいんですから・・・特に男性は「自分の親は、自分で看る」と決断してほしい(p29)
介護サービスの使い方
ケアマネジャーの探し方について、著者はインターネットで地元の居宅介護支援事業所を検索し、「特定事業所加算」を取得しているところを優先するよう推奨しています。特定事業所加算とは、国が「質の高い介護サービスを提供できる」と認めた事業所に与えられる制度であり、これを取得しているケアマネは24時間連絡がつくなど、一定の質が担保されているからです。
また、近所の介護経験者に聞くことも、良いケアマネを見つける現実的な方法として紹介されています。
著者は、自宅で介護する人が一番大変であり、介護者が休めるよう、週数回のデイサービスに加えて月1〜2回のショートステイを組み合わせることを強く勧めています。仮に本人がデイサービスに行くことを「楽しくない」「嫌だ」と言っても、介護者のストレス軽減と本人にとっても軽度のストレスは脳に良い刺激になるため、腹をくくって行かせるべきだと主張しています。
また、ショートステイを選ぶ際には「単独型」を選ぶことを著者は勧めています。「併設型」は本業が別にあるため、部屋に入れっぱなしで放置されがちになるという現場の実態が、その理由です。
(介護者が眠れるように)患者さんが要介護認定を受けたら、週に何度かデイサービスに行ってもらうことと併せて、月に1~2回程度、ショートステイにも行ってもらってください(p194)
施設入所を考える
夜中の徘徊が始まった段階が、施設入所を真剣に検討するタイミングだと著者は言います。認知症の患者さんに特化した施設として著者が勧めるのが「グループホーム(認知症対応型共同生活介護)」です。
注意点としては、グループホームや老健・特養に入所すると「自宅介護」ではなくなり、ケアマネジャーにとっては担当患者を1人失うことになります。そのためグループホームを積極的に紹介しないケアマネも存在するという。
家族側としては、こうした背景も理解したうえで、必要なタイミングで施設を選ぶ必要があるのです。
また介護費用については、施設代も含めて患者本人の貯金から支払うという原則を著者は明確に述べています。介護費用を子ども世代が負担するのではなく、本人の資産を適切に活用するのが、長期介護において親族の負担を減らし、家族を守るうえで重要なのでしょう。
グループホーム(認知症対応型共同生活介護)が認知症の患者さんに特化した施設(p225)
最後の看取りはどうするか
本書の最後は看取りという問題です。
施設を選ぶ際には、その施設が看取りまで対応してくれるかどうかを確認するように著者は強調しています。看取りに対応しない施設では、親が危篤となった際に病院搬送か自宅への移送かという二択を迫られることになるからです。
病院に搬送すれば、医師は治療をせざるを得ません。最期の段階で点滴を施すと余分な水分が体に溜まり、肺が水浸しになって非常に苦しい状態になるといいます。
自然な死を穏やかに迎えさせるためには、事前に方針を決め、病院に運ばない、救急車を呼ばないなどという決断と覚悟が家族に求められるのです。
1,000人以上の看取りを経験してきた著者のアドバイスは考慮する価値があるのでしょう。長谷川さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・「高齢になると誰でも騙される」・・・親御さんの金銭管理はもちろん、人間関係も注意(p151)
・(認知症で)施設入所した患者さんが一人暮らしなら、自宅を売却する・・・自宅に戻ってくることは、ほぼありません(p173)
・最後に水も飲めなくなっても、点滴はしない・・・余分な水分が身体に溜まり、やがて肺も水びたしになります・・ものすごく苦しいです(p266)
▼引用は、この本からです

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長谷川嘉哉 (著)、かんき出版
【私の評価】★★★★★(96点)
目次
第1章 最初にしてほしい、もっとも重要な決断
第2章 「家族の認知症に気づいたとき」にする決断
第3章 「要介護認定を申請して、ケアマネさんに頼る」決断
第4章 「お金」にまつわる決断
第5章 「介護サービス」「介護施設」の利用にまつわる決断
第6章 「患者さんの最期」にまつわる決断
著者経歴
長谷川嘉哉(はせがわ よしや)・・・1966年、名古屋市生まれ。名古屋市立大学医学部卒業。認知症専門医、医学博士。祖父が認知症になった経験から医師の道を志し、夢を実現。病気だけでなく生活、家族も診るライフドクターとして活動し、医療、介護、社会保障サービスから民間保険の有効利用にまで及ぶ。在宅医療では開業以来、70,000件以上の訪問診療、1,000人以上の看取りを実践している。現在、医療法人ブレイングループ理事長として、在宅生活を医療・介護・福祉のあらゆる分野で支えるサービスを展開している。
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