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「32歳。いきなり介護がやってきた。時をかける認知症の父と、がんの母と」あまのさくや

2022/11/25公開 更新
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「32歳。いきなり介護がやってきた。時をかける認知症の父と、がんの母と」あまのさくや


【私の評価】★★★★☆(81点)


要約と感想レビュー

 タイトルのとおり、69歳の若年性認知症の父と32歳の著者を残して、著者の母はがんで亡くなりました。32歳で父の介護をしなくてはならなくなってしまったのです。誰も相談する人がいない。誰も助けてくれない。そうした中で著者のストレスの発散は、SNSに今日起きたこと、思ったことを書くことでした。


 書くことでつらい思いを発散できるし、書いてみると、冷静に今の自分に起きていることを知ることができ、自分の思いや状態を客観視することができたのです。


・書くことの効能・・・つらい想いは、"発散"した方がいい・・・"今自分の目の前で何が起こっているかを知る"(p60)


 著者の父が記憶を維持できる時間は、1時間になり、30分になり、10分と短くなっていったという。同じ話がループする周期が短くなっていきます。どんどん症状が悪化していく著者の父の状況を覚えておくためにも著者はブログに書き続けたのです。


 母の死を忘れてしまう父や、母の居場所を聞いてくる父にツラく当たってしまうこともありました。朝、父を起こすとベッドが湿っていることもあります。分かっていても、父親の下の世話をしたくない。でもやらなくてはならない。父の介護は容赦なく続くのです。


・孤立しないためのつながりづくり(p177)


 介護の大変さが伝わってきました。「誰か、助けてよ・・」といのが、本音なのです。また認知症になっても、その症状は徐々に進むので、家族にとっては明らかに異常であっても、簡単に認知症とは認められないようです。


 そして介護において一番まずい状況は、孤立することです。介護する人が困ったときの逃げ場があると、耐えられることも多いのです。こうした本で介護を事前に体験してみると、準備の大切さがわかるのではないでしょうか。


 誰もが通る道だから、★4つとしました。あまのさん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・人が亡くなると、一息ついている間もない(p134)


・睡眠導入剤・・・明らかに寝つきが悪いと思われるときは我慢せずに飲む(p146)


・父のために何かを我慢したら、結局父を恨んでしまう(p216)


▼引用は、この本からです
「32歳。いきなり介護がやってきた。時をかける認知症の父と、がんの母と」あまのさくや
あまのさくや、佼成出版社


【私の評価】★★★★☆(81点)


目次

プロローグ そもそもの始まり
1 2009~2016 父が若年性認知症と診断されるまで
2 2017 母のがんが発覚
3 2017 父の進化が止まらない
4 2017~2018 母はどこへ行く
5 2019 そして父と二人になった
6 2019~2020 父と私の新しい生活
エピローグ そして、これから。



著者経歴

 あまのさくや(あまの さくや)・・・絵はんこ作家、エッセイスト、チェコ親善アンバサダー。1985年、カリフォルニア州生まれ、東京育ち。青山学院大学卒業後、会社員を経て、絵はんこ作家に。認知症の父と末期がんの母との日常をつづったブログ『時をかける父と、母と』が幻冬舎×テレビ東京×noteコミックエッセイ大賞にて準グランプリを受賞。現在は、岩手県・紫波町に移住し、「地域おこし協力隊」を兼務しながら、創作活動を続けている。


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