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「日本の気候変動5000万年史 四季のある気候はいかにして誕生したのか」佐野 貴司, 矢部 淳, 齋藤 めぐみ

2022/11/24公開 更新
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「日本の気候変動5000万年史 四季のある気候はいかにして誕生したのか」佐


【私の評価】★★★☆☆(75点)


要約と感想レビュー

 タイトルどおり5000万年から現在までの気候変動について学ぶ一冊となっています。5000万年というと数字が大きすぎてわかりにくいのですが、6600万年前の小惑星の衝突による大量絶滅が起きた後と考えれば、衝突から一服した頃と考えればよいのでしょう。


 5000万年前は現在よりも10度以上も高温であることが分かっています。地球温暖化問題で1.5度以下の気温上昇に抑えることを目標としているくらいですから、いかに暖かかったのかわかります。


 5000万年前から現在まで通してみれば、地球は一貫して寒冷化し、海水準も上下しながら下ってきたことがわかります。そして現代社会は第四期と呼ばれる地質時代にあり、その殆どは寒冷な氷期にあります。その中にときどき訪れる温暖な間氷期の終末期に、わたしたちは生きているのです。


 過去80万年前までを見てみると、氷期と間氷期の周期は10万年氷期で1万年間氷期というサイクルを続けています。現在は間氷期になって1万年以上過ぎていますので、もうそろそろ氷期に戻るタイミングなのでしょう。


・河岸段丘・・・段丘をつくった界面の変化は、温暖な間氷期と寒冷な氷期が繰り返し訪れる第四紀(250万年前から現在まで)という時代の特徴です(p180)


 面白いのは、過去80万年間の気温の変動と大気中の二酸化炭素濃度の変動が、ほぼ一致していることでしょう。実はこれは二酸化炭素が増加して温暖化したのではなく、水温の上昇にともなって海水に溶け込んでいた二酸化炭素が、大気中へ排出されたのが原因としています。


 ですから本来であれば、地球が氷期に戻れば、二酸化炭素を海水が吸収してくれるのです。現在、私たちが問題としているのは、二酸化炭素が人為的に増えたため地球が温暖化しているとしていますが、実は地球が温暖化しているから二酸化炭素が増えているという要因もあるのでしょう。または地球温暖化によって海水から二酸化炭素が放出され、さらに温暖化が加速するということもあるのかもしれません。


 そもそも二酸化炭素が増える中で温暖化しているという状況証拠があるだけで、温暖化のほとんどの要因が二酸化炭素濃度であるという確定的な証拠はないのです。専門家の中には、二酸化炭素を減らすのは「保険」であると表現している人がいるくらいなのですから。


・寒暖の振れ・・・120万年よりも古い時代は4万年周期が卓越し、80万年以降は10万年周期となっています・・・地球の公転・自転の周期的な変動により説明されます(p186)


 250万年前から地球は温かい間氷期と寒い氷期を繰り返しています。それはミランコビッチ・サイクルと呼ばれ地球の公転・自転の周期的な変動により説明されているという。その間に火山の噴火により二酸化炭素が排出された時期もあるでしょう。しかし、地球は250万年、一貫してミランコビッチ・サイクルの傾向が見られるのです。


 地球は本当に二酸化炭素の大気中濃度の上昇によって、暖かくなっているのでしょうか。それとも他の気温に影響を与える要因はどこに行ってしまったのか。この本に書いてある過去の気候変動と二酸化炭素による地球温暖化の根拠とが噛み合わないので、わけがわからなくなってきました。もう少し勉強してみたいと思います。


 佐野さん、矢部さん、齋藤さん、良い本をありがとうございました。



この本で私が共感した名言

・中期中世最温暖期~1600万年前~原因については、主に2つの説があります。一つは超巨大火山の噴火で二酸化炭素が増大・・・もう一つは赤道付近の海路の閉鎖にともなう暖流の流路変化です(p109)


・鮮新世末期の300万年前~260万年前になると、地球規模での寒冷化の影響で・・・三重県の大山田湖に繁栄したミエゾウも絶滅してしまいました(p169)


・もっとも最近の氷期(最終氷期)でも特に寒冷だった2万5000年前、乾燥した気候のため、乾燥に強いマツ科の針葉樹が日本全国で卓越しました(p182)


・1万7000万年前以降、日射量の増加にともない、北半球の氷床・氷河は融解し、融けた水は海に流れ込み・・・世界の平均海水準は125~130mも上昇しました(p220)


・年輪、サンゴ、氷床コアなどのデータから見積もった世界の平均気温・・・古文書記録とよく一致・・平安時代は中世温暖期、戦国~江戸時代は小氷期にあたることがわかります(p235)


▼引用は、この本からです
「日本の気候変動5000万年史 四季のある気候はいかにして誕生したのか」
佐野 貴司, 矢部 淳, 齋藤 めぐみ、講談社


【私の評価】★★★☆☆(75点)


目次

1章 人生は後半からが難しい
2章 50代・60代、人生で「減らすべきもの、増やすべきもの」
3章 60歳で「新しい自分」に生まれ直した産業カウンセラー・青木羊耳さん
4章 偉大な心理学者たちに見る人生後半を生きるヒント
5章 『チベット死者の書』に学ぶ「死の瞬間」への備え方
6章 「逆算式人生3年計画法」で実現する人生後半、いつ死んでも悔いのない生き方
終章 「逆算式人生3年計画法」の2つの原則



著者経歴

 佐野 貴司(さの たかし)・・・1968年、静岡県生まれ。1997年、東京大学大学院理学系研究科地質学専攻博士課程修了。博士(理学)。日本学術振興会特別研究員などを経て、国立科学博物館地学研究部鉱物科学研究グループ長。専門は火山学および岩石学で、主な研究対象は超巨大火山。


 矢部 淳(やべ あつし)・・・1997年、筑波大学大学院地球科学研究科修了。博士(理学)。福井県立博物館、福井県立恐竜博物館研究員を経て、国立科学博物館地学研究部生命進化史研究グループ 研究主幹。専門は地球科学、古植物学。


 齋藤 めぐみ(さいとう めぐみ)・・・2003年、東京都立大学大学院理学研究科博士課程修了。博士(理学)。日本学術振興会特別研究員、東京農工大学工学部非常勤講師を経て、国立科学博物館地学研究部環境変動史研究グループ。専門は、珪藻化石、おもに淡水のもの。


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