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「15歳からの地球温暖化 学校では教えてくれないファクトフルネス」杉山 大志

2024/07/31公開 更新
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「15歳からの地球温暖化 学校では教えてくれないファクトフルネス」杉山 大志


【私の評価】★★★★★(90点)


要約と感想レビュー

猛暑は地球温暖化が原因なのか

暑い日が続きますが、これも地球温暖化の影響でしょうか。今日は、データに基づいて地球温暖化を検証してみましょう。


日本の気温は気象庁発表によれば、100年で1.1~1.2℃程度上昇しています。これには都市化の影響があるので、補正すると100年あたり0.7℃です。思ったよりも小さい値ですが、実は世界全体でみると、2018年の例では日本とヨーロッパは猛暑で、北米やユーラシア大陸中央は寒いなどと地域で自然のゆらぎがあり、全体としてはそれほど温暖化していないのです。


実際、地球温暖化は1990年に予想された速さの100年で3℃、誤差幅は2~5℃に比べると小さく、特に2000年から2013年まではハイエイタス(停滞)と呼ばれ、地球は温暖化していなかったのです。よく猛暑で「80年ぶりの猛暑」などと報道されますが、80年前も暑かったわけで100年で1℃も上昇していないのです。


東京の気温はすでに3℃上昇・・東京は都市化の影響で約2℃上昇(p29)

地球温暖化はどのような被害をもたらすのか

この本では、過去に発表された地球温暖化による不吉な予測が、ことごとくハズれていることを紹介しています。


IPCCは温暖化の影響で2020年までにアフリカの一部の地域で降雨依存型農業で農産物収穫量が50%程度減少する、と予測していますが、食料生産は増えています。


イギリスBBCニュースは2020年9月5日、「気候変動がカルフォルニア州の山火事の規模を拡大していることが、最新の分析で明らかになった」と報じていますが、近年になって特に山火事が多くなったわけではないのです。


NHKは2019年9月9日に台風15号は「過去最高クラス」で、「地球温暖化で海水温が上昇すると、台風はより強くなる」と報じましたが、台風は強くなっておらず、超強力台風は1993年以降上陸していないと著者は説明するのです。


それ以外にも、2000年に国際環境NGOグリーンピースが「地球温暖化は太平洋のサンゴ礁を荒廃させる」と発表しましたが、サンゴ礁の島のうち86%で面積は増大または安定しているという。


ホッキョクグマは絶滅しない・・太平洋の島国は水没しない・・台風や豪雨は激しくなっていない(p3)

日本は2050年CO2ゼロとするのか

著者が指摘するのは、2021年のIPCC報告で使用された気候モデル("CMIP6 Model")の計算結果が、観測値よりも熱い側にズレていることです。過去のシミュレーションがこれだけ誤差があるのだから、将来予測は見直すべきというのが著者の主張です。また、CO2による温暖化は1950年以降に起きたと言われていますが、そもそも、それ以前に地球は温暖化してきたという事実もあるのです。


日本は2050年にCO2ゼロを目標としていますが、日本のCO2排出量は世界の3%でしかありません。温暖化とCO2の相関関係もあいまいです。そうした中で、すでに日本は再生エネ導入のため賦課金だけで年間2兆円を電気料金に上乗せして国民負担を増やしているのです。


著者は、科学的知見にわからないことが多い以上、ある程度用心深くなることは必要ですが、経済的損失をかえりみることなく大規模な排出削減をすべきかどうか、議論が必要としています。


日本が2050年にCO2ぜロにしたらどうなるの?・・気温は0.01℃も下がらず・・日本の排出は世界の3.2%にすぎないためです(p69)

地球温暖化について皆さんはどう思いますか

私個人も著者の考え方に賛成です。私は東北地方に住んでいますので、縄文時代のような温暖化で、本当に困ることがあるのか疑問を持っています。また、「地球温暖化」でCO2を削減するなら、「地球寒冷化」したらCO2を増やさなくてはならなくなります。そう考えると、CO2ゼロを検討するのはよいのですが、実際にコストをかけてやるのかどうかは、慎重であるべきです。


私は、日本は特にCO2を多く排出している、中国、アメリカ、インドに合わせるのがよいのではないかと考えています。過去の経験から、これらの国々は、コストをかけて、国益を毀損してまでCO2を削減しないでしょう。皆さんはどう思いますか。杉山さん、良い情報をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・WWF(世界自然保護基金)は2015年8月24日・・強い台風の襲来や地域的な大雨、洪水などが多発しています」と報告した・・そもそも、台風は増えていません(p37)


・再生可能エネルギーの大量導入は効果があるの?・・2019年度賦課金 約2.4兆円(p70)


・IPCCの報告では「北極海の氷は過去30年の間に減っていて、地球温暖化が主な原因である」としています・・氷の量は、4000年以上前と比べるとかなり多い(p11)


▼引用は、この本からです
「15歳からの地球温暖化 学校では教えてくれないファクトフルネス」杉山 大志
杉山 大志 、扶桑社


【私の評価】★★★★★(90点)


目次

第1章 地球温暖化で世界や日本にはどんな影響があるの?
第2章 地球温暖化に対して世界や日本はどんな取り組みをしているの?



著者経歴

杉山大志(すぎやま たいし)・・・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。東京大学理学部物理学科卒、同大学院物理工学修士。電力中央研究所、国際応用システム解析研究所などを経て現職。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)、産業構造審議会、省エネルギー基準部会、NEDO技術委員等のメンバーを務める。産経新聞「正論」欄執筆メンバー。


地球温暖化関係書籍

「「脱炭素」は嘘だらけ」杉山 大志
「地球温暖化「CO2犯人説」は世紀の大ウソ」
「「地球温暖化」の不都合な真実」マーク・モラノ
「地球温暖化への挑戦」薬師院 仁志
「「地球温暖化」狂騒曲 社会を壊す空騒ぎ」渡辺 正
「環境問題の嘘 令和版」池田 清彦
「CO2温暖化論は数学的誤りか」木本 協司


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