【書評】埼玉県川口市のクルド人問題とは「移民リスク」三好範英
2025/03/21公開 更新

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【私の評価】★★★★★(93点)
要約と感想レビュー
クルド人問題の現場
埼玉県川口市でクルド人が、迷惑行為をしているとの報道がありましたが、実態はどうなっているのでしょうか。「川口市発生刑法犯検挙状況」によると人口当たり犯罪率は(日本人)0.20%、(外国人)0.43%と外国人が倍以上高いという。
また、国別の刑法犯数は次のとおり、ほぼクルド系であるトルコ国籍者が高いことがわかります。
国籍 | 人口 | 刑法犯数 | 率 |
---|---|---|---|
日本人 | 0.20% | ||
中国人 | 2万2355人 | 72人 | 0.32% |
トルコ | 1382人 | 21人 | 1.52% |
ベトナム | 4296人 | 12人 | 0.28% |
フィリピン | 2749人 | 11人 | 0.40% |
ただし、クルド人は住民登録をしていない仮放免者が700人程度おり、それを加えてクルド人人口を2000人としたとしても、1.05%と日本人の5倍犯罪率が高いのです。
クルド人の子供は、中学校から学校に行かず、無免許で車を運転するようになるという。実際、地元で札付きのクルド人中学生が東北道で事故を起こしたり、トルコ国籍の少年が免許不所持でトラックを運転し、川口市内で69歳男性を轢き殺して逃走した事件もありました。
また、川口市の商業施設で、タバコを吸いながら大音量で音楽を流していたトルコ国籍の14歳の男子中学生に対し、警備員から出入り禁止を告げたところ、「外国人を差別するのか」「爆破してやる」と警備員を脅迫し、出入口付近で火をつけた煙幕花火を投げつけたという事件も起きています。
JR赤羽駅近くの多目的トイレ内で30代女性がトルコ国籍の川口市の解体作業員(22歳)と無職少年(16歳)からレイプされ、現金を奪われました。裁判で女性についた体液が被告のDNA型と一致しましたが、解体作業員は無罪となったという。
このような状況で、クルド人が運転する暴走車が怖いので、さいたま市に引っ越した会社社長もいるというのです。
どうせ逮捕されないとか、特権を振りかざして来る(クルド人の)ガキがいる・・誰かが捕まるとすぐに仲間が集まってくる・・警察をなめている(地元商店会の幹部)(p21)
クルド人就業の実態
埼玉県川口市のクルド人人口は2000~3000人ですが、本来就労できない仮放免者や就労不可の特定活動のクルド人が少なくとも数百人、解体作業などで不法就労しているという。川口市で解体業を長年経営しマスコミにも出演するクルド人Bは、難民申請や訴訟を繰り返すことで20年間、日本に残留して商売を続けてきたのです。
クルド人解体業者は、アスベストの基準も守らず、不法投棄も当たり前で、日本の業者が坪5万円の物件を、2万円台で受注している業者があるという。社会保険、工事保険、車両保険に不加入で、不法就労や不法投棄が前提で、日当8000~1万5000円で作業員を雇わなければとても成り立たない金額なので、日本の業者はどうしようもないわけです。
私が特にひどいなと思ったのは、医療費の踏み倒しです。無銭飲食は逮捕されるのに、医療費踏み倒しは「お金がないので払えない」で通るです。
「令和4年度川口市病院事業予定損益計算書」によると外国人の未収金は7471万円、18.8%で、産婦人科の未収金2938万円のうち、外国人の占める金額は702万円、24.0%です。議会答弁では、救急外来の未収金の80%が外国人によるもので、川口市の人口に占める外国人の割合は7.6%なので、外国人は医療費を払うつもりがないことがわかります。
多文化、多民族が入り混じって生きることの厳しさについて、多くの日本人はナイーブなまでに無自覚である。日本人相互で可能な信頼関係や性善説が成り立たない世界がある(p4)
クルド人難民の目的
2023年の難民申請者の総数は1万3823人の前年比3.66倍で、「出入国管理・難民認定法」の「抜け穴」を利用して長期残留を目指す人々が大挙して来日しているという。
著者が民間援助団体に取材すると、トルコに返ったら迫害される、と主張している人の80%は誇張たものだという。なぜなら、トルコで自由がないと証明できる人は一人もいないからです。日本に行くのは経済的理由で、難民の手続きで日本に滞在して、日本で稼ごうとしているのだという。
実際、「難民を助ける会」の名誉会長柳瀬房子氏は、衆院法務委員会で参考人として「申請者の中に難民がほとんどいない」と発言しています。
また、ドイツでも2023年の難民申請を見てみると難民認定率16.3%、保護率(難民認定+補完的保護)51.7%ですが、クルド系に限れば難民認定率3.3%、保護率4.1%と難民はほとんどいないのです。結論としては、クルド人が日本に来る動機は、金を稼くためなのです。
また、文化の違いがあるかもしれませんが、クルド人は自分の利益のためには、仲間を呼び寄せ、集団で圧力を加えます。2019年3月12日には、東京入管局にクルド人や支援者が集まり、敷地内を一晩占拠したことがあったという。
川口市のクルド人の間で出産ラッシュです。日本で子供を産めば強制送還されないとのうわさが出回っているらしい(支援者の女性)(p47)
移民による治安悪化とテロの発生
欧米では移民を推進しましたが、日本と同じ問題が起きています。ドイツでは外国人の犯罪容疑者数は、人口当たりではドイツ人の2倍で、クルド、コソボ、ロシア、レバノン系マフィアによる強盗、麻薬、売春などが横行しているという。また、中東からの移民に多いイスラム教徒は「民族的な植民地」を形成し、国家よりもイスラム教に忠誠を誓い、テロを行う人も存在します。
このような治安悪化、テロの発生によりドイツでさえ不法移民・難民の受け入れ制限、不法残留者の送還を増やしているのが現状なのです。
著者の意見は、クルド人が簡単に来日できるのはトルコ人が査証なしで来日できることが原因であり、査証免除をやめることでクルド人急増を効果的に予防できると提案しています。2023年8月4日、斎藤健法相は記者会見で、難民申請に制限を加える一方で、日本で生まれ育った在留資格のない外国人の子供に在留特別許可、「子供在特」を与えると発表しました。
著者は、日本のゆるさや、日本人の優しさに付け込まれ、押し切られることを懸念しています。今後どうなっていくのか検証していきたいと思います。三好さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・2022年末の送還忌避者4233人のうち4割近い1626人が、日本の刑事裁判で有罪判決を受けている・・殺人、強盗致死、強姦致傷、覚醒剤密輸などがある(p97)
・入管施設では、仮放免の許可を得るべく、体が悪いと診断されたい・・入管の点滴は受けない、薬は飲まないといった医療拒否も起こりうる・・暴言を受けることも後を絶たない(p121)
・「川口市立医療センター」前に、クルド人100人ほどが集まって、機動隊も出動する騒ぎとなり、救急搬送の受け入れが5時間半停止・・トルコ国籍の男性が複数のトルコ国籍の男から刃物で切り付けられた(p25)
・茨城県常陸太田市内を走行中の自動車内で、トルコ国籍の無職容疑者(29歳)が日本人の妻(25歳)の首をナイフで刺し殺害(p27)
▼引用は、この本からです
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三好 範英、新潮社
【私の評価】★★★★★(93点)
目次
第1章 川口・蕨「クルド人問題」の真相
第2章 「入管の闇」という偏向
第3章 移民規制に舵を切ったドイツ
第4章 理想論が揺るがす「国家の基盤」
著者経歴
三好 範英(みよし のりひで)・・・1959(昭和34)年、東京都生まれ。ジャーナリスト。東京大学教養学部卒。読売新聞社でバンコク、プノンペン、ベルリン特派員。2022年退社。
クルド人関連書籍
「移民リスク」三好範英
「ぼくたちクルド人: 日本で生まれても、住み続けられないのはなぜ? 」野村昌二
「クルドの夢 ペルーの家 ー 日本に暮らす難民・移民と入管制度」乾 英理子
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