【書評】「最高の人時生産性を実現し、戦略だけで収益を最大化させる逆論のBtoBマーケティング 受注プロセス戦略~実話で証明する十か条の提言」デ・スーザ リッキー
2025/03/24公開 更新

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【私の評価】★★★★☆(85点)
要約と感想レビュー
見込み客は絞るべき
逆論というよりも、企業の営業やマーケティング部門が陥りやすい落とし穴を教えてくれる一冊です。
例えば、展示会で見込み客を集めるとしましょう。多くの企業では、展示会で数多くの名刺を集めることばかりに集中してしまうのです。結果して、実際に営業マンが連絡してみると、商談に結びつないことが多いというのです。
当たり前の話のようですが、展示会で集めるべき名刺は、商品に興味を持ってくれた人、すぐに商品を使ってみたいので情報がほしいという人に絞るべきなのです。営業マンの数が限られているわけですから、BtoB事業においては、見込み客は量より質が重要なのです。
展示会・・・商談に結びつくリードを、獲得した名刺を分母としたときに10~20%前後という高い確率で生み出すことを必要最低限の目標としています(p56)
BtoBではSEOは効果が少ない
同じような意味で、BtoBビジネスにおいては、SEOを活用した集客は効果が少ないので、資金をかけるべきではないと断言してます。つまり、BtoBビジネスでは、見込み客である企業内で稟議書を通す必要があるので、ネットで検索できたから即採用というわけにはいかないのです。検索順位が上位だからといって、購買につながる確率は高くないのです。
さらに、BtoBビジネスでは資金力のある企業が、自社の商品やサービスを真似してくる可能性があります。したがって、派手にSEOや広告で露出を増やすのは、ライバルから目をつけられ、真似されるリスクが高くなってしまうので、目立たないように商圏を広げていくのがコツだという。
資本力のある競争相手に目をつけられると、彼らは豊富なリソースを駆使して、容赦なく新規参入者を叩き潰しにかかります・・・「目立つことを避ける」(p133)
専門家を中途採用しない
面白かったのは、企業において営業やマーケティングの強化を行うときに、ついやってしまいがちな「間違った打ち手」です。よくある間違った打ち手は、外部から専門家を中途採用したり、社員の底上げのために研修を実施したり、部門連携改善のために組織改編することだという。
どこが間違いなのかといえば、中途採用については、優秀な人はコストが高く、定着しにくばかりでなく、その人一人に依存する組織は、長期的に見れば脆弱だからです。
また、研修や組織改編も実践なき研修だけで終わったり、組織間の会議が増えるだけで効果がない場合が多いというのです。つまり、自らの活動で成果を出せるマーケティング組織を自社で持つようにならなければ、永続性はないわけです。
著者の会社がマーケティングの仕組みを作ることを仕事にしているからだと思いますが、外部のマーケティング支援事業者に依存するのではなく、自社でマーケティングを継続的に行っていけることが理想としています。
外部の支援事業者に依存するリスク・・外部からの助言が本当に正しいのかどうか、企業内部で判断できない(p212)
マーケティングを外部依存しない
外部支援事業者にマーケティングを依存すると、短期的な利益ばかり追ってしまう可能性があります。さらには、自社の本質的なビジョンや独自の強みや価値観を損なう可能性もあるという。マーケティングは顧客創造であり、企業の中心的活動ですから、他社依存は大きなリスクなのです。
したがって、自社のマーケティング活動で成果を出し続けていくことができるように、基本のパターンを構築し、マニュアル化し、継承していくことが重要なのです。デ・スーザさん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・人は採用しない・・過剰な採用はコストを増大させ、管理の煩雑さを招きます(p169)
・マーケティング部門が・・質の低いリードを追い求める一方で、営業部門がその結果苦しむ状況(p62)
・必要最小限の分析にとどめ、仮説や事実に基づいた意思決定と検証を優先(p170)
・「100パターンの解決メソッド」を謳う企業がある一方、「たったひとつのメソッドで結果を出す」というメッセージを発信(p95)
▼引用は、この本からです
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デ・スーザ リッキー 、エベレスト出版
【私の評価】★★★★☆(85点)
目次
第1章 株式会社Marketer's Brainの成り立ちとポジション
第2章 その会社は「何をやらなかった」のか
第3章 伏龍のマーケティング戦略
第4章 後発のマーケティング戦略を実現する「逆論」とは
第5章 「逆論」の誕生前夜と、その責務
著者経歴
デ・スーザ リッキー(Ricky de Souza )・・・1979年生まれ、明治大学卒。2019年株式会社Marketer's Brain設立。同社代表取締役社長。営業およびマーケティング領域において「商い」を、しくみ化し、クライアント企業の業績を急進させるプロフェッショナル人材。クライアントは年商数億円規模から、個人コンサルタントとしては異例の東証プライム上場企業の指導実績も多数。
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