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【書評】「このオムライスに、付加価値をつけてください」柿内尚文

2025/08/07公開 更新
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「このオムライスに、付加価値をつけてください」柿内尚文


【私の評価】★★★★☆(84点)


要約と感想レビュー


付加価値の伝え方事例集

不況といわれる出版業界の中で、ヒットメーカーと言われる柿内さんの一冊です。内容としては、伝え方事例集という趣きの一冊でした。


プロの編集者の強みは、伝え方を工夫することで付加価値を作り出し、売れないものも売れる!ということなのです。


ちなみにタイトルの答えの一例としては、ケチャップで応援メッセージを添えてオムライスの代金の一部が寄付される「復興支援オムライス」にするというもの。


仕事とは「付加価値をつくること」(p171)

付加価値の伝え方

まず、商品の付加価値は、相手に伝わらないと意味がありません。


著者はパセリを例としてあげていますが、パセリが洋食の付け合わせで出てくる理由は、見た目だけでなく、殺菌効果、消化促進効果、消臭効果があることです。しかし、その理由を知らず、パセリを食べない人が多いのです。


その反対に、丸亀製麺ではお店の中に「厳選した小麦、打ちたて、茹でたて」を掲示して「丸亀製麺のこだわり」伝えようとしていることがわかります。


また、相手に伝えるために効果的なのは、小話やストーリーです。その商品をなぜ開発しようと思ったか、アイデアを発想したときのエピソード、商品化までの苦労、困難、葛藤、挫折、社内対立、ライバルとの戦いなどを含めながら伝えるのです。


小さな焼き鳥屋から創業したトリドール・・・「感動」という体験価値を中心に据え・・丸亀製麺は1号店の開業から今にいたるまで、必ず店舗で製麺し、打ちたて・茹でたてを提供しています(p85)

付加価値はアイデア競争

商売とは、付加価値の競争です。


例えばヨーグルトでいえば、健康効果で差別化、味付けで差別化、容器のサイズで差別化、品質や安心安全で差別化、価格で差別化しようと各社が努力していることがわかります。


また、タオルで言えば、小さいタオルは原価500円かもしれませんが、推しのタレントの名前が入っていれば3000円でも買いたい人がいるのです。魚市場であれば、市場で買った鮮魚をその場で食べることのできるサービスを提供している魚市場があります。


神奈川県の不動産会社では、アパート入居者向け食堂「トーコーキッチン」を設置して、アパートがほぼ満室だという。栄養満点の定食屋が近くにあるというのは大きな付加価値なのです。


体験価値・・北海道釧路市の市場でやっている「勝手丼」・・・最初に白ごはんを購入し、後は市場を回りながら自分の好きなようにごはんにのせる魚を選んでいく仕組み(p300)

付加価値は伝え方が9割

付加価値は、ネーミングだけで伝わることがあります。


たとえば、売れない野菜でも「訳あり野菜」と名付けると売れたりします。せまい店であっても、「セレクト」「厳選」したお店としてPRすることもできるのです。KitKatも、「きっと勝っとお」の語呂合わせで、受験前に売上を上げています。


考え方しだいで、何にでも付加価値をつけることはできる!というのが著者の言いたいことなのです。柿内さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言


・階段に付加価値をつけてください・・・ある駅の階段には、右のイラストのような表記がありました「-0.1kcal 階段で健康生活スタート!」「-0.3kcalウォーキングでメタボ解消」(p26)


・小話プラス・・・秀吉は信長の草履を懐で温めておき、冬の寒い日に暖かい草履を差し出した(p99)


・うまくいく人・・行動力がある・・失敗を学びとして活かす・・人間関係の構築がうまい・・学び続けている・・自分を成長させる環境を選ぶ・・長期的視点・・健康や時間の自己管理をしている(p157)


▼引用は、この本からです
「このオムライスに、付加価値をつけてください」柿内尚文
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柿内 尚文(著)、ポプラ社


【私の評価】★★★★☆(84点)


目次


第1章 付加価値とは何か
第2章 付加価値をどうつくるか?
第3章 自分の付加価値をつくる
第4章 付加価値をつくる考え方
第5章 付加価値をつくる技術


著者経歴


柿内尚文(かきうち たかふみ)・・・1968年、東京都出身。聖光学院高等学校、慶應義塾大学文学部卒業。読売広告社を経て出版業界に転職。ぶんか社、アスキーを経て現在、株式会社アスコム常務取締役。長年、雑誌と書籍の編集に携わり、これまで企画した本やムックの累計発行部数は1400万部以上、10万部を超えるベストセラーは60冊以上に及ぶ。現在は本の編集だけでなく、編集という手法を活用した企業のマーケティングや事業構築、商品開発のサポート、セミナーや講演など多岐にわたり活動


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