【書評】「ニャンとかなるネコ流仕事術」菊原智明
2025/10/21公開 更新

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【私の評価】★★★★☆(84点)
要約と感想レビュー
売り込まないほうが信頼される
ネコのように、ツンデレ(そっけない「ツンツン」した態度とる一方で、時に甘えたり「デレデレ」する)のほうが営業マンとして売れる!という一冊です。
例えば、ショールームでの接客なら、良い点を紹介するだけでなく、「こんなデメリットがあります」など、お客様には悪い点も伝えます。すると一気にお客様の警戒心が解けるのだという。
そして、あくまでも「買いたいと思ったら声をかけてください」というスタンスで臨むと、お客様は話をよく聞いてくれるというのです。逆に、「今、なんとかして売らなくては!」と力みすぎると、相手に「圧」が伝わってしまいお客様は引いてしまうのです。
成果を出す人は「相手が必要でなければ売らない」ということも大切にしている(p99)
気軽に相談される関係をつくる
著者は住宅メーカーの営業マン時代に、家を作るときのコツを書いた「営業レター」をお客様に送り続けてトップ営業マンになりました。その「営業レター」では、家を作るときの注意点として、良いところも悪いところもすべて正直に書いていたので、お客様の信頼を得たのです。
著者が営業マン時代に意識していたのは「半年後、1年後に思い出してもらえる関係をつくる」ということです。つまり、見込み客が「家を買おう」と思ったときに、最初に声をかけてもらえるように情報提供を続けていたわけです。
お客様視点で考えれば、売ろう売ろうとする営業マンより、お客様にとって良い情報を提供してくれる営業マンと付き合いたいと思うのは当然でしょう。
結果を出している人は活動の目的を「売ること」ではなく「存在感」を示すこと(p52)
自分らしく長期的に売上をつくる
営業マンが売り込まないということは、短期的には成果が出にくいということです。著者は営業はマラソンのような仕事なので、1か月だけの好成績よりも、年間を通じて安定した成果を出すほうがトータルの数字は伸びると断言しています。
だから、「気合で新規顧客50件アプローチ」などと目標を高くしすぎるよりも、「1日10件新規にアプローチ」などと確実に継続できる目標を設定するのがよいという。そして、「一気に契約を決める」のではなく、「何度も会える関係をつくる」ことを意識して、長期的に売り上げは上がればいいという余裕が売上を作るというのです。
自分を必要としてくれる人とだけ付き合う(p37)
人間関係マーケティング
「オファー」で顧客の行動を促すダイレクトマーケティングとは、正反対の人間関係マーケティングでした。住宅メーカーのようが高額商品や、法人ルートセールスでは、こうした営業マンのスタイルが望ましいのでしょう。
よく考えれば書評の世界でも、ほとんどのメディア書評は本を売るために書かれています。読者にデメリットを伝える書評はほとんどありません。だから私は、30年も良い本と出会えなかったんだな、と納得してしまいました。
菊原さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・気軽な接触・・季節やイベントに合わせた短いメールを送ったり、相手のSNSで軽いリアクションをしたりする(p55)
・人間関係では、たまに長話をすることよりも、日常的な短い声かけ・・「おはようございます、〇〇さん。今日も頑張りましょう」という5秒の声かけをするだけで良い(p43)
・人間関係を深めるときにはときに「甘えること」が大切な要素になってきます(p131)
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菊原智明 (著)、宝島社
【私の評価】★★★★☆(84点)
目次
Part1 追いかけずに結果を出そう
Part2 「気まぐれ」で信頼関係を育てる
Part3 最後に選ばれる人になろう
Part4 結果を出すための休み方
Part5 上手な甘え方を身につける
Part6 ニャンとかなる自分のリズムをつくる
著者経歴
菊原智明(きくはら ともあき)・・・営業サポート・コンサルティング(株)代表取締役。群馬県高崎市生まれ。工学部機械科卒業後トヨタホームに入社。7年もの間クビ寸前の苦しい営業マン時代を過ごす。訪問から「営業レター」に重点を変え4年連続トップの営業マンに。約600名の営業マンの中でMVPを獲得。2006年に独立。営業サポート・コンサルティング株式会社を設立。2010年より関東学園大学にて学生に向け【営業の授業】を行う。
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