【書評】「デジタル戦争の真実」神谷宗幣
2025/10/20公開 更新

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【私の評価】★★★☆☆(79点)
要約と感想レビュー
日本のネットサービスを使おう
極右と言われる参政党の神谷宗幣(そうへい)氏の考え方を、チェックするために読んだ一冊です。
この本では、日本国のネットサービスのほとんどが外国企業によって運営されていることに警鐘を鳴らしています。例えば、日本政府や地方自治体が利用するクラウドサービスはamazonのAWSがほとんどです。また、代表が中国籍である「グランドユニット」が官公庁のシステムを多数落札しているというのです。本当なのでしょうか。
神谷さんは、デジタル庁がスパイ防止法も未整備なまま、日本のデジタル化を海外の企業に依存することに懸念を示しているのです。対策としては、日本独自のサーバやクラウドサービスを開発する必要がありますが、開発を試みるたびに外国から妨害されてきたという。本当なのでしょうか。
また、日米デジタル貿易協定では、データ移転を制限しないこと、特定の地域にサーバを設置する義務を課さないよう要求しています。著者はEUの一般データ保護規則(GDPR)では「EUがデータを自由に移転できる」と記載されており、日米デジタル貿易協定は不平等条約だ!と批判しています。本当なのでしょうか。
ドイツ・・脱Microsoftを図ってLinuxというOSを使用したオフィスソフトを開発して、自治体レベルで導入しています(p36)
マイナンバーカードの問題点
マイナンバーカードについては、非常に便利な一方で、地方自治体が発行するためチェックがゆるいという課題があります。実際、不法滞在のフィリピン国籍の女性が、日本国籍の娘の公的証明書を基に市役所でマイナンバーカードを手に入れ、生活保護まで受給していた事例があります。
その他のリスクとしては、印鑑証明は、マイナンバーカードと暗証番号だけでコンビニで簡単に発行できます。不動産や銀行口座の名義を勝手に書き換えられるリスクがあります。
同じように出生届も医療機関の出生証明書の画像データがあれば、マイナンバーカードを使ってマイナポータルから簡単に提出できます。以前は出生証明書に医師の電子署名の添付が必要でしたが、法務省の省令改正により、電子署名がなくても提出できるようになりました。偽の出生証明書で容易に子どもを産んだことにして、子どもを海外から連れてくることができるのです。
マイナンバー健康保険証が流通して個人情報が医療機関に登録されると、いわゆる「なりすまし行為」や医薬品の転売といった行為が不可能となります(p87)
メディアによる情報操作
後半はデジタル覇権戦争から発展して、メディアによる情報操作へ移っていきます。中国共産党は1998年からネット検閲システム「グレートファイヤーウォール」を設置して、都合が悪い情報を削除し、外国の情報から国民を遮断しています。
日本においても、戦後のGHQの占領統治で、日本人に戦争に対する罪悪感を植え付けるため、共産主義的な思想を持つ人々を、教育現場や報道機関に送り込んだとしています(本当でしょうか)。報道機関は、愛国心や日本の防衛を強化しようという意見に対しては、報道しないか、「極右」「軍国主義」といったレッテルを貼って潰してきたのです。
報道機関は市民の思想をコントロールしようとしており、例えば、外国人を受け入れていくことは正義であり、移民に反対するのは「極右の差別主義」といった報道を繰り返すのも同じことです。
例えば、中国は南京大虐殺を世界的にプロパガンダしていますが、日本人が国際法を無視して、30万人もの民間人を意味もなく虐殺するわけがなく、ある事実は日本が南京を支配してから南京周辺の人口が増えたという事実だけなのです。南京大虐殺を事実として報道する日本のマスメディアの背景には何があるのか?と著者は問うのです。
マスメディアは、意図を持っており報道対象のイメージを作り上げるわけです・・・大東亜戦争へのイメージを戦後のメディアによって作り上げられたものが多いのではないでしょうか(p112)
変えようとする人は抹殺される
神谷宗幣(そうへい)氏の基本認識は、外国勢力が金融や法律、情報操作で世界をコントロールしようと活動しているというものです。その例としては、次の2点をあげています。
一つは、かつて、日本企業の株の多くは日本の金融機関が持っていました。日本の金融機関が規制をかけられて、保有していた株を売らされ、現在は半数の株式を外国資本に買われてしまったという事例です。
二つ目は1958年にアメリカの共産党が掲げていた45の目標を紹介しており、「弱者を見つけ出し、強者と比較して社会を分断すること」「反対する者は「差別主義者」「外国人嫌い」などのレッテルを貼って反論させないこと」などと書かれていたことです。
つまり、国際社会とは、金と力と情報による弱肉強食の世界であり、外国勢力はその支配力を高めようと日々努力しているということなのです。それは外交でも同じです。実際、ハニートラップで自殺した外務官僚もいますし、国会議員が、中国人女性秘書に議員会館内を自由に往来できる通行証を与えていたケースもあるのです。
しかし、日本ではスパイ防止法が提唱されるたびに司法界の一部から反対や懸念の声が上がります。司法会は外国勢力やスパイ活動を手助けしようとする人に支配されていると著者は感じるようです。
最後に、著者は日本を大きく変えようとする気概を持つ人物は元総理大臣であっても社会的、あるいは本当の意味で抹殺され続けてきたとしています。それでも著者は政治家として、この本を書いているわけです。
大筋は正しいと思いますが、無理やりつなげている事例もあり、もう少し裏付け調査が必要です。神谷さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・未だに世界各国には当たり前にある「スパイ防止法」が日本にだけはありません。主権を取り戻せていないからです(p153)
・かつての奴隷売買は安い労働力を手に入れることが主な目的でしたが、現代では豊かな国に他国の移民を大量に流入させるというビジネスが誕生しました(p61)
・大抵の外国人は日本人より政治意識が高いので、外国人参政権が認められたら、数多くの外国由来の人物が今以上に日本の政治に入り込む形いなります(p136)
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神谷宗幣 (著)、青林堂
【私の評価】★★★☆☆(79点)
目次
第1章 海外勢力に支配されつつある日本のデジタル主権
第2章 マイナンバーカードの危険性と将来性
第3章 日本を支配しようとするグローバリズム
第4章 数百年前から続く日本とグローバリズムの戦い
第5章 日本を防衛するための情報と方法
著者経歴
神谷 宗幣(かみや そうへい)・・・参議院議員・参政党事務局長。1977年福井県生まれ。関西大学卒業後、29歳で吹田市議会議員に当選。2010年「龍馬プロジェクト全国会」を発足。2013年ネットチャンネル「CGS」を開設し、政治や歴史、経済をテーマに番組を配信。2020年、「参政党」を結党。2022年に参議院議員に当選。
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