【書評】「子供たちに伝えたい「本当の日本」」神谷 宗幣
2025/09/23公開 更新

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【私の評価】★★★★☆(85点)
要約と感想レビュー
政治家になろうと決意する
参政党の神谷 宗幣さんは、極右と言われていますが、YouTubeで演説している内容を聞いていると普通の内容です。神谷さんは何を目指しているのか一冊読んでみました。
まず、神谷さんが日本の未来を考えるようになったきっかけは、カナダへの留学です。留学中に友人に、「君は日本人として、これからの日本をどうしていきたいと思っているの?」と聞かれて、神谷さんは何も答えられなかったのです。
これはよくあるパターンです。しかし、神谷さんは具体的に動き出すのです。日本に戻ってきて、友だちに、「日本の行く末も考えていかないとまずいんじゃないか?」と問いかけているうちに、「神谷は変な宗教に入ってる」と言われるようになったという。
また、別の友人に相談すると、「そういうことを考えているなら、政治家になれよ」と言われ、神谷さんは素直に政治家になろう!と決意したというのです。
大学を卒業する頃の僕は、「政治家になって、教育を変えて、日本の若者の意識を変える」なんていう青臭い想いに燃えていた(p18)
情報発信をはじめる
2005年、28歳で議員インターンとなり、29歳で大阪の吹田市議会議員となります。2012年、35歳のとき市議会議員を辞め、自民党から衆議院選挙に出馬するもメディアで人気の候補者に完敗。
無職となった神谷さんは、自分の会社を立ち上げ、教育と情報発信をはじめます。神谷さんは政治活動中に、いろいろな先生や専門家の話を聞いて、「日本人は本質的な情報が知らされていない」と気付いたので、それを伝えようと考えたのです。
また、日本では国民の意識がマスコミによって左右されている現実を直視し、自分のメディアを作って情報発信することで、現状を変えたいと考えたのです。
そもそも、戦後からずっと、メディアと教育によって日本人がマインドコントロールされてきたというのが神谷さんの認識なのです。
インターネットチャンネル・・「日本を建て直すための大戦略を、みんなで考えませんか?」・・2018年からは「イシキカイカク大学」というネットとリアルで学べる大学も運営し始めた(p25)
日本人のマインドコントロール
大戦後のアメリカの日本占領政策は、日本の憲法を作りかえ、日本が一人立ちできないようにするために軍隊を放棄させることにしました。
日本人をマインドコントロールするために検閲制度をつくり、マスコミの自由を奪いました。
日本の経済力を奪うために財閥解体を行い、農地解放で農村の小規模化により農村コミュニティを潰しました。
国民と皇室を切り離すために国家神道を廃止し、政教分離を徹底させました。
教育をコントロールするため教育委員会制度と日教組を作り、道徳・歴史・武道を廃止して日本人らしさを失わせようとしたというのが神谷さんの解釈です。
神谷さんは、日本の大学の多くが「軍事研究はしない」ことについて戦後占領政策の呪縛にはまっているとしか言いようがないと断言しています。
戦後もアメリカ政府は日本に様々な要望を突き付けてきました。それに逆らった政治家は、なぜか失脚して、その要求に応えた政治家は長く政権を維持できると神谷さんは解説するのです。
占領軍のトップとしてやってきたマッカーサーが、1853年にペリーが船に掲げていた星条旗を持ってきた・・彼らの「ついにやったぞ」という想いが伝わってくる・・この旗は、日本は敗戦の調印をさせられたミズーリ号の甲板の上に今でも飾られている(p54)
現代の情報戦という戦争
神谷さんの国際関係の認識は、各国が情報戦・心理戦を仕掛け、味方を増やし、敵を孤立させようとしているということです。
例えば、日本が戦争中に女性を性奴隷にしていたとか、罪のない一般人を何十万人も大虐殺したといった情報は、日本の残虐性を印象づけて日本を追い込むことを目的にしているのです。
過去には中国で、日本が世界征服を企んでいるという文書(田中上奏文)が流布され、日本への不信感を醸成することに成功した例もあるのです。
それ以外にも、「平和」「平和」と訴えて相手を油断させ防衛力を弱体化させ、その隙に攻め込んだり、核兵器で脅して相手に言うことを聞かせる方法もあります。
中国なんかには、「日本が世界征服をたくらんでいる」っていう偽の文章を世界中にばら撒かせて、自分たちが日本を袋叩きにしても他の国から非難が出ないようにもしていた(p50)
高い国防力と経済力の両立
神谷さんの目指す日本は、軍事の技術と知識によって国防力を強化し、その技術を民間転用することで、高い経済力を持った平和国家です。
過去には外国のスパイがたくさん日本に入り込んで、国内で日本に戦争をさせようと煽っていた歴史があります。その対策も必要でしょう。
また細かいところでは、日本の病院では収入を確保するために患者に薬を出したがります。日本人の薬の使用量は人口当たり世界一と神谷さんは指摘し、そうした歪みを政治家が変えることができないのも日本なのです。
神谷さんの主張は内容をチェックする必要があると思いますが、再エネ不要論は合理的な内容でした。もう少しチェックしたいと思います。
神谷さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・市民革命・・王の存在を邪魔に思っていた商人や貴族たちが結託して、民衆を煽ってやらせた・・どうやって誘導したかというと、当時から新聞などのメディアをうまく使っていった(p79)
・宣教師といえば、布教活動だけするイメージだけど・・・情報収集をしていたんだ・・情報を集めたら次のステップ・・いわゆる「分断工作」」・・インディアン同士を仲違いさせて、武器を渡して戦わせる(p35)
・薩摩藩や長州藩がイギリスなんかと個別に戦争をしていく・・欧米諸国は作戦を変えた。直接、自分たちが戦うのではなくて、内部で戦わせておいて弱ったところを叩くという方法に切り替えたんだ(p45)
・最初に自民党を組織させたのはアメリカだ・・対抗した社会党には、旧ソ連なんかが資金提供していた(p62)
▼引用は、この本からです
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神谷 宗幣 (著)、青林堂
【私の評価】★★★★☆(85点)
目次
第1章 なぜイシキカイカクが必要なのか
第2章 世の中の仕組みと日本の立ち位置を知る
第3章 日本のビジョンを考えよう
第4章 日本を支える子供たちに必要な力
第5章 12のアクション
第6章 本当の日本をつくる
著者経歴
神谷 宗幣(かみや そうへい)・・・参議院議員・参政党事務局長。1977年福井県生まれ。関西大学卒業後、29歳で吹田市議会議員に当選。2010年「龍馬プロジェクト全国会」を発足。2013年ネットチャンネル「CGS」を開設し、政治や歴史、経済をテーマに番組を配信。2020年、「参政党」を結党。2022年に参議院議員に当選。
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