【書評】「至高の営業」杉山 大二郎
2025/09/22公開 更新

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【私の評価】★★★★★(90点)
要約と感想レビュー
量が質を向上させる
トップ営業マンが業績最下位支店の所長として業績を立て直すという、小説仕立ての一冊です。最後に落ちがありますが、それは読んでのお楽しみ。
まず営業立て直しは、未契約顧客への飛び込み訪問の改善からです。著者の会社はコピー機などのオフィス機器、小説の会社はコンピュータ関連機器を売っているので、市場は飽和しており、飛び込み営業での新規開拓が有効なのでしょう。
飛び込み営業は、ほとんど断られますが、一定の確率で話を聞いてもらえます。まずは、活動量を増やすことにより、数値を上げていきます。活動量を増やすと、その経験からその業界の基本プロセスに詳しくなり、質の向上、つまり成約率の向上につながります。
この本では、ビルを午前中に回り、午後にも不在企業を再度回って活動量を2倍にしています。さらに30分の休憩中には、話を聞いてもらった企業へアフターレターを書きます。これで感謝の気持ちを伝えるのです。
アフターレターを書きましょう・・すべてのお礼状を書きましょう・・感謝の気持ちが伝わればいいんですから(p66)
お客様の業務フロー全体を最適化提案
飛び込み営業で話を聞いてもらえたら、次回は提案のために訪問します。事前準備としては、同業他社の成功事例や失敗事例を調べたり、関連する自社セミナーの案内、最近の業界動向をA4一枚程度のレポートにしてみるのもいいでしょう。
さらに関係性を築けたら、お客様の業績拡大のために、業務課題の改善を提案するのです。そして提案内容は、自社商品だけの提案ではなく、お客様の業務フロー全体を見える化し、最適化を提案する顧客起点の提案であることが重要です。
本書の内容は、キーエンスのように企業に入り込んで、その企業の仕事のやり方、ボトルネックを把握したうえでの提案で同じものだと感じました。
お客様を訪問し、その業務フローを現場で学び、多様な経営課題や業務課題を商談の中でお客様と共有していく。それによって営業マンの提案力は培われていくのです(p167)
営業の情熱とお客様の情報
営業としてお客様との関係度を、指標化することを提案しています。定量化するのは、「情熱」と「情報」です。
「情熱」は、こちらの提案の情熱度であり、訪問回数や提案内容に相手が信頼をしてくれているかということです。「情報」は、どれだけ顧客の仕事を把握しているのか、お客様から相談されるくらい、信頼されているのかということです。
顧客から情報を得るには、まずは褒めることが大切だという。つまり、お客様が苦労して作り上げた現状の仕事の仕組みを肯定するのです。そのうえで、「問題はないのですね。」と聞いてみるのです。
そうすると、自然とお客様の方から現状課題について話をしてくれるものだという。つまり、褒めたりして関係性が作れなければ、本当の課題を指摘したとしても受け入れられる可能性は低いのです。
営業マンの仕事は、お客様と関係性を作り上げ、把握した課題や現状の情報は社内で共有し、社内の衆知を集め、お客様に提供することなのです。
情報は共有されて初めて、資産となるのです・・顧客情報を個人ファイルにしている人もいますが、これではまったく意味がありません(p160)
営業とは至高の仕事
「至高の営業」というタイトルどおり、営業という仕事は、お客様に解決策を提供し、お客様に幸せになってもらう一生をかけるに値する仕事であるということを伝えたいのだと思いました。だから、飛び込み営業する時も、お客様に喜んでもらう自信があるから、堂々と飛び込み営業できるのです。
確かに、よく考えれば、トップ営業マンとは、お客様のニーズを満たし、課題を解決し、お客様を最も喜ばせた人なのです。
ストーリーも秀逸で、さすが価値を伝えるプロのトップ営業マンだと思いました。杉山さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・一か月以上空けたら、何回訪問したって初回訪問なんです・・印象が残っているうちにまた行けば、それは再訪問になります。少しずつ関係も作れるかもしれない。その最たるものが、当日中の再訪問なんです(p65)
・問題を解決するにはどうしたらいいのか・・社員を集めて改善チームを作りましょうって。そのチームに自分も参加させて欲しい(p118)
・未取引顧客に対して、当社の提供しているサプライのネット通販の会員登録を案内してください・・・信頼を勝ち得る商品って、日常の生活を支えてくれるものが一番らしいですよ(p133)
▼引用は、この本からです
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杉山 大二郎 (著)、幻冬舎
【私の評価】★★★★★(90点)
目次
一ヶ月目 営業マンは、仕事の質なんか求めちゃいない
二ヶ月目 営業マンは、お客様の要望なんかに応えちゃいけない
三ヶ月目 営業マンは、明日の予定なんか立てちゃいけない
著者経歴
杉山 大二郎(すぎやま だいじろう)・・・1966年、東京都生まれ。元 リコージャパン株式会社 販売戦略本部 販売力強化センター センター長。在職中は営業マネジャーを経て、マーケティング部門、営業マン教育部門、プロモーション部門を担当。SFAやCRMによる営業革新分野では、日本国内の第一人者である。独立後はコンサルタントとして多くの大手企業をクライアントに持ち、講演会や研修講師として全国を飛びまわる傍ら、作家としても小説の執筆を手がける。
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