人生を変えるほど感動する本を紹介するサイトです
本ナビ > 書評一覧 >

「ボケ日和―わが家に認知症がやって来た! どうする?どうなる?」長谷川 嘉哉

2021/05/07公開 更新
本のソムリエ
本のソムリエ メルマガ登録[PR]

「ボケ日和―わが家に認知症がやって来た! どうする?どうなる?」長谷川 嘉哉


【私の評価】★★★★★(96点)


要約と感想レビュー

介護者は無理をしないこと

家内の友人の母親が認知症になって同じことを繰り返すので困っていると聞いて、手にした一冊です。この本では家族が認知症になったらどうなるのか、どうすれば良いのか、認知症専門医が教えてくれます。


まず、大切なことは介護者は無理をしないことです。介護者に余裕がなくなれば、笑顔もなくなり、家族崩壊にもつながりかねません。デイサービスやショートステイなどの介護サービスを利用することでできるだけ介護者は「ラク」をすべき、というのが著者の提案です。


世の中には、「なんで施設に入れるの?・・・そんな言葉で、実際に介護しているご家族の「入所の決断」に水を差す人がいます。業界では、「ぽっと出症候群」と言われているようですが、知識も経験もなく、介護もしていない人間に、口を出す権利はないのでしょう。


患者さんよりも、介護者さんの心身を守ること。ご家族に認知症の方が出てきたとき、これが一番大切なこと(p12)

ヘルパーさんに家の中に入ってきてもらう

そして、認知症がどのように進行するかを知っておけば、感情的になったりオロオロしたりすることを避けることができます。認知症はゆっくりと進行していきます。認知症になると怒りっぽくなる、物忘れをする、着替えができなくなる。同じ話を何度もするようになる。さらに進行してくると暴言、妄想、徘徊するようになり自宅での介護が難しくなってきます。


一番困るのは怒りやすくなり、暴力を振るうようになったりすること。こうした場合は、気持ちを穏やかにする薬で対応できることを知っておきたいものです。著者のアドバイスは、ケアマネージャーを通じて、ヘルパーさんたちなどを手配してもらって、どんどん家の中に入ってきてもらうことです。一人で抱え込んでしまうと、深刻な介護ウツになる方もいるのです。


特に困るのが、患者さんがやたらとカッカして攻撃的になることです・・・患者さんの気持ちを穏やかにする薬があります(p123)

共感を呼ぶストーリー

タイトルの「ボケ日和」とはボケ老人と散歩をしながらのんびりできる家族のイメージです。認知症を理解できれば、ボケ老人に「今日は何月何日?」と聞くのではなく、カレンダーを見ながら「今日は3月3日、ひな祭りだね」と伝えるような対応ができるというのです。


そうした平和な介護生活のためにも認知症への理解と事前の準備を進めなくてはならないのでしょう。老人の半分が認知症になるであろう時代に、必読の一冊だと思いました。★5とします。長谷川さん、良い本をありがとうございました。


無料メルマガ「1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』」(独自配信)
3万人が読んでいる定番書評メルマガ(独自配信)です。「空メール購読」ボタンから空メールを送信してください。「空メール」がうまくいかない人は、「こちら」から登録してください。

この本で私が共感した名言

・65歳以上の5人に1人が認知症・・・90代の6割が、100歳以上の6~7割が認知症であることもわかっています(p10)


・万引きで検挙された方の年齢を見ると、少年が18%、高齢者が29%(法務省、平成28年調べ)(p56)


・「アンタお金盗ったでしょ!」は、患者さんの「この人がいないと困る」の裏返し・・・一番頼りにしている人(p132)


▼引用は、この本からです
「ボケ日和―わが家に認知症がやって来た! どうする?どうなる?」長谷川 嘉哉


【私の評価】★★★★★(96点)


目次

第一章 ちょっと変な春(認知症予備軍)
第二章 かなり不安な夏(初期・軽度)
第三章 困惑の秋(中期・中等度)
第四章 決断の冬(末期・重度)



著者経歴

長谷川 嘉哉(はせがわ よしや)・・・1966年、名古屋市生まれ。名古屋市立大学医学部卒業。認知症専門医、医学博士、日本神経学会専門医、日本内科学会総合内科専門医、日本老年病学会専門医。祖父が認知症になった経験から医師の道を志す。ライフドクターとして、在宅医療では50,000件以上の訪問診療、500人以上の在宅看取りをしてきた。現在、医療法人ブレイングループ理事長として、在宅生活を医療・介護・福祉のあらゆる分野で支えるサービスを展開している。


認知症関連書籍

認知症からあなたと家族の財産を守る方法」木下 翔太郎
家族よ、ボケと闘うな!」長尾和宏、近藤誠
「ボケ日和―わが家に認知症がやって来た! どうする?どうなる?」長谷川 嘉哉
認知症に備える」中澤 まゆみ , 村山 澄江


この記事が参考になったと思った方は、クリックをお願いいたします。
↓ ↓ ↓ 
 にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

ブログランキングにほんブログ村


メルマガ[1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』]
3万人が読んでいる定番書評メルマガです。
>>バックナンバー
登録無料
 

<< 前の記事 | 次の記事 >>

この記事が気に入ったらいいね!

この記事が気に入ったらシェアをお願いします

この著者の本 , ,


コメントする


同じカテゴリーの書籍: