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「認知症に備える」中澤 まゆみ , 村山 澄江

2021/11/08公開 更新
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「認知症に備える」中澤 まゆみ , 村山 澄江


【私の評価】★★★★☆(85点)


要約と感想レビュー

認知症になると銀行の預金を解約できない

高齢化社会の日本では、中小企業の事業継承が問題となっていますが、個人財産の継承も問題となっているようです。例えば、個人で賃貸アパートを所有している70代の夫婦がいたとしましょう。ある時、ご主人が認知症と診断されてしまうと、アパートの修繕、売却はできないし、銀行の定期預金も解約できなくなってしまいます。


仮に治療費用捻出のために、賃貸アパートを売却する場合には、裁判所に成年後見人の申立てを行うことになります。この手続きに2ヶ月の時間と、数十万円の費用がかかることになってしまうのです。


法定後見制度の利用にかかる費用・・・収入印紙3400円、切手3270円、診断書の費用5000円程度、鑑定費用5万~15万円、基本報酬1000万円以下、成年後見人月額2万円・・監督人月学1万~2万(p172)

家族信託で不動産の修繕や売却が可能

この本では不動産、現金、株式などの資産を持つ高齢者は、認知症になる前に、事前の準備をしておくことをお勧めしています。事前の準備としては大きく分けて次の2つです。


一つは任意後見制度で、事前に後見人を「公正証書」の契約書で決めておくことです。家族を任意後見人にしておけば、親が認知症になったときに任意後見監督人への報酬支払いのみで任意後見人が財産管理を行うことができます。


もう一つは家族信託で、事前に不動産や現金などの財産管理を家族に託すのです。信託契約締結後に、不動産の名義変更もしてくことで、不動産の修繕や売却が可能となるのです。


任意後見にかかる費用・・・契約締結時・・約2万円、外注 10~20万円・・・任意後見監督人報酬、月額1万円~(裁判所が判断)(p187)

認知症になると実家を売ることができない

この本では家族信託を中心に説明されていますが、これは家族間で事業継承を行うようなものでしょう。資産を持つ高齢の両親の財産管理を元気なうちに子どもに継承しておくということです。財産管理は子どもの負担となると思いますが、いずれ相続するのであれば、早いうちに継承しておいたほうが、万が一の場合の保険となるのです。


また、いずれ実家が空き家となる可能性があり早めに処分したいと考えている人にとっても親が認知症になると実家を売ることができなくなりますので、今のうちに万が一のときにどうするのか、または事前に準備しておくのか考えておくべきなのでしょう。高齢の親が財産を持っているという方も多いと思いますので、こうした本をきっかけに両親と対話してみてはどうでしょうか。中澤さん、村山さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・認知症が進行し、ご本人が不動産売却などの契約をすることができない場合は、成年後見人という法律上の代理人をつける必要があります(p5)


・定期預金は本人でないと解約できないのが原則・・・事前にキャッシュカードを共有しておけば、緊急時の本人用の出費に対応できます(p155)


・「生命保険契約照会制度」を利用すると、3000円の利用料で、認知症になった家族がどこの保険に入っているのかを3親等内の家族が確認できます(p156)


・家族信託によって、名義と管理を息子さんに渡すメリット・・・お父さんが認知症になったとしても・・・息子が売却したり修繕したりできるということです・・・当面の固定資産税を支
あらかじめ一定の金銭も信託しておくことが多いのです(p198)


▼引用は、この本からです
「認知症に備える」中澤 まゆみ , 村山 澄江
中澤 まゆみ , 村山 澄江、自由国民社


【私の評価】★★★★☆(85点)


目次

第1章 実は誤解だらけ? 認知症を正しく理解しよう
第2章 認知症は「病名」ではなく「状態」です
第3章 認知症の人を介護する前に知っておきたいこと
第4章 認知症になる前に知っておきたいお金と法律の話
第5章 成年後見制度の賢い利用方法
第6章 家族信託を認知症対策として利用する方法
第7章 [実録]認知症の人の家計と収支の状況



著者経歴

中澤まゆみ(なかじま まゆみ)・・・ジャーナリスト、ノンフィクションライター。1949年、長野県生まれ。雑誌編集者を経てフリーランスに。人物インタビュー、ルポルタージュを書くかたわら、海外を取材。自らの介護体験を契機に医療・介護・福祉・高齢者問題にテーマを移し、執筆、講演講師などで活躍。


村山澄江(むらかみ すみえ)・・・司法書士。公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート会員、簡裁訴訟代理関係業務認定会員。1979年、愛知県生まれ。2003年、司法書士試験合格。認知症対策の相談者数は延べ1,300件以上。民事信託・成年後見の専門家としてセミナー講師、YouTubeの動画配信、新聞各社やメディアへのコメント掲載など、多角的に活躍している。


認知症関連書籍

認知症からあなたと家族の財産を守る方法」木下 翔太郎
家族よ、ボケと闘うな!」長尾和宏、近藤誠
ボケ日和―わが家に認知症がやって来た! どうする?どうなる?」長谷川 嘉哉
「認知症に備える」中澤 まゆみ , 村山 澄江


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