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「相続地獄 残った家族が困らない終活入門」森永 卓郎

2025/01/22公開 更新
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「相続地獄 残った家族が困らない終活入門」森永 卓郎


【私の評価】★★★★☆(84点)


要約と感想レビュー


相続手続きに奔走

現在、がん治療のため闘病している森永卓郎さんの元気な頃の一冊です。父の突然の死によって、森永さんは10カ月間も、相続手続きに奔走したのです。まず、父の銀行口座がどこにあるのかがわかりませんでした。


金融機関からの郵便物を手掛かりに、口座のありそうな銀行や証券会社に問い合わせてみました。すると、口座の有無を調べるのに、過去すべての居住地の戸籍謄本が必要だという。なぜかといえば、隠し子の可能性もあり、すべての戸籍謄本がないと、銀行は全相続人の同意があることを確認できないからだというのです。


全国を転勤していた父が暮らしていた全国の自治体に、それぞれ違う定められた様式で申請書を郵送することになったのです。これだけ面倒だと、所有者不明の口座も多いのでしょう。実際、日本では10年間取引のない休眠口座が毎年1200億円も生まれ、そのうち500億円は引取先がなく、没収されるという。


そうならないためにも、事前に父母と話し合い、口座の番号、印鑑、暗証番号、不動産、株式の有無、クレジットカードとポイントカードなどを記録しておきたいものです。


10年以上取引が行われていない口座を、銀行は休眠口座へと移行する。その総額は1200億円にのぼると言われる・・現実に払い戻されるのは1200億円のうち500億円程度しかない(p43)

法定相続人で事前に相談しておく

また、事前に相続について、家族で話し合っておくことも必要でしょう。法定相続人の間で争いを避け、必要があれば事前に相続税対策をしておくこともできるのです。


例えば、多額の現金を持っていたら一戸建ての家を買います。すると「小規模宅地等の特例」により、居住用に使っている土地の評価額は5分の1まで減額できるのです。


また、生前贈与をしてもよいでしょう。ただ、税務署が認めないケースがあるので、専門家に相談するか、信託銀行がやっている「暦年贈与信託」サービスを活用して、確実に非課税とするコツだという。


民主党政権時代の相続税増税・・旧制度では、基礎控除は5000万円+法廷相続人1人当たり1000万円・・2015年1月1日以降に亡くなった人は、基礎控除の金額は3000万円+法定相続人1人当たり600万円だ(p89)

委任契約と任意後見人契約

相続税の申告は、死亡を知ってから10か月以内に行うことになっています。事前に準備しておくことで、森永さんのような相続地獄を避けることができるはずです。


なお、私の場合は、親の財産を紙に書き出したり、通帳や印鑑の保管場所を教えてもらいました。また、両親の体力低下が見えてきましたので、親に代わって財産管理のできる委任契約と任意後見人契約を公正証書で作成しました。


森永さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言


・200m2以下の「小規模住宅用地」は、固定資産税が6分の1に、都市計画税は3分の1に減免される特例措置がある・・自分の家の一部を開放して、ライブハウスやセミナーハウス、ギャラリーやカフェ・・博物館までやっている人がいるのだ(p168)


・株式によって得た売却益は、20%の税金を支払えば、すべての納税が終わる・・年収300~400万円でギリギリの生活を送るサラリーマンは、所得税5%、住民税10%、社会保険料は15%徴収される(p107)


・趣味で畑をやりたい読者は・・耕作放棄地はどこにでも必ずある。そこをタダで借りれば、ノーリスクで週末農業を楽しめる(p181)


▼引用は、この本からです
「相続地獄 残った家族が困らない終活入門」森永 卓郎
森永 卓郎、光文社


【私の評価】★★★★☆(84点)


目次

第1章 「相続」は突然やってくる
第2章 今日から始める「生前整理」
第3章 ここがおかしい相続税
第4章 財産キープのルール
第5章 相続放棄プロジェクト
第6章 人生の仕舞い支度


著者紹介

森永 卓郎(もりなが たくろう)・・・経済アナリスト。1957年、東京都生まれ。1980年、東京大学経済学部卒業。経済企画庁総合計画局、三井情報開発(株)総合研究所、(株)UFJ総合研究所を経て、獨協大学経済学部教授。専門は労働経済学と計量経済学。堅苦しい経済学をわかりやすい語り口で説くことに定評があり、執筆活動のほかにテレビ・ラジオでも活躍中


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