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「がん闘病日記―お金よりずっと大切なこと」森永 卓郎

2025/01/09公開 更新
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「がん闘病日記―お金よりずっと大切なこと」森永 卓郎


【私の評価】★★★★☆(86点)


要約と感想レビュー


自分の人生を振り返る

余命4ヶ月を宣告された著者が、自分の人生を振り返る一冊です。著者は大学卒業後、日本専売公社(現・JT)に入社します。公社の予算を握る大蔵省(現・財務省)に虐げられた経験をもとに書いたのが「ザイム真理教」です。


その後、日本経済研究センターに出向します。そこで「賃金センサス」を分析して、賃金格差が拡大していることに気づきます。その経験をもとに書いたのが、「年収300万円時代を生き抜く経済学」なのです。


転職した三和総研では、人事評価制度を改革します。具体的には、受託調査の粗利益を、リーダーがメンバーの研究員に配分し、研究員の年俸は、年間で稼いだ粗利の合計で、自動的に決まるというものです。さらに三和総研では、研究員は違う部署に自由に異動できるようにして、研究員が好きなリーダーの下で仕事ができるようにしたという。この改革によって、三和総研は大きく業績を上げたというのです。


シンクタンク業界でも談合はしばしば行われていた。仕事量を平準化するためだ・・談合を一切拒否していた三和総研は、仲間に入れてもらえず、ODA関係の調査がなかなか受注できなかった(p130)

金を稼ぐためだけの仕事をやめる

著者は研究員のままで、著書を出版したり、大学教授となって教えたり、タレントとしてテレビ番組に出演するようになりました。子どもが成人すると、著者は会社を辞め、嫌な仕事、金を稼ぐためだけの仕事をすべて排除したという。


そして、65歳で年金をもらえるようになり、生活に困らない目処が立ったことから、今ではこれまで言えなかったことも言うようにしているというわけです。このように著者は、その場でその場で好きなことをやってきたということがわかります。


私がずっと貫いてきた信条は「いまやる、すぐやる、好きなようにやる」ということだ(p108)

やり残したことがほとんどない

著者は自分の人生で、やり残したことがほとんどないと言っています。タイトルの「お金よりずっと大切なこと」とはやりたいことをやること、つまり自由ではないかと思いました。だから、著者はお金について、面白いと思える仕事を通じて、必要な程度のお金を稼ぐことができればそれでいいとこの本で伝えているのです。


過去は変えられませんが、未来は変えられます。本書を参考に、未来を考えていきたいものです。森永さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言


・経済企画庁・・中名生(なかのみょう)隆という計画官(課長)に出会った。彼は、部下を集めてこう言った「良い情報は後回しでいい。まずい情報はすぐに上げろ」(p119)


・番組に参加して、久米宏さんが努力の人だということがわかった。ゲストの著書や資料はすべて読み込んでくるし、あらゆる勉強を怠らなかった・・真剣に仕事をしているから、緊張もする。生放送前には、久米さんの手が震えていた(p139)


・ずっとベッドに縛り付けられていると、筋力がどんどん落ちていく・・たった2週間で、歩けなくなるほど筋力が落ちるとは思っていなかった(p29)


▼引用は、この本からです
「がん闘病日記―お金よりずっと大切なこと」森永 卓郎
森永 卓郎 、フォレスト出版


【私の評価】★★★★☆(86点)


目次


第1章 突然のがん宣告
第2章 殺到する「がんの治し方」
第3章 がん治療とお金
第4章 私の選択
第5章 いまやる、すぐやる、好きなようにやる
第6章 素敵な仕事、自由な人生


著者紹介


森永卓郎(もりなが たくろう)・・・1957年、東京都生まれ。経済アナリスト、獨協大学経済学部教授。1980年、東京大学経済学部を卒業後、日本専売公社(現・JT)に入社。予算を握る大蔵省(現・財務省)の「奴隷」だった経験をもとに、カルト化する財務省を描いた『ザイム真理教』がベストセラーに。続けざまに、四半世紀のメディア活動で見聞きした〝3つのタブー〟に斬り込んだ『書いてはいけない』が20万部を超えるヒット。前作執筆中に受けた「ステージ4」のがん告知からの顛末と死生観を記したのが本書である。


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