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「希望社会の実現」宇都宮健児

2021/05/08公開 更新
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「希望社会の実現」宇都宮健児


【私の評価】★★★☆☆(70点)


要約と感想レビュー

 日本弁護士連合会が共産党、社民党と連携していると聞いていましたが、元日弁連会長の著者が「オリンピック開催反対署名を集めた」という記事を見て、手にした一冊です。日本弁護士連合会は、日本の弁護士が強制的に入会させられる組織であり、その豊富な資金を使って、共産党、社民党と同じような活動をしているという。


 具体的には、平和憲法改正反対、スパイ防止法につながる特定秘密保護法反対、靖国参拝反対、韓国人へのヘイトスピーチを許すな、さらに、「永住外国人に付与する地方参政権を加えるべきである」とする・・意見書」を出しています。


 主張する内容は最低賃金を増やす等、労働者にとってうれしい内容ばかりですが、消費税をなくせと主張しながら、スウェーデンのように公的サービスを無料化するなど、民主党のマニュフェストと同じように美味しいことだけを書いた提案ばかりで、労働者を騙すための主張のように見えました。


・ブラック企業に対する規制の強化、最低賃金の大幅引き上げ、非正規労働者の待遇改善、同一労働同一賃金制度の確立、労働者派遣法の抜本改正・・ヨーロッパ諸国並に最低賃金を時給1000円以上に引き上げるべきである(p28)


 特定秘密保護法も取材するジャーナリストの取材の自由・報道の自由を制限するものとしていますが、特定秘密を盗もうとうするスパイのような人達から見れば危険なのであって、むしろスパイ防止法の制定されていない現在の状況が異常とは考えないようです。


 一つひとつの主張を見ていると、もっともな理由をつけているところが素晴らしいと思いました。結果して、貧困層で知識のない人をうまく巻き込んで、労働運動、プロの市民運動を巻き込んで政治的立場を強くしていこうという意思が見え隠れします。


 会長になることでうまく乗っ取りに成功した日弁連の会長選挙で破れた後に、東京都知事選挙に立候補したことも権力への執着が見て取れます。なんとか東京都の乗っ取りだけは防ぐことができました。著者の言い方を借りれば、「私たち一人ひとりがつながれば、大きな力となり、共産主義の脅威から日本を守ることができると信じている」という形でしょうか。宇都宮さん、良い本をありがとうございました。



この本で私が共感した名言

・安倍政権の軍国主義的・国家主義的な政策や靖国参拝の強行で、中国・韓国をはじめとするアジア諸国の反発は強まっている(p9)


・私たち一人ひとりは微力ではあるが、決して無力ではない。私たち一人ひとりがつながれば、大きな力となり、東京を変え日本を変えることができると信じている(p12)


・集団的自衛権行使の容認・・・米軍が戦闘に巻き込まれる時に、それに日本も反撃することになるので、必ず戦争に巻き込まれる可能性が強くなる(p75)


・日弁連は日本社会において大きな影響力を持つ最大のNGOといえるのではないか。しかし一方で、あわよくば弁護士自治を破壊しようと考える動きも出ていることに注意する必要がある(p104)


・軍事力の強化、集団的自衛権の行使を容認し憲法を改憲する動きが出てきた。そこで、むしろ、今こそ平和憲法を守って、東京こそが平和都市宣言をしていくことが重要であることを訴えた。北京、ソウルと東京が平和都市会議を開き、自治体レベルでの交流を行う中で、関係改善を図っていく(p120)


▼引用は、この本からです
「希望社会の実現」宇都宮健児


【私の評価】★★★☆☆(70点)


目次

はじめに─安倍暴走政権にストップを
第1章 人にやさしい社会を
第2章 司法を人権擁護のために─日弁連会長の経験から
第3章 二〇一二年、都知事選をたたかう
第4章 ぬくもりのある社会をめざして─わが歩み



著者経歴

 都宮健児(うつのみや けんじ)・・・1946年愛媛県生まれ。地下鉄サリン事件被害対策弁護団団長、年越し派遣村名誉村長、日本弁護士連合会会長などを歴任。反貧困ネットワーク代表、脱原発法制定全国ネットワーク代表世話人、TPPに反対する弁護士ネットワーク共同代表、週刊金曜日編集委員などを務める。


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