「介護にいくらかかるのか?―いざという時、知っておきたい介護保険の知恵」長谷川 嘉哉
2011/08/26公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(86点)
要約と感想レビュー
旧社会保険庁の年金問題では、もらえる年金がもらえなくて怒り心頭の方も多いと思いますが、医療関係の手当にも同じようなもらい忘れがあるようです。著者の長谷川さんが本書を書かれたきっかけは、次のようなものでした。
クリニックを経営する長谷川さんのところに、「若年性アルツハイマー病」の患者さんがやってきました。長谷川さんが驚いたのは、患者さんが医療費無料となる「精神障害者手帳」を持っていなかったこと。アルツハイマーで会社を辞めた患者さんは、高額の治療費負担で住宅ローンを払えず、自宅が競売にかけられてしまったのです。
もし、医療費負担がなければ、自宅の競売もなかったかもしれない・・・。長谷川さんの心に、介護に係わる公的制度や大切な点をまとめた本を書こうという気持ちが生まれたのです。
・介護費用をどう捻出するか・・・子どもの均等割りじゃなくて孫の均等割りだと案外うまくいく(p140)
そして、特にもらい忘れが多いのは、社会保険庁管轄の「障害者年金」です。そして、国の所得保障である「特別障害者手当」だそうです。こうした公的制度は、役所ではあまりPRしていません。さらに、医師の診断書の書き方で結果が大きく左右されるのです。事前の勉強と準備がとても大切なのでしょう。
・公的制度の中で最ももらい忘れが多いのが「特別障害者手当」です・・・年金に加入しているかどうかは関係ありません(p179)
介護にお金が必要になったとき、家族の「世帯」を分離して、世帯年収を下げるという選択肢もあるし、住宅改修は、介護保険を使うことで上限20万円までは1割負担で行なうこともできるのです。私の両親はまだ健在ですが、いずれ介護を考えるときが来るはずです。
類似本を4冊ほど購入しましたが、この本が最もセンスがあるようでした。長谷川さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・入所する施設の選択のコツは、「死ぬまで一箇所に」と考えないことです。(p103)
・「バリアフリー」ということでいえば、段差の問題よりむしろ「温度のバリアフリー」に着目したほうがいいように思います。(p106)
・小規模施設のメリットは、なんと言っても「寝かせっぱなしにさせない」よう配慮してくれるという点です・・・少し割高にはなりますが・・・(p126)
・主治医より主治看護師を(p140)
学研教育出版
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【私の評価】★★★★☆(86点)
目次
序章 「介護」の何が怖いのか
第1章 介護サービスの全容を知ろう
第2章 誰がみるのか、どこでみるのか
第3章 介護にはいったい、いくらかかるのか
第4章 介護にかかる「お金のストレス」を少しでも軽くするために
著者経歴
長谷川 嘉哉(はせがわ よしや)・・・1966年、名古屋市生まれ。名古屋市立大学医学部卒業。認知症専門医、医学博士、日本神経学会専門医、日本内科学会総合内科専門医、日本老年病学会専門医。2000年、土岐内科クリニック開業。在宅医療では開業以来、50,000件以上の訪問診療、500人以上の在宅看取りを実践している。現在、医療法人ブレイングループ理事長として、在宅生活を医療・介護・福祉のあらゆる分野で支えるサービスを展開している。
介護関連書籍
「介護にいくらかかるのか?」長谷川 嘉哉
「親の介護手続きと対処まるわかりQ&A」田中克典
「大往生したけりゃ医療とかかわるな【介護編】」中村 仁一
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