「親の介護手続きと対処まるわかりQ&A」田中克典
2022/06/22公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(80点)
要約と感想レビュー
「親の介護は、ある日突然やってくるものです」という著者の言葉が身にしみる一冊です。実際、親が転んで骨折し、寝たきりになってしまった、脳梗塞で以前の生活ができなくなってしまったという事例は多いのです。
著者の提案は、事前に親が急に入院することになったときに必要なものを聞き出して、置いてある場所を記録しておくことです。また、長期入院したりすれば、預貯金の管理や、税金の支払いなどにも支障をきたすかもしれませんので、預金通帳、暗証番号、有価証券、不動産の登記情報などお金関係も把握しておくことです。
親が一人暮らしをしているような場合には、安否を確認するために毎日、電話をしたり、見守り機能のついた家電や人感センサーなどを活用してみましょう。
・入院手続きに必要なものチェックリスト(健康保険証、診察券、お薬手帳、印鑑・・・)(p21)
印象的だったのは、「介護者は無理をしないで、親の介護によって自分自身の生活が崩れないようにすることが大切」という著者の言葉です。親を介護したいという思いが強いがゆえに介護する人自身が病気になったり、うつになってしまっては本末転倒です。著者はそうした悲惨な例を見てきたのでしょう。
著者のアドバイスは家事代行サービスを利用することです。自分で介護をするのではなく、「介護サービス」をお金で買うのです。介護は介護サービスに任せて、子どもとしては毎日時間を決めて、電話やビデオ通話で親と会話するだけでも、親子の絆は維持できるのです。介護者はあくまで自分の生活が苦しくならない範囲で介護するということが大事なのです。
・遠距離での介護に疲れた・・・呼び寄せる、あるいは実家で同居する・・・いずれも無理と判断したら・・・家事代行サービスの利用を検討しましょう(p166)
ネットで調べればわかることだと思いますが、突然やってくる親の介護について、事前に予習をしておく必要があるのでしょう。そのために、この種の本が必要となるのだと思いました。親の介護の準備をするということは、親の生活を把握するということですから、親との会話も増えて、プラスの効果も期待できそうです。
後悔する前に、今から準備できることは準備しておきましょう。QAがわかりやすかったので★4としました。田中さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・要介護認定は、申請してから通知がくるまでに約1ヶ月かかりますが、すぐにサービスが必要なときは、申請した日から暫定で介護保険サービスを利用することができます(p24)
・自宅での介護が限界を迎えているのに、特養に空きがない場合は、ショートステイの長期利用や、「介護付き有料老人ホーム」に入居する方法もあります(p70)
・ショートステイのメリットは、泊まりで要介護者を預かってくれることです・・・連続30日という利用日数が決まっています(p139)
・介護保険が使える福祉用具購入品で便利なのが「浴室用イス」です。中でも折りたたみ式で、ひじ掛けのあるものがお勧めです(p158)
【私の評価】★★★★☆(80点)
目次
第1章 これだけは知っておきたい介護の基礎知識
第2章 介護のお金がラクになる方法
第3章 症状別・介護サービスの選び方と対処法
第4章 高齢期の親や介護との向き合い方
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著者経歴
田中克典(たなか かつのり)・・・1962年、埼玉県生まれ。日本福祉教育専門学校卒業後、福祉系の出版業務を経て、東京都清瀬療護園(重度身体障害者入所施設)、清瀬市障害者福祉センター(デイサービス、ショートステイ)などで介護体験を積む。1984年にはインド・コルカタの故マザー・テレサ女史の運営する施設で介護体験し、テレサ氏とも懇談する。2000年、介護保険制度発足と同時にケアマネジャーの実務に就き、現在、SOMPOケア(株)の現役ケアマネジャーとして、常時約30人を担当。22年間に400人以上の高齢者を担当した。NPO法人小江戸ふぁみりぃ理事長。
介護関連書籍
「介護にいくらかかるのか?」長谷川 嘉哉
「親の介護手続きと対処まるわかりQ&A」田中克典
「大往生したけりゃ医療とかかわるな【介護編】」中村 仁一
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