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「大往生したけりゃ医療とかかわるな【介護編】 2025年問題の解決をめざして」中村 仁一

2017/05/01公開 更新
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大往生したけりゃ医療とかかわるな【介護編】 2025年問題の解決をめざして (幻冬舎新書)


【私の評価】★★★★☆(86点)


要約と感想レビュー

延命医療は患者にとって拷問

年寄りへの延命医療は、患者にとって拷問となっていることを教える一冊です。つまり、死を先送りするだけの医療が、患者を終わりのない苦しみを与える可能性があるのです。


体がゆがんだまま胃瘻で生きる屍のような老人、抗がん治療に苦しむ人々を見てきた著者の思いなのでしょう。"延命介護"の名のもとに、「食べないとだめだよ」と言われながら、長い時間をかけて、ムリに口の中で食べ物を押し込んで、本当に本人のためになっているのか、どうかということなのです。


高度な医療が重度の障害者をつくり出している(p30)

苦しみながら死ぬのか穏やかな死を選ぶのか

延命治療をすることで、本当にメリットがあるのかよく考えなくてはなりません。延命介護ということで、無理やり食事を食べさせるのが、本人のためなのでしょうか。例えば点滴にしても血管内にムリに水分や養分を入れられても、むくんだり、気道からの分泌が増えますので、痰の吸引を何回も行って苦しめることになるのです。


また、もう助かる見込みがないのに、病院に運んで心臓が止まったらAEDで無理やり心臓を動かす必要があるのでしょうか。すでに亡くなっている老人にAEDで電気ショックを与え、心臓マッサージで肋骨をボキボキ折るところまでしないと気がすまない家族が多いのです。苦しみながら死ぬのか、穏やかな死を選ぶのか、それを選択するべきは、医師でも家族でもなく本人なのです。


夜中に心肺停止の状態で発見された場合、病院へ運べという家族・・(p103)

自然な死とは枯れる自然の過程

現状では、家族の意向により、限界まで延命治療を行うことが多いようです。著者は「また患者の地獄が続く」と思っても家族を説得することはありません。なぜなら、医療について思い込みのある家族は、何を言っても通じないからです。


著者の考える自然な死とは、"枯れる"自然の過程を邪魔しないこと。つまり枯れて死ぬのが、一番自然で、楽で、穏やかなのです。そして、死にゆく人間に無用な苦痛を与えないということです。中村さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・「この治療法、先生ご自身だったら受けられますか」「先生のご家族に勧められますか」と質問し、医者の反応をためしてみるのも一法で、最終判断する際の参考になるかと思います(p48)


・世間では、「孤独死」が問題視・・私は、自然死の観点から、こんないい死に方はない、「死に方」だけとれば、理想的だと思っています(p82)


・「事前指示書」・・
 1 死ぬまで何処で、どんなふうに生きたいか?どこまでの医療を望むか?誰にどういう介護を望むか?
 2 死後の問題
  1 通夜、告別式、法要
  2 墓地、霊園、散骨、手元供養
  3 遺言、相続
  4 病理解剖
  5 臓器提供
  6 献体
 3 代理人指定(p231)


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中村 仁一
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【私の評価】★★★★☆(86点)


目次

第1章 医療業界による"マインド・コントロール"は凄い
第2章 「延命医療」と"延命介護"が穏やかな死を邪魔している
第3章 年寄りの手遅れで無治療の「がん」は痛まない
第4章 自然死なら「看取り」はどこでもできる
第5章 繁殖終えたら「死」を視野に生きる、かかわる
第6章 "真打ち"は「死に時」がきたら素直に受け入れよう



著者経歴

中村 仁一(なかむら じんいち)・・・1940年長野県生まれ。社会福祉法人老人ホーム「同和園」附属診療所所長、医師。京都大学医学部卒業。財団法人高雄病院院長、理事長を経て、2000年2月より現職。96年から市民グループ「自分の死を考える集い」を主宰


死ぬとき関連書籍

「病院で死ぬということ」山崎 章郎
「ホスピスという希望: 緩和ケアでがんと共に生きる」佐藤 健
「今日が人生最後の日だと思って生きなさい」小澤竹俊
「死ぬときに後悔すること25」大津 秀一
「人生の実力―2500人の死をみとってわかったこと」柏木 哲夫
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