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「天を衝く(上・下)」高橋 克彦

(2017年4月28日)|本のソムリエ
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天を衝く〈上〉―秀吉に喧嘩を売った男・九戸政実天を衝く〈下〉―秀吉に喧嘩を売った男・九戸政実

【私の評価】★★★★★(90点)


■織田信長から豊臣秀吉に天下が移り行くなかで、
 豊臣勢は蒲生氏郷(がもううじさと)を
 総大将とする十万の兵を東北に向かわせます。


 強引な奥州仕置や検地により、
 伊達政宗など反逆する勢力があれば
 攻め滅ぼそうとしたわけです。


 そうした中で、
 南部家は豊臣側にいち早く
 恭順を示していました。


・勝てぬ相手なら、せめて戦さとならぬ工夫をいたせ。それが国の先行きを思うということだ・・国の先行きのためであれば、たとえ親の仇であろうとも手を結ばねばならぬことがある(上p338)


■その南部家の中で、九戸城主である
 九戸政実(くのへまさざね)だけは
 豊臣勢に従いませんでした。


 十万の豊臣勢に対し、
 九戸城へ籠城した政実は善戦しますが、
 兵の助命を条件に降伏。


 助命の約束も反故にされ、
 城内の兵は殺され、
 政実を含む首謀者は処刑されました。


・今の世にはご貴殿のごとく生きて未来に役立つ者と、死んで未来に繋げる者とがある。奥州で真っ先に秀吉どのに恭順を示した南部の中に、手前のような者がおることこそ肝要。戦さとなって果てたとしても、必ずその意を汲み取ってくれる者が出て参ろう(下p175)


■自らの勢力を武力と知恵で拡大していく
 なんでもありの戦国時代の考え方に、
 現在の国際情勢が重なりました。


 どのような手段を用いても
 最後に勝ち残ったものが、
 歴史を作るということです。


 高橋さん、
 良い本をありがとうございました。


───────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・安倍貞任(さだとう)の遺児高星丸を始祖とする秋田安東一族が、源義家の弟義光を始祖として鎌倉以降陸奥の経営に当たっていた南部一族に対して反抗の狼煙を上げた(上p5)


・秋田の愛季(ちかすえ)だとて世の情勢をはっきり認識しながら着実に領地を広げている。国のだれかの手によって纏められたとき、どれほどの領地を持っているかが大事となる(下p12)


遠くと結んで近くを敵とせよ、と申す。それが領土を広げる将の道だ。近くと手を結んでいる限り、自国を広げられぬ(上p324)


・戦さにおける最大の敵は実を言うと飯を食い続ける味方の兵なのである。百人で済む戦さに千人を引き連れていけば食糧の確保に頭を悩ませなければならない。直ぐに身動きが取れなくなってしまう(上p170)


・戦さとはあらゆる展開を頭に思い描いてから行うものだ。その場で思い付く策など知れている。先の先まで見通していれば兵を即座に動かせる(上p603)


・政宗のために南部を強引にでも己のものとしておけば良かった、とも思った。そうすれば南部と伊達が組んで秀吉に真っ向から戦さを挑めたかも知れない(下p174)


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【私の評価】★★★★★(90点)



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