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「漱石先生ぞな、もし」半藤 一利

本のソムリエ 2021/11/19メルマガ登録
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「漱石先生ぞな、もし」半藤 一利


【私の評価】★★★★★(92点)


要約と感想レビュー

 自称、夏目漱石読み、歴史探偵という著者の半藤 一利さんは、漱石の孫を妻に迎えました。義母の話も織り交ぜながらの、漱石探偵ぶりがおもしろい。小説は知っていることしたかけませんから、漱石の書籍を読んでいると、漱石の趣味、志向、好き嫌い、思いが想像できるのです。


 「坊っちゃん」の登場人物もモデルがいるし、坊っちゃんの江戸っ子ぶりも漱石らしい。教師として赴任していた四国松山の伊予弁「ぞなもし」を交えながら、義理と人情が大好きなのが漱石なのです。四国の松山では、夏目漱石が二階、正岡子規が一階に住んでいたという。夏目漱石は2千以上の俳句を残しているのは正岡子規の影響なのでしょう。


・胃弱の腹に三椀の餅(p153)


 面白いのは、漱石の徴兵忌避でしょう。徴兵令が明治22年に改正されて、27歳以上の学生も徴兵されることになったとき、漱石は帝国大学在学中で26歳でした。漱石は徴兵の対象外であった北海道に籍を移すのですが、これは兄の配慮で漱石の意思とかかわりなく行われたらしいのです。その後、夏目漱石はイギリス留学中にノイローゼとなります。その頃の日本といえば日英同盟を締結し、日露戦争へ突き進んでいく時代なのです。


 著者の推測は、徴兵を忌避した心の傷と、戦争への足音がノイローゼを悪化させたのではないかというのです。本当かいな、もし。


 ノイローゼのイギリスの夏目漱石は月150円の留学費の三分の一を書籍代に当てていたというのだから、すごいです。たった50年しか生きなかった夏目漱石より年をとってしまった自分に気づき、もっと漱石の著者を読んでから、再度読み返したい一冊です。★5とします。


 半藤さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・「ただ恐いばかりの父」の病気はほぼ五年間でおさまり、つぎにやさしい父のほぼ五年間があって、また病気がはじまり五年間つづく・・・やさしい父のときに、『それから』『門』『彼岸過迄』『こころ』などを完成させた(p138)


・床屋・・・江戸町民は街の髪結にいって整髪してもらった。それも多くは床店であった。床店とは他人の家の庇を借りて開店した所をいう(p243)


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▼引用は、この本からです
「漱石先生ぞな、もし」半藤 一利
半藤 一利、文藝春秋


【私の評価】★★★★★(92点)



目次

第1話 「べらんめえ」と「なもし」
第2話 漢学を好んだこと
第3話 ロンドンの憂鬱
第4話 恋猫や主人は心地例ならず
第5話 ホームドラマの主人
第6話 ストレイ・シープ
第7話 銀杏返しの女たち
第8話 教師として師として
第9話 汽車とビールと博覧会
第10話 ある日の漱石山房
第11章 生涯に三度のバンザイ


著者紹介

 半藤一利(はんどう かずとし)・・・1930年、東京生れ。作家。東京大学文学部卒業後、文藝春秋入社。「週刊文春」「文藝春秋」編集長、専務取締役、同社顧問などを歴任。1993年「漱石先生ぞな、もし」で第12回新田次郎文学賞、1998年「ノモンハンの夏」で第7回山本七平賞、2006年「昭和史」で、第60回毎日出版文化賞特別賞を受賞


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