直木賞受賞作品「蜜蜂と遠雷」恩田 陸
2017/05/02公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(80点)
要約と感想レビュー
世界の天才が集まる国際ピアノコンクールに、伝説の音楽家ホフマンの推薦状を持つ謎の男がエントリーした。彼は、養蜂(ようほう)家に生まれ、自然の中で育ち、ピアノさえ持っていないという。人は彼のことを蜂蜜王子という。ホフマンは生前、「爆弾をセットした」と謎の言葉を残していた。爆弾とは彼、蜂蜜王子のことなのでしょうか。
ピアノコンクールは、不条理の世界です。ある程度の技術を極めれば、何を基準に順位を決めるのか。サッカーやフィギュアのようなある程度明確なスポーツでさえ、審判の公平性が問題となるくらいなのに、音楽であえればなおさら判断基準はあいまいになっていきます。
そうした中で、技術を超越して独創的な演奏をする蜂蜜王子は審査員に混乱をもたらします。彼をどう評価するのか、審査員が試されるのです。現実のピアノコンクールも技術力を高めていけば、技術が拮抗してしまって、あとは何かが「引っ掛かる」というところでしか比べることはできないというのが現実なのでしょう。
参加者の心の動きに加えて、その場面で演奏されている曲をyoutubeで聞きながら読みました。クラッシック音楽の楽しさを知るための入り口になる一冊だと思いました。恩田さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・コンサートピアニストは並みの神経ではこなせない。プレッシャーの厳しいコンクールを転戦して制するくらいの体力と精神力の持ち主でない限り、過酷な世界ツアーをこなすプロのコンサートピアニストはむつかしい(p15)
・何かが上達する時というのは階段状だ・・弾けども弾けども足踏みばかりで、ちっとも前に進まない時がある。これがもう限界なのかと絶望する時間がいつ果てるとものなく続く。しかし、ある日突然、次の段階に上がる瞬間がやってくる(p329)
【私の評価】★★★★☆(80点)
著者経歴
恩田陸(おんだ りく)・・・1964年、宮城県生まれ。1992年『六番目の小夜子』でデビュー。2005年『夜のピクニック』で第26回吉川英治文学新人賞および第2回本屋大賞を受賞。2006年『ユージニア』で第59回日本推理作家協会賞を受賞。2007年『中庭の出来事』で第20回山本周五郎賞を受賞。
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