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「病院で死ぬということ」山崎 章郎

2015/05/01公開 更新
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病院で死ぬということ (文春文庫)


【私の評価】★★★★☆(89点)


要約と感想レビュー

ガンの告知率はたったの60%

日本人の30%がガンで亡くなっています。この本は1990年発行ですが、現在でも、ガンの告知率はたったの60%程度らしいのです。自分がガンとは知らずに、抗がん剤等に苦しみ、不信感を持ちながら亡くなる人がたくさんいるのでしょう。著者も告知するときには、悩むそうです。


今の時代、検査結果がわかれば、治療法や5年生存率は、調べればわかります。取りうる選択肢も、わかります。副作用を許容して抗がん剤を使うのか、延命よりも苦しみを減らすことに注力するのか、判断が難しい。そうした判断は、正しい状況を教えてもらうからこそできるはずですが、日本の現状は、家族の要望により患者に真実を伝えないことも多いというのです。


そのために自宅で死にたいと思っていた人も、自分の真の病状を知ることもなく、いつか家に帰れると思いながら、一人病院で寂しく死を迎える人が少なくないのです。病院とは基本的に治療する場であり、死期が迫った人が病院にいても好きな食事を取れないし、自由な時間も少なく、形式的な治療と鎮痛措置をしながら、余命を無駄に過ごしてしまうのです。


このような悲惨な状態になぜ、患者や家族の不満が爆発しないのかといえば、ほとんどの末期ガン患者は自分の実情を知らずに闘病し、家族も医療者も患者に真実を伝えないことを当然のこととしているからなのだ(p211)

末期ガン患者にはホスピス治療

著者は、適切なルールに基づく告知をすることと、末期ガン患者にはホスピス治療を提案しています。そもそも、一般病院は忙しいので、患者に寄り添う時間を作ることはほとんど不可能なのです。現状の一般病院で死んでゆく患者は放置状態となってしまうのです。


それでも、最近は、だいぶ患者の人生のために配慮する病院が増えいているようです。家族の責任でもありますが、本人が死を前にして、より良い人生を選べる環境にしていただきたいものです。本書の内容は映画化もされています。多くの人に読んでいただきたいものです。山崎さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・「ところで先生、私のほんとうの病気は なんだったのですか?」と質問してきたのだ。僕は意表をつかれ、一瞬うろたえた。(p110)


・ホスピスで行われる医療は、患者の苦痛をとり除くことに最大の力が注がれる・・通常の制ガン治療も延命治療も患者が望むのであれば、当然提供される(p213)


・「すべて先生におまかせいたします」と言ってきたが、医師たちは、このひどい状態を一日でも長引かせることしか考えていないようだった(p15)


▼引用は下記の書籍からです。
病院で死ぬということ (文春文庫)
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山崎 章郎
文藝春秋
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【私の評価】★★★★☆(89点)


目次

ある男の死
密室
脅迫
シベリア
希望
僕自身のこと
十五分間
パニック
五月の風の中で
約束
「息子へ」
そして僕はホスピスを目ざす



著者経歴

山崎 章郎(やまざき ふみお)・・・1947年生まれ。医師、文筆家。1975年、千葉大学医学部卒業、同大学病院第一外科勤務。1984年、千葉県八日市場市(現匝瑳市)市民病院消化器科医長。1991年、聖ヨハネ会桜町病院ホスピス科部長。2005年、在宅診療専門診療所ケアタウン小平クリニック院長。1991年、『病院で死ぬということ』で日本エッセイストクラブ賞受賞。


死ぬとき関連書籍

「病院で死ぬということ」山崎 章郎
「ホスピスという希望: 緩和ケアでがんと共に生きる」佐藤 健
「今日が人生最後の日だと思って生きなさい」小澤竹俊
「死ぬときに後悔すること25」大津 秀一
「人生の実力―2500人の死をみとってわかったこと」柏木 哲夫
「大往生したけりゃ医療とかかわるな【介護編】 2025年問題の解決をめざして」中村 仁一


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