「今日が人生最後の日だと思って生きなさい」小澤竹俊
2018/10/30公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(82点)
要約と感想レビュー
苦しみに寄り添うのがホスピス
ホスピスで3000人を超える人を看取ってきた小澤さんの一冊です。ホスピスとは、完治が見込めない患者の痛みや苦痛の緩和を目的とする医療機関です。「どうして私が死ななくてはならないのか」「一人で排尿できない、生きていても意味がない」「早く死なせてほしい」そうした究極の苦しみを持つ人と寄り添うのもホスピスなのです。
死に直面シた人は、「やらずに後悔して、この世を去ることが一番辛い」という。人は思ったことをすべてできるわけではありませんから、後悔せずには生きることは不可能です。私達は、健康なうちから一人で悩まず、一度で決めず、悩みながら最善を選ぶことが大事なのでしょう。
「明日がない」というのは、究極の絶望なのです・・・「人生の最後を穏やかな気持ちで過ごすには、何が必要か」を真剣に考えるようになり、自分にとって「本当に大切なこと」に気づくのです(p17)
苦しみを理解してあげることだけ
ホスピス医は患者の病気を治すことはできません。絶望を治すこともできません。ホスピス医ができるのは、ただ患者の話を聞き、苦しみを理解してあげることだけなのです。ホスピスの患者は、そうした究極の絶望の中で本当に自分にとって大切なことに気づく人も多いのです。
「今日が人生最後の日だと思って生きなさい」というタイトルは、まさに大切なことだと思いました。突然、心臓が止まってしまうということもありえるのですから、私たちは死の準備が必要なのです。いつ死んでも後悔しない、ということが大事なのでしょう。
また、病院やホスピスのきれいな病室にいるよりも、古くてシミだらけの我が家の天井を見ていたほうが、心が安らぐという人もいるという。自分の老後を考えるヒントになると思いました。小澤さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・話を聴くときには「相手は、自分とは違う人間である」と認識し、先入観や思い込みを捨てる必要があります(p108)
・「今日が人生最後の日だったら」と想像し、もし「やっておかなければ、絶対に後悔する」ということがあれば、健康なうちに手をつけておいたほうがよいかもしれません(p30)
・苦しみの形はさまざまですが、それらの多くは「自分が『こうありたい』と思う自分」と実際の自分とのギャップ・・から生まれているはずです(p89)
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【私の評価】★★★★☆(82点)
目次
第一章 明日の自分に宿題を残さず、今日を生きる
第二章 人生最後の日に何をするか
第三章 苦しみから、人は多くのことを学ぶ
第四章 二八〇〇人を看取ってわかったこと
著者経歴
小澤竹俊(おざわ たけとし)・・・1963年東京生まれ。87年東京慈恵会医科大学医学部医学科卒業。1991年山形大学大学院医学研究科医学専攻博士課程修了。救命救急センター、農村医療に従事した後、1994年より横浜甦生病院ホスピス病棟に務め、病棟長となる。2006年めぐみ在宅クリニックを開院。これまでに3500人以上の患者さんを看取ってきた。医療者や介護士の人材育成のために、2015年に一般社団法人エンドオブライフ・ケア協会を設立。
死ぬとき関連書籍
「病院で死ぬということ」山崎 章郎
「ホスピスという希望: 緩和ケアでがんと共に生きる」佐藤 健
「今日が人生最後の日だと思って生きなさい」小澤竹俊
「死ぬときに後悔すること25」大津 秀一
「人生の実力―2500人の死をみとってわかったこと」柏木 哲夫
「大往生したけりゃ医療とかかわるな【介護編】 2025年問題の解決をめざして」中村 仁一
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