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「あなたの強さは、あなたの弱さから生まれる」小澤竹俊

2022/05/23公開 更新
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「あなたの強さは、あなたの弱さから生まれる」小澤竹俊


【私の評価】★★★★☆(85点)


要約と感想レビュー

 著者は末期患者の苦痛を和らげる治療やケアを行うホスピスで働いていました。人は余命を宣告されると、徐々に体の自由がきかなくなり、精神的に大きな苦痛を味わいます。健康なときにあれほど強かった人が、すべてを失って弱くなってしまうのです。確かに死を目の前にして、それまで持っていると思っていたものをすべて失ったら落ち込むでしょう。


 そうしたときに、自分をわかってくれる人がいること、自分を支えてきてくれた人がいることに気づき、人生の本当の意味に気づくらしいのです。余命を宣告された絶望の中から心から人に感謝できるようになり、本当の強さを行動で示すことができるようになるというのです。


・お金を持っていた人は、どれほどお金を出しても治すことができない病気があること・・に気づき、愕然とします(p7)


 余命を宣告されてはじめて、それまでないがしろにしていた家族に自分が支えられていたことに気づくのです。「こんな仕事もできないのか」と見下していた同僚に、実は自分は支えられていたということに気づくのです。


 人は一人で生まれて一人で死んでいくように見えますが、やはりヒトは社会的な動物であり、人間関係の中で生きているのです。著者は私たちの人生とは、自分をわかってくれるヒトを探す旅であるとしています。自分を理解してもらい、支え支えられる人生がよい人生と言えるのでしょう。


・病気になったおかげで、大切なことに気づき、それを家族や同僚にも伝えることができました(p26)


 余命を宣告されるという究極の状況の中で、人は大切なことに気づくのは本当でしょう。できれば元気なうちから、その大切なことに気づいたほうがいいんじゃないか、とも思いますが、気づく人は気づくし、気づかない人は気づかないのです。私たちにできることはこの本を読んで、余命を宣告されたときに、「こんなはずではなかった」と言わないような人生を送ることなのでしょう。


 著者のアドバイスは、自分の価値観を大切にし、自分と一緒に人生を歩んでいる人の価値観も尊重することです。人はいずれ死ぬということを忘れずに、充実した生活を送りたいものです。小澤さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・弱くなったときにこそ、その人の本当の強さが現れる(p8)


・あなたに他人を変えられないように、他人もあなたを変えられない(p44)


・自分の優先順位を誠実に守ると同時に、大切な人の優先順位も尊重してあげてください(p77)


・反復と沈黙を重ね、患者さんが「この人は私の話を丁寧に聴いてくれる」・・という安心感や満足感を抱いてくれたとき、初めて患者さんと私たちの間に信頼関係が生まれます(p100)


・今、何もしたくないと思ったら・・・一度現実から離れ、自分を安心できる場所に置くことです(p143)


▼引用は、この本からです
「あなたの強さは、あなたの弱さから生まれる」小澤竹俊
小澤竹俊、アスコム


【私の評価】★★★★☆(85点)


目次

第1章 あなたの強さは、あなたの弱さから生まれる
第2章 わかってくれる人がいると強く生きられる
第3章 何を選ぶかで、人生は決まる
第4章 今日の自分に後悔せず生きる



著者経歴

 小澤竹俊(おざわ たけとし)・・・1963年東京生まれ。1987年東京慈恵会医科大学医学部医学科卒業。1991年山形大学大学院医学研究科医学専攻博士課程修了。救命救急センター、農村医療に従事した後、1994年より横浜甦生病院ホスピス病棟に務め、病棟長となる。2006年めぐみ在宅クリニックを開院。これまでに3500人以上の患者さんを看取ってきた。医療者や介護士の人材育成のために、2015年に一般社団法人エンドオブライフ・ケア協会を設立。


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