【書評】「イライラ、さよなら。 不機嫌から卒業するための48のポイント」堀内 恭隆
2025/07/01公開 更新

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【私の評価】★★★★☆(82点)
要約と感想レビュー
短期的な怒りのコントロール
怒りの感情は、感情がゆえにコントロールが難しいのではないでしょうか。怒りの気持ちをそのまま言葉にしてしまい、相手も自分も気分が悪いままで何も改善しないということもあるでしょう。
この本では、怒りの暴発に後悔しないように、短期的な怒りのコントロール方法として次の提案をしています。
まず、予防策として、イライラしているときには、身体を動かしてみるとか、マッサージを受けてみる。モヤモヤしてるなら、「がんばってるね」と自分を受け入れて、労(いた)わってみてもよい。
そして、実際に怒りを感じたら、その場を離れてみる。または、「私は怒っている」と言うのではなく、「私はいま怒りを感じている」と表現してみると、少し客観的に自分を見られるというのです。
「今日、自分はどんな成果を上げたか」に目を向ける習慣をつくってみてください(p94)
怒りの本質を理解する
著者の伝えたいことは、怒りを感じたとき、その感情を相手にぶつける前に、まず自分の内側にある「本当の原因」を見つめ直すことです。怒りとは、あなたが本当に求めているものを浮かび上がらせるサインなのです。
例えば、年下上司が自分がせっかく苦労して調整した案を、簡単にひっくり返して頭にきたとしましょう。「あれは絶対に許せない」と思いながら、実は「上司の意見にも一理ある」と許すことは、自分が負けたような気がするのでできないのではないか。
子どもが門限を破って遅く帰ってきたときに、激怒してしまったとしましょう。実は子どものことが心配で、心配でしょうがなかったのではないか。
自分はなぜこんなに怒っているのだろうと、怒りに少し距離を置いて観察してみるとわかるのです。怒りを感じること自体は、悪いことではなく、自分が不公平や理不尽と感じたとき、自分の大切なものを守ろうとする自然なサインなのです。
「本当にその人だけが原因なのか?」と自分に問いかけることで、異なる視点が見えてくる(p42)
怒りに具体的に対処する
著者の怒りに対処するワークでは、まず、怒りの分析をします。
怒りを把握するために、怒りをかたちにしてみたり、怒りの気持ちに質問してみて、怒りを文字化してみましょう。そして、文字化した怒りを、可能であれば、「ありがとう」と言って手放すのです。怒りの感情を抑え込むのではなく、素直に感じ、吐き出すことで、心のなかにたまったストレスが和らく効果もあるのでしょう。
怒りの感情を手放してみると、怒りの奥に「本当はこうしたかった」という心の声が見えてくるという。
そうすると、例えば、理不尽な上司に怒りをぶつけたり、退社を告げる前に、「私に期待することは何でしょうか?」と冷静に言葉にして伝えてみてはどうか。「なぜ私ばかりが」と不満をぶつける前に、「一緒にこうしてやれたら嬉しい」と提案してみてはどうか、そうした道が見えてくるのです。
その一方で、公共の場で迷惑行為に対しては、著者は相手に直接注意することはおすすめせず、自分の公共の場での行動を振り返ることを著者は勧めています。また、交通渋滞でイライラしたときも、自分でコントロールできないものは手放すことを推奨するなど、著者はバランス感覚が良いと思いました。
交通の遅れに直面したとき、多くの人がイライラ・・自分でコントロールできないものは「しかたがない」と割り切る(p202)
本のソムリエの場合
私の場合、その場で怒りを爆発させることはあまりなく、逆にその怒りを考え分析しすぎて、その場で固まってしまい、その気持ちが相手に伝わらないことが多いと反省しています。
考えすぎるので、相手の言動を録音したものを、書き出して、やはりこれはひどい発言ではないか、過去の資料を隠して方針を詰問したり、机をバン!と叩いて返答を迫ったり、机を蹴るのはかなり問題行動ではないか、実際にそんな人が存在するんだ!そこまでひどいことをさせる自分にも悪いことろがあるんだろうな、などと、その夜にパソコンに向かって分析していたりするわけです。
怒りに感情を爆発させるのも問題ですが、その場で、冷静に問題を指摘、必要により上司に報告することも大切です。できれば、音声とか動画も記録しておきましょう。
怒りの対処法としては、参考になると思いました。堀内さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・相手の「悪い部分」ばかりに目が向くようになり、自然とその部分を引き出してしまう・・相手が本当にひどい人に見えてきてしまうのです(p46)
・信頼できる人に思い切って自分の気持ちを話してみる・・客観的に自分の気持ちを見つめ直す(p111)
・理想と現実のギャップ・・自分を責める・・その怒りは、他人に対しても厳しい目を向けることになる(p71)
▼引用は、この本からです
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堀内 恭隆(著)、すばる舎
【私の評価】★★★★☆(82点)
目次
第1章 「怒り」の構造を知ると、自分をコントロールできる
第2章 感情に振りまわされないための考え方
第3章 どうしてもイライラが止まらないときの16の処方箋
第4章 怒りの先にある「本当の望み」に出逢う心の解放ワーク
第5章 怒りを乗り越えた先の世界を知る「感情のトリセツ」
著者経歴
堀内 恭隆(ほりうち やすたか)・・・一般社団法人LDM協会代表理事。株式会社シンクロニシティ・マネジメント代表取締役社長。作家、講演家、カウンセラー。認知心理学、脳科学、コミュニケーション、コーチングなど、さまざまなテーマを長年にわたり研究。それらを統合したメソッド『LDM(ライフ・デザイン・ メソッド)』を開発し、自分らしさを最大限に発揮する生き方を発信。受講者は1万人を超える。小学生のころから「自己催眠」の本を読み漁り、自身で人体実験を繰り返すなど、自他共に認める「人間の意識と無意識」領域のオタク。とくに「怒りのコントロール」については膨大な時間を研究に投下している。
アンガーマネジメント関連書籍
「アンガーマネジメントで読み解く なぜ日本人は怒りやすくなったのか?」安藤俊介
「イライラ、さよなら。 不機嫌から卒業するための48のポイント」堀内 恭隆
「怒らない100の習慣」戸田 久実
「マンガでわかる 気にしない人はすべてうまくいく」有川真由美
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