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「アンガーマネジメントで読み解く なぜ日本人は怒りやすくなったのか?」安藤俊介

2022/04/09公開 更新
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「アンガーマネジメントで読み解く なぜ日本人は怒りやすくなったのか?」安藤俊介


【私の評価】★★★☆☆(75点)


要約と感想レビュー

 アンガーマネジメントとは自分の怒りの感情をコントロールする手法で、アメリカから入ってきました。怒りを表現するのが普通のアメリカ人には必要だと思いますが、日本人にもアンガーマネジメントが必要な時代になってきたのですね。


 怒りやすい人の特徴は、まず、健康ではないということ。疲れていると怒りやすくなります。これは、わかります。そして劣等感を持っている人。自己肯定感が低いので、ちょっと軽く扱われると激怒する人、いますよね。後輩の仕事にダメ出しをしてしてやったり顔の人も、この中にはいるのでしょう。


 さらに高齢になると、それまで抑えることができていた感情を表に出してしまう傾向があるようです。年を取って、人格が変わってしまったといわれる人も多いと思います。マウンティングしてくるおばさんも怖いな~と思うこともあります。これは承認欲求なのでしょうか。


 このように怒りやすい人はどこにでもいるし、自分も怒りやすくなってしまう可能性があるのです。


・劣等感の強い人は、とてもプライドが高い・・・プライドが傷ついたら、自分の価値がとても下がると思っているからです(p68)


 では、怒りをコントロールするにはどうしたらよいのでしょうか。怒りをコントロールするコツの一つに、コアビリーフ(思い込み)を知るということがあります。例えば、「努力は報われる」というコアビリーフ(思い込み)を持っていたとしましょう。若い時はそう思い込むことで、頑張れる自分がいて、良い結果を出してくれるのであれば問題はありません。


 ところが、いくら努力しても評価してもらえない状況になったときに、「なんで評価されないんだ!」と怒り出すようでは、「努力は報われる」というコアビリーフ(思い込み)はズレているということです。役職数が限られる中で、だれもが管理職になれるとは限らないし、成果を出したからといって管理職になれるとは限らないからです。


 著者のお勧めは、コアビリーフ(思い込み)がもし不毛な思い込みになっているとすれば、それを手放す。手放せないとしても、多様な見方を知ることで、思い込みを軽くしてみるということです。前述の例では、努力は報われることが多いのですが、報われないこともあるということを知らなくてはなりません。他人が努力を評価してくれないこともあるわけで、自分が評価して良ければ、それで十分と考えることも可能でしょう。


・解決思考は、原因が解決できないとしても、・・・どうすればいいかを重点的に考えます(p115)


 本書では日本人は怒りやすくなったと決め付けていますが、本当のところはどうなのでしょうか。データで示してほしいと感じました。私の感覚では、日本は高齢化してきましたので、退職金を手にして悠々自適な人が増えて、怒りまくっている人は減ったのではないかと感じています。そうした状況で怒る人が増えているのは、年をとると制約がはずれて、思ったことをすぐに口に出すようになり、怒りっぽくなる人が増えたように見えるのではないか、というのが私の仮説です。


 周りの人が怒っていたとしても、自分は怒るかどうかは、自分で決めなくてはなりません。それは自分の中に許せるゾーン、許せないゾーンの定義があり、余裕のある人は許せるゾーンが広いということです。楽しい人生を過ごしていくためには、どうにもならないことには怒らないクセをつけること。怒るべきときには、真剣に怒ることが大事だと感じました。それだけ怒るというのは深いのです。もう少しアンガーマネジメントについては学んでいきたいと思います。


 安藤さん、良い本をありがとうございました。



この本で私が共感した名言

・組織、社会、コミュニティ・・・その場に居続けることによって自分が病んでしまうなら、その場から逃げることはとても大切な選択です(p35)


・仕事のミスを指摘されたとして、ある人は「自分の成長のために、あえて言いにくいことを言ってくれてありがたい」と受けとります(p52)


・まあ許せるゾーンが広い人は、多くのことを「まあそれくらいはいいか」と受け入れることができます(p186)


・自己肯定感の低くて怒る人・・・まわりからすれば理解不能とも思えるかもしれませんが、本人からすれば至って正当です(p71)


・後輩にダメ出しをする人は、「ダメ出しをすることで相手の上に立てる、相手をコントロールできる」と考えています(p74)


・不機嫌アピール・・・誰かがこの気持ちを晴らすのを手伝ってくれるはず、という思い込みがあります(p81)


・怒りは安・近・短なエンターテイメントです(p25)


・一部のメディアは、炎上すること、誰かを生贄として世の中に差し出すことで視聴者数を稼げ、それによって多くの報酬を発生させる(p163)


▼引用は、この本からです
「アンガーマネジメントで読み解く なぜ日本人は怒りやすくなったのか?」安藤俊介
安藤俊介 、秀和システム


【私の評価】★★★☆☆(75点)


目次

第1章 なぜ日本人は怒りやすくなったのか?
第2章 要注意! 自己肯定感が低いと怒りやすくなる
第3章 自己肯定感が低くなった原因と今後の解決法
第4章 自己肯定感を左右するコアビリーフと向き合う
第5章 同調圧力から生じる怒りをどう回避するか
第6章 コロナ時代をムダに怒らない6つのヒント



著者経歴

 安藤俊介(あんどう しゅんすけ)・・・一般社団法人日本アンガーマネジメント協会代表理事。アンガーマネジメントコンサルタント。1971年、群馬県生まれ。2003年に渡米してアンガーマネジメントを学ぶ。アメリカのナショナルアンガーマネジメント協会に15名しかいないトレーニングプロフェッショナルに、アジア人ではただ一人選ばれている。企業、教育委員会、医療機関などで数多くの講演、研修などをおこなっている。


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この著者の本


コメント(1)

怒りにまかせて暴言を吐かれた場合、自分の気持ちをどうしたらいいのかという点からも一度読んでみたいな、と思いました。

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