【書評】「生きる意味―人生でいちばん大切なこと」アルフレッド・アドラー
2025/04/16公開 更新

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【私の評価】★★★☆☆(73点)
要約と感想レビュー
人間は課題を克服し成長する
アドラーについて深く知ろうかと手にした一冊です。アドラーの場合、用語に違和感を持つ人がいるかもしれませんので最初に説明します。
まず、「ライフスタイル」とは、本能,感情,思考,行動,快不快など外部刺激への態度,自己愛、人間関係への対応(共同体感覚)など、その人のマインドセットのようなものです。また、「共同体感覚」とは、社会という人間関係の中で、協調しながら生きていくことができる基礎的な能力のことです。
わたしたち人間は、生きていく中で、近所付き合い、職場での人間関係、異性とのお付き合いという課題に向き合い、克服することで、成長していくのです。
わたしたちに突き付けられている問いは3つあります。社会,仕事,愛にどう向き合うかです・・それぞれは,人間社会,人類の発展,異性に対する関係から生じています(p8)
人間は劣等感で突き動かされる
アドラーは、ひとの成長レベルは人それぞれだという。ひとを観察するときは、劣等感と自己重要感,課題を克服しようとする姿勢、共同体感覚がどんなレベルなのか注目するという。つまり、人間というものは自分のものの見方によって行動が決まるのです。
例えば、財産や職を失ったとき、その問題を解決しようと行動するのか、それとも、混乱して問題から逃避するのか、ということです。本来、人間には理想と自分を比べることで劣等感を感じ、それに突き動かされる動物であるというのがアドラーの見立てなのです。
その劣等感という苦しみが前向きの努力につながれば、周囲の人の助けを借りながら、課題を解決し、自分のレベルを上げることができます。アドラーはこういう人は、共同体感覚が十分にある人であるとしているのです。
個人は,到達できない理想の「完全」と自分を比べながら,つねに劣等感に包まれ,突き動かされています(p39)
課題から逃避する人間もいる
しかし、問題がおきたときに、劣等感から混乱して、周囲や社会を批判し、孤立する人もいるわけです。劣等感から、自分に価値がないと感じ、動けなくなり、言い訳を考え、自分が優れていると見せかけようとする人もいます。
ときには、問題から逃避するため、自殺したり、精神障害、犯罪に走ったり、アルコールやギャンブル依存症になることもあるのです。アドラーはこうした問題は、共同体感覚の不足した「ライフスタイル」が原因であるとしているのです。
こうした「ライフスタイル」は、 子どもの頃からの経験から形作られます。例えば、甘やかされた子どもは自己愛で、自己中心的で、ねたっみっぽく、嫉妬深い傾向を見せます。子どもが反抗期に、自分の優越性を示すために、反抗したり、嫉妬したり、自己中心的で共同体感覚の不足を示すのもライフスタイルの反映であるというのです。
甘やかされた子どもは、つねに他者を働かせようとする寄生者だ・・そこで作られるライフスタイルは・・他者の貢献を自分のものだと思うことだと理解できます(p135)
人はどう育てるべきか
人の行動原理や「ライフスタイル」は、子ども時代の経験のなかで形作られます。私たちは子どもが課題を克服するのを助ける必要があるのです。アドラーが推奨するのは、食事の時間に楽しい雰囲気を作り、子どもに自由におしゃべりや質問をさせてあげることです。子どもが、。勇気を出して自分を磨いていけるよう促すのです。
社会の人間がすべて、劣等感に支配されず、共同体感覚を持つことができれば、戦争や争いのない社会になるとアドラーが考えていることがわかります。そうした社会を目指して、人は宗教や道徳や倫理というものを作り、人々を誘導してきましたが、十分ではないのです。
原書を読んでみないとわかりませんが、日本語としてわかりにくく感じました。アドラーさん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・個人を正しく考察するときには,・・劣等感,克服を目指す努力,共同体感覚がどんな状態なのか突き止める必要があります(p41)
・共同体感覚とは、人類が完全という目標に到達したときに考えられるような、「永遠」にふさわしい形の共同体を追求するということです(p320)
・母親に甘やかされたケースでは・・だれかが手伝ってくれればすぐになんでも達成できると考えるようになると,大きくなってから人生の問題を解決することが難しくなります(p50)
▼引用は、この本からです
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アルフレッド・アドラー (著)、興陽館
【私の評価】★★★☆☆(73点)
目次
1 「こんな自分なんて」と自分を決めつけていないか
2 あなたの人生は何が決めるのか
3 人生の3つの課題に出会ったとき
4 体と精神はいかに影響しあうのか
5 体形、行動、性格
6 誰もが「劣等感」を心に持っている
7 犯罪者、自殺願望者、道を外れるひとたち
8 教育の難しい子どもたち
9 甘やかされたひとの架空の世界
10 そもそも神経症とはなにか
11 性的倒錯者たち
12 子ども時代の最初の記憶
13 母親と父親が子どもの成長に与える影響
14 白昼夢と睡眠時の夢
15 「生きる意味」とはなにか
付録 カウンセリングで気をつけること
個人心理学のチェックリスト
著者経歴
アルフレッド・アドラー(Alfred Adler)・・・1870-1937年。オーストリア出身の精神科医、心理学者、社会理論家。フロイトおよびユングとともに現代のパーソナリティ理論や心理療法を確立し、個人心理学を創始した。実践的な心理学は、多くの人々の共感を呼び、アドラーリバイバルともいうべき流行を生んでいる
アドラー心理学関連書籍
「生きる意味―人生でいちばん大切なこと」アルフレッド・アドラー
「アドラー心理学入門」岸見 一郎
「自己肯定感を高める、アドラーの名言」桑原晃弥
「30日間で生まれ変わる!アドラー流 心のダイエット」佐藤 綾子
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