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【書評】「定年後の人生を変えるアドラー心理学Adler's Barへようこそ」八巻 秀

2025/04/21公開 更新
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「定年後の人生を変えるアドラー心理学Adler's Barへようこそ」八巻 秀


【私の評価】★★★★☆(89点)


要約と感想レビュー


共同体感覚とは

最近5冊くらいアドラー関係の本を手元に集めて、集中して読んでいます。それらの中でも、この本がとてもわかりやすかったので紹介します。この本では、夜のカウンターバー「Adler's Bar」のマスターがお客さんの悩みにアドラー心理学の考え方を説明しながら、アドバイスする形式となっています。


例えば、引退後、若い人ばかりの職場で仕事をすることになり、素直になれず、怒りや悲しみを感じている人がやってきたら、対等に尊敬しあう「共同体感覚」を説明しています。職場では上下関係があるかもしれませんが、相互に尊重しあう対等な関係もあるはずなのです。対等に尊重しあうためには、まず、自分から相手を尊重する必要があるというわけです。


対等に尊重し合う大切さ・・ご自身は店長を「リスペクト」しています?・・相手を尊重、つまりリスペクトしてこそ、自分も尊重してもらえる(p14)

未来主義・楽観主義とは

過去のことばかり考えて、悪いことばかり思い出してしまう人には、「未来思考」と「楽観主義」を説明しています。


「未来主義」とは、過去は忘れて未来のこれからを良いものにするために行動することです。「楽観主義」とは、同じように、どんなに悲惨な状況であっても、自分にできることを考え、今できることに最善を尽くすことです。


過去と現状は変えられないのですから、サンクコストと同じように、今、自分ができることの中でベストの選択をするよう努力するべきなのです。


自分は一体、何をしてきたのだろう・・たとえば3年後の吉田さんが、これからの3年間を振り返って、後悔しないようにするには、どうしたらいいですかね(p46)

ありがとう・うれしい・助かる

アドラー心理学では、人は自分の運命を作り出す力を持っていると考えています。人は現状と理想を比較して「劣等感」を感じますが、この「劣等感」は目標に向かってよく生きるための刺激なのです。ただし、「劣等感」が強すぎると不満、妬みといったマイナス感情に陥ってしまいます。


そこで、アドラーは人を勇気づけて人が目標に向かって行動することを支援するように推奨しているのです。では具体的にどう勇気づけるのかといえば、ありがとう、うれしい、助かるという言葉で伝えるのです。


人は勇気づけられると、自己評価が改善し、結果にとらわれず、自分ができることを考えて行動できるようになるのです。 
 

自己評価が低くなっているとき、勇気づけはとても効果がある(p117)

アドラーの生きた100年前の世界

アドラーが共同体感覚を提唱したのは、第一次世界大戦に従軍した経験によるものです。なぜ、人は協力しあわずに、殺し合うのか。そこに共同体感覚の欠如を見たのでしょう。


欧米では個人主義なので、自分の利益ばかり考えて、共同体感覚が欠如した人が多く、アドラーが生きた100年前には戦争が絶えなかったのです。(今もロシアは戦争しています)


もしすべての人間が、平等な関係で尊敬しあい、助け合って生きていける社会をアドラーは理想としていたのでしょう。アドラーの共同体感覚の考え方は、日本の和の考え方と共通点があると感じました。アドラーの目指した共同体感覚は、日本に存在していたのかもしれません。八巻さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言


・引きこもりの息子・・アドラーは「迷ったときは、広い共同体の声を聞け」と言っています(p64)


・奥さんと娘さん・・「主導権争い」・・平和な環境を築くには、誰でも対等につき合う「横の関係」に意識を変えたほうがいい・・お二人を、家ではなく、別の場所で会わせるんです(p80)


・怒りとは二次感情・・一次感情(寂しい、不安、悲しい、心配、焦る、くやしい、傷ついた、がっかり)→わかってほしい→怒り(p91)


▼引用は、この本からです
「定年後の人生を変えるアドラー心理学Adler's Barへようこそ」八巻 秀
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八巻 秀(監修)、講談社


【私の評価】★★★★☆(89点)


目次

第1章 現役生活からの脱却
第2章 子どもと老親
第3章 妻と男心
第4章 老いと人生


著者経歴

八巻 秀(やまき しゅう)・・・1963年、岩手県生まれ。臨床心理士。駒澤大学文学部心理学科教授。やまき心理臨床オフィス・スーパーヴァイザー。現在、駒澤大学大学院にて臨床心理士養成に携わる一方、やまき心理臨床オフィス(東京都立川市)、駒澤大学コミュニティ・ケアセンターなどで心理臨床活動を行っている。また、家庭裁判所調査官養成課程研修講師、秋田県総合教育センター・岩手県立総合教育センター研修講師なども兼任している。


アドラー心理学関連書籍

「生きる意味―人生でいちばん大切なこと」アルフレッド・アドラー
「アドラー心理学入門」岸見 一郎
「自己肯定感を高める、アドラーの名言」桑原晃弥
「定年後の人生を変えるアドラー心理学Adler's Barへようこそ」八巻 秀


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