「限界を打ち破る 大谷翔平の名言」桑原晃弥
2024/08/30公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(82点)
要約と感想レビュー
大谷の目標設定
大谷翔平の言葉を集めて、大谷翔平の考え方を整理した一冊です。
まず、目標設定については、常に高い目標を設定しています。小学校2年生の時から、「僕はプロ野球選手になるんだ」と言い続けていたという。実際、「160キロを目指していたら、158キロぐらいで終わっちゃう可能性があるので、目標数値は高めにしました」と言っていたくらいなので、意図的に高い目標設定を行っていることがわかります。
また、「二刀流なんて、誰もやっていないんだからできっこないよ」という声に対しては、「誰もやってないからこそ、やってるんです」と大谷は、否定的な助言をばっさり切り捨てています。
野球に関しては、それがとてつもなく楽しかったので、今まで続いているんでしょうね(p97)
大谷の努力について
大谷の強さの源泉は、自分が好きだと思えることのために自分の持てる力、持てる時間のすべてを注ぎ込むことができることでしょう。プロ野球選手なら、練習やトレーニングは誰でもやっています。大谷はそれ以外にも、食事から睡眠まで野球で最高のパフォーマンスができるよう工夫しているのです。
また、大谷は挨拶やゴミ拾い、掃除も大切にしています。大谷翔平が花巻東高校時代に作成した目標達成シートに書いてあるように、運や人間性を高めるために行動しているのです。そして「完璧な1試合の延長線上に完璧な1年がある」と言っているように、野球で結果を出すためにやり尽くした1日、1試合を積み重ねていけるのが大谷の強さなのです。
どうやってエネルギーを取り戻すのか・・可能な限り、長時間寝ます。できることはそれだけなので(p120)
大谷のストレス対策
ストレスへの考え方は教科書レベルの高いものであることがわかります。
まず、自分がコントロールできることに集中し、コントールできないことはできるだけ考えないようにしています。具体的には、投手としては「四球を出さない。長打を打たれない。三振を奪う」ことに集中し、勝ち星は重視しないようにしているという。
また、野球で結果が出ない時にはストレスを感じていることを認めつつ、野球でストレスを感じることは、野球のいいところだと思うと発言しています。つまり、毎日、結果が出て、良かった悪かったと思える野球という職業の楽しいところだというのです。
心理学的にはストレスは無くすものではなく、受け止めるものと言われていますので、大谷もストレスをよいものとして受け止めるように努力しているのです。
メンタルを言い訳にしたくないので。それも含めて技術だと思っています(p134)
大谷の人生で大切なこと
大谷は大リーグ行きを2年待てば何十億円という契約金が入るのに、年俸6000万円でエンゼルスと契約しました。大谷は「お金よりも今やりたいことを優先したい」と言っています。自分にとって、何が大切なのか明確になっているのです。
また、挑戦することについても、「やってみてダメだと実感したら、それはそれでいい。やらないというのがもったいないでしょう。だから、やってみる。で、実感する。自信はそのあとについてくる」と言っています。大谷は、ここまで野球が上手くなったということを自分の中に残したいと言っているのは、本心なのでしょう。ここまで成功哲学の考え方を実践している人をひさしぶりに見ました。
ただ、野球の世界は、ビジネスの世界でいえば、完全自由化された弱肉強食のガチンコの業界です。大谷翔平の考え方は、敵を作らないことが基本であるサラリーマンの世界には適合しないところがあるようにも感じました。桑原さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・何が正解だったのか、何が失敗だったのかは、死ぬ間際にならないと分からないんじゃないかな(p31)
・期待は応えるものじゃなくて、超えるもの。だから、周りが考える、そのもう1つ上を行けたらいいんじゃないかなと(p65)
・お酒・・時間もないですし、トレーニングも結構やってるんで。必死こいて2時間、3時間やったのが、その1杯、2杯で変わってしまうってなってくると飲めないですね(p119)
・まったく違う環境に行くということは、どの分野でも不安なことが多いと思う。でも、さらに良くなる可能性がそこにあったら、僕はチャレンジしてみたい(p24)
【私の評価】★★★★☆(82点)
目次
第1章:挑戦の背中を押す言葉
第2章:大きな目標の掲げ方
第3章:絶えざる成長を追い求める
第4章:挫折の乗り越え方
第5章:応援されるに相応しい人になれ
著者経歴
桑原晃弥(くわばら てるや)・・・1956年、広島県生まれ。経済・経営ジャーナリスト。慶應義塾大学卒。業界紙記者などを経てフリージャーナリストとして独立。トヨタ式の普及で有名な若松義人氏の会社の顧問として、トヨタ式の実践現場や、大野耐一氏直系のトヨタマンを幅広く取材、トヨタ式の書籍やテキストなどの制作を主導した。一方でスティーブ・ジョブズやジェフ・ベゾス、イーロン・マスクなどの起業家や、ウォーレン・バフェットなどの投資家、本田宗一郎や松下幸之助など成功した経営者の研究をライフワークとしている。
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