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「なぜ、自己啓発本を読んでも成功しないのか?」長倉顕太

2024/11/06公開 更新
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「なぜ、自己啓発本を読んでも成功しないのか?」長倉顕太


【私の評価】★★★★☆(88点)


要約と感想レビュー


ベストセラーはタイトルが9割

編集者としてビジネス本や成功哲学本を1100万部以上売ってきた著者は、どんな本がベストセラーとなるのか過去の例を調べ続けてきました。すると不思議なことに、当たり前のことしか書かれていないビジネス書がベストセラーになっていくというのです。


多くのベストセラーには、つかみとなるタイトルがあったり、どこか安心できて、馴染みのある波乱の物語が書かれてあるというのです。著者は、ベストセラーを買う一般大衆は、単に快感や安心を得るために他人の物語を求めているにすぎないのではないかと仮説を立てています。


そもそも成功者の波乱の人生ストーリーは、何も行動しない凡人にとって意味のない物語です。不完全な凡人たちは、自身の心の穴を埋めるために、完全なる神的な偶像を求め続けているだけではないのかと、著者は推察するのです。


スピリチュアル・・たとえば「前世のせいですよ」と言って今のあなたのせいではないと自己重要感を満たしてくれるだろう(p45)

成功しないのは行動しないから

同じように著者が編集者として疑問に思っていたのは、「なぜ、自己啓発本を作っている編集者が成功していないのか?」ということです。ここで、著者は「成功」の意味を、財産を持っていることと定義しているようです。なぜなら、著者は自己啓発本に書いてあることを実践して、「年収は30倍以上」「家賃100万円以上」「海外と日本の二拠点生活」という結果を出したと書いているからです。


つまり、「なぜ成功しないのか」の答えは、99%の人は行動しないからです。成功につながる行動をせず、99%の人と同じ生活を続けているだけだから何も変わらないのです。その理由としては、日本社会は何をしなくても生きていける、生温すぎる社会だからである、と著者は分析するのです。


日本では何も考えずに、いい学校、いい会社に進めば、問題なく生きてはいけます。ただし、それは、周囲に気を使いながら、我慢する人生になってしまう。他人が決めた人生を生きるだけの、くだらないに人生になってしまうと著者は警鐘を鳴らすのです。


日本は生温すぎる・・私の場合、自分の寿命は「60歳」と決めているので、残された時間で何がやれるのかを常に考えるようにしている(p185)

人との出会いで人生が変わる

著者がここまで尖がっているのは、大学生時代からカジノのプロになりたいと考え、実際に1年くらいニューヨークのカジノに入り浸っていたという著者の経歴も影響しているのでしょう。


そんな著者が読者に伝えたいのは、一流の人との出会いで自分の人生が大きく変わったということです。著者は28歳で出版社に入社し、中西という素晴らしい編集長に出会い、編集の技術を磨きました。その後は、自分が好きになった著者だけをプロデュースすることで成果を出してきたからです。


著者は一番重要なのは「誰とやるか」であると断言します。なぜなら、人は好きな「誰か」のためにしか頑張れないからです。また、自分よりも優秀な人と組めば、自分の能力を補ってくれるのです。


世の中の1%の成功者は、一般的な日本の価値観、つまり他人の価値観の外にいるという。著者もそうした人たちと走り続けているうちに、いつのまにか自分の価値観も変わっていったというのです。


結局は「誰とやるか?」が一番重要になる(p118)

熱中できるものを見つけなさい

著者が言いたいのことは、あなたが熱中できるものを見つけなさいということです。そのために、一流の人に会いに行きましょう。成功者の講演会に行ってもいいし、オンラインサロンに入ってもいい。そうした行動が、自分のキャラクターを見つけ、自分の世界観を作る手助けになるというのです。なぜなら、リアルで一流の人を見て感じることで、自分の特徴が覚醒するからです。


そして自分が何者かなのかを言語化し、一貫性を持ちながら情報を発信し続けることで、自分の世界観とキャラクターを作り出すことができます。著者はそうやって、無名の新人をベストセラー作家へとプロデュースしてきたのです。


生活が安定すると人は守りに入るので、著者は積極的に「不安定」を作っているという。自分に刺激を与えるために、海外に1か月以上行ったり、人に会う機会を作っているのです。一番いいのは、会社を辞めることだという。確かに刺激になりますね。長倉さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言


・「他人の夢」を語るようになっていく。そうやって多くの人は、本当に空回りの人生を送ってしまう(p45)


・自己啓発を学びながら成功した人たちというのは、何らかのどん底を経験した人たちだ・・現代の日本においてどん底を経験する確率は低いだろう(p50)


・上位1%の人間たちは、情報を操作したり、情報を拡散したり、どうすれば大衆が動くのかを熟知している(p70)


・結果を約束する・・それを実現させる方法(=環境)が段取りされていく。なぜそれをやるのか?誰とやるのか?何が必要か?そうやって環境が整っていくのである(p193)


▼引用は、この本からです
「なぜ、自己啓発本を読んでも成功しないのか?」長倉顕太
長倉顕太、知恵の森文庫


【私の評価】★★★★☆(88点)


目次


第1章 「すごい人」にはなれない現実
第2章 「不安情報社会」の闇
第3章 自分の人生を手に入れる「キャラクター」のつくり方
第4章 落ちて落ちて「ゼロ」になれ!
第5章 「言葉」と「お金」をコントロールしろ!
第6章 「死」という同伴者とともに生きろ!



著者紹介


長倉顕太(ながくら けんた)・・・作家・プロデューサー・編集者。1973年、東京生まれ。学習院大学卒業後、いくつかの職を経て28歳の時に出版社に転職し、編集者としてベストセラーを連発。今までに企画・編集した本の累計部数は1100万部を超える。現在はコンテンツのプロデュースやこれらを活用したマーケティング、2拠点(ホノルル/サンフランシスコ)生活の経験を活かしたビジネスのオンライン化/テレワーク化のコンサルティング、海外での子育ての経験から教育事業などに携わっている。


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