「改訂版 データ分析できない社員はいらない」平井明夫
2024/11/05公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(80点)
要約と感想レビュー
移動平均で周期変動を補正する
挑戦的なタイトルですが、中身は仕事で使うデータ分析例です。データ分析のコツは、グラフ化で見える化してわかりやすく伝えることがポイントでしょう。
この本では最初にZチャートが説明されています。Zチャートとは、横軸に月を、縦軸に売上をとって、月々の売上と売上累計と移動年計を一つの折れ線グラフにしたものです。移動年計とは、その月までの1年間の売上を合計した数値です。つまり一年の売上ですが、月をずらしていくことで、季節による変動を補正して全体として減少傾向にあるのか、増加傾向にあるのかが見える化されるのです。
もちろん1年間で変動するのではなく、四半期で変動するのであれば、3ヶ月移動平均を見てもよいのです。
誤差のバラつきを調べたところ、4カ月が一番小さいとの結果が出たため、4カ月移動平均を採用することにしました(p131)
セグメント別・月別に分析する
QC活動では層別と表現しますが、売上を担当者別、顧客別、商品別などセグメント別に分析することで、何かが見えてくることもあるでしょう。
また、売上は小さいものの勢いのある商品を見つけるのなら、ある時点を100%とし、それ以降の数値を百分率で表示し、折れ線グラフにしたファンチャートを使えばよい。
営業なら売上見込を売上確定、受注残、見積中、引合中などの確度別に整理してみると、売上見込の確度が見えてきます。
このように月別にデータを把握することで、月単位で異常を検知して、対応することが大事なのだと感じました。異常があるとわかれば、ヒアリングなどを行い、真因を把握すればよいのです。
仮説が間違いないかの検証・・実際に関係者にヒアリングを行うなどしてデータでは測りえない原因を探る(p52)
在庫を管理する
データ分析でもっとも明確に効果が現れるのが、在庫管理ではないでしょうか。なぜなら、在庫を減らせば、在庫を購入する資金が減り、成果が金額で把握できるからです。
まず、商品別在庫回転期間(月数)=平均在庫高÷月平均出荷高を把握します。在庫回転率が低い商品、例えば3.0より低い商品は、発注方法を見直して、在庫を圧縮してみましょう。
また、交差比率=在庫回転率×利益率を計算してみると、儲かっている商品がわかるという。例えば交差比率が200%であれば、在庫1万円であれば、2万円の粗利益を生んでいる良い商品ということです。交差比率が低い商品は、在庫あたりの粗利益が小さいので、何かを見直さなくてはならないというシグナルになるわけです。
滞留在庫分析の例・・X軸に在庫回転月数を、Y軸に在庫金額を置き、バブルの大きさで年間売上高を表す(p103)
固定費の配賦は問題が多い
管理会計においては、固定費と変動費に分けて集計したうえで、損益分岐点を計算したり、部門別損益、製品別損益、顧客別損益を見ていきましょう。特に注意すべきは、固定費の配賦方法です。
通信費(パソコン台数)、地代家賃(フロア面積)など明確で、わかりやすい経費は問題ありません。問題は本店の役員や広報、人事、労務など、事業部が直接関係せず、コントロールできない分割しにくい経費です。無理にこうした固定費を配賦すると赤字でない事業も、赤字に見えてしまい、成長の芽を潰すことにもなりかねないのです。
月別のデータを取りながら、月毎に変化に対応していきたいものです。平井さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・商品価格と販売数量(需要)の関係をグラフにしてみましょう・・商品の適切な価格を割り出す(p60)
・経費目標の達成度を見る・・月ごとの実績累計、予算累計、予算達成率をグラフにした(p85)
・予算管理の取組み・・各部門が参加してコミュニケーションをとりながら合意形成・・ノルマとして降りてくるのでは、士気の向上は望めません(p170)
▼引用は、この本からです
平井明夫、クロスメディア・パブリッシング
【私の評価】★★★★☆(80点)
目次
序章 データ分析の目的って?
第1章 売上を増やすためのデータ分析
第2章 コストを減らすためのデータ分析
第3章 在庫を最適化するためのデータ分析
第4章 利益を管理するためのデータ分析
第5章 部門ごとに変わるデータ分析のやり方
著者紹介
平井明夫(ひらい あきお)・・・BI(ビジネスインテリジェンス)コンサルタント。DEC(現、日本HP)、コグノス(現、日本IBM)、日本オラクル、アイエイエフコンサルティングにおいて、一貫してソフトウェア製品の開発、マーケティング、導入コンサルティングを歴任。特にBI(ビジネスインテリジェンス)を得意分野とする。現在はフリーランスとしてコンサルティング、市場調査、講演/執筆などに取り組んでいる。
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