【書評】「数値化の魔力 「最強企業」で学んだ「仕事ができる人」になる自己成長メソッド」岩田圭弘
2025/07/24公開 更新

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【私の評価】★★★★☆(85点)
要約と感想レビュー
キーエンスで全社営業1位を獲得
キーエンスで3期連続で全社営業1位を獲得したことのある著者から、キーエンスの強さの秘密を教えてもらいましょう。キーエンスでは「売上」「粗利」だけでなく、「電話の回数」「アポの件数」「面談の件数」「商談化の数」など、「プロセス(行動)」を日々数値化し、管理しています。
イメージとしては、月の個人目標としてメール250、電話240、アポ60、面談24、商談化16、受注12などという数字があり、日々メール13、電話13、アポ2、面談1、商談化1、受注0などと実績を記録するのです。
つまり、チームとしてその半期の目標を達成するために必要な行動が設定され、その数値を達成できるか毎月、毎日、チーム単位、個人単位で記録しているのです。著者のいた営業部門では、朝礼でその日の行動目標を入力させて、夕礼で行動結果を入力させる仕組みなっていました。
そうしたデータの積み重ねにより、本社で設定する目標の実現可能性は±3%の誤差しかなかったという。
キーエンスでは本社で目標が設定されますが、その精度は実現可能性に対して±3%の誤差になっています(p255)
目標は3割増しでクリアする
著者がキーエンスで営業1位になれたのは、会社から与えられた目標の3割増しで、個人目標として設定していたからだという。何かうまくいかないことがあっても、3割増の目標を目指しているので、会社の目標は確実にクリアできるわけです。
仮に途中でうまくいかない場合、「行動の量を増やす」か「行動の質を高める」か選択することになります。著者のお勧めは「行動の量」を増やしていくことです。なぜなら、「行動の量」を高めるほうが、「行動の量」を高めるより容易だからです。
実際、日々の行動量をコントロールしていくと、週末や月末には目に見えて結果が変わってくるというのです。「行動の量」を増やしてみると「なんだ、悩む以前に、そもそも量が足りていなかったのか」と気づくことが多かったという。
ちなみにキーエンスで成果を出している人は、平均の人の2倍の行動をしているそうです。
「才能」だの「テクニック」だのという以前に、「行動の量」が圧倒的に異なるのです(p146)
生産性の高いことに集中する
しかし、「行動の量」を増やすためには、限られた時間を「何にどれくらい割いて、何をしないか」を変えていかなくてはなりません。例えば、「面接数が足りなかった」とすれば、なぜ面談数が足りなくなったのか、その原因をなぜ、なぜ、なぜと追究します。
原因がわからなければ、「他人の数字」と比較することでボトルネックが見えてくることもあるでしょう。もし、「重要ではないが緊急な仕事」に忙殺されているのであれば、他の人にまかせるとよいのかもしれません。「重要でも緊急でもない仕事」はやらないという判断もありえるのです。
問題が発覚した場合は、このようにリソースの配分に問題がないか確認したり、仮にメンバーのスキルに問題があれば、再教育を行うという。つまり、限られた営業マンの時間をいかに生産性に転換させるのかに注力しているのです。
見える化・・週次で、どの業務にどのくらいの時間を費やしたのか記録して数値化する(p242)
数値化はストレスがなくなる
電話からアポイントを取れる転換率(電話240→アポ60=25%)といった数字を把握していくと、「行動の質」のボトルネックが見えてくるという。そこでキーエンスでは、「転換率の目標」と「転換率の実績」の比較、「過去の転換率」と「転換率の実績」の比較、「他人の転換率」と「転換率の実績」の比較と多元的に見て、分析しています。
日々の数値化によってボトルネックが見えたら、管理職はその場で、改善策を指示できるというわけです。
こうした緻密な管理によって職場がギスギスしているかといえば、それは逆でキーエンスの離職率は3~5%台です。著者によれば、数値化によって逆に社員の「不要なストレス」がないというのです。
私の印象は数値化とは、手を抜いている人が存在しにくくなり、地道に行動している人が見える化され、公平な仕組みだと感じました。だからこそ、多くのやる気のない人は「数値化」に反対するのでしょう。
キーエンスの「無駄な努力」を0にし、「結果につながる努力」に100%注力しようとする姿勢に感銘を受けました。岩田さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・キーエンスでは現在、午後9時には完全退社しなくてはなりません(p127)
・ターゲットの属性を明確にする・・・社員数100~300人規模の製造業によく売れていることがわかれば、「社員数100~300人規模の製造業」をターゲットにする(p196)
・「仕事の結果」とは結局、確率によって生まれる・・だからこそ、「確率を最大限高めること」(p37)
・マネジメントにおいて最も危険なことは、「変化に気づかない」ことです(p250)
▼引用は、この本からです
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岩田圭弘 (著)、SBクリエイティブ
【私の評価】★★★★☆(85点)
目次
序章 "キーエンス 数値化の魔力"とは何か?
第1章 数字で「自分の行動」を見える化する
第2章 数字からボトルネックを見つける―「行動の量」編
第3章 数字からボトルネックを見つける―「行動の質」編
第4章 "キーエンス 数値化の魔力"―実践編
終章 チームで実践する"キーエンス 数値化の魔力"
著者経歴
岩田圭弘(いわた よしひろ)・・・アスエネ株式会社 共同創業者 兼 取締役COO。慶應義塾大学経済学部卒業後、2009年にキーエンスに新卒入社。マイクロスコープ事業部の営業を担当。2010年新人ランキング1位を獲得。その後、2012年下期から3期連続で全社営業ランキング1位を獲得し、マネージャーに就任。その後本社販売促進グループへ異動、営業戦略立案・販売促進業務を担当。2015年、三菱UFJリサーチ&コンサルティングに転職。小売、医薬、建設業界の戦略策定、新規事業戦略策定に従事。2016年にキーエンスに戻り新規事業の立上げに携わる。2020年アスエネに参画。
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