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【書評】「キーエンス流 性弱説経営 人は善でも悪でもなく弱いものだと考えてみる」高杉 康成

2025/07/28公開 更新
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「キーエンス流 性弱説経営 人は善でも悪でもなく弱いものだと考えてみる」高杉 康成


【私の評価】★★★★☆(84点)


要約と感想レビュー


性弱説経営とは

営業利益率が50%を超え続ける超高収益企業キーエンスの秘密は、性弱説経営にあると解説する一冊です。性弱説経営とは、人は弱いものであり、その前提で成果を出す仕組みを作っているというのです。


例えば、営業担当者は管理職に対し、事前報告と事後報告を行います。事前報告で管理職は、準備状況を確認します。面談シナリオはどう考えているのか。面談資料は何を準備したのか。営業担当者の説明スキルは十分か確認するのです。そして説明スキルを確認するために、顧客を想定したロールプレイングを行うことが多いという。


つまり、必要な知識や能力が準備できているのか、必要な情報を時間内に聞き出すためシナリオができているのか管理職が責任を持って確認するのです。


事前事後報告・・「事前準備状況確認」の確認が中心です・・・・ここで役に立つのがロールプレイングです(p136)

役立ち度が高ければ高くても売れる

また、キーエンスの商品開発方法も、性弱説で説明できるという。


普通の会社でよくあるパターンは、顧客の要望通りに商品を作ったのに売れなかったというものでしょう。キーエンスでは、顧客から集められたニーズそのまま新商品に採用することはないというのです。


キーエンスでは、なぜ必要とされるのか、今まではどんな方法でやっていたのか、どれぐらいの時間・工数が削減できるのか、徹底して情報収集するのです。商品を売るときにも、「現状の課題の大きさ」を説明し、商品を導入すると課題を解決し、どれくらいのメリットが生まれるのか定量的に説明するというわけです。


キーエンスでは「役立ち度が高ければ、高く販売できる」という確信のもと、「人手不足対策に役立つ」「接客対応の効率化が図れる」など役立ち度の高い用途を探し続けているのです。


先輩からよく言われた言葉があります。「それは、顧客の意見ですか、それとも事実ですか」(p11)

ハッピーコールとは

性弱説に立つと、日々の業務管理も緻密にならざるをえません。キーエンスでは毎月営業担当者が、目標を設定して活動しますが、月の中日に中間会議を実施するという。


中間会議の目的は、このままで目標を達成できるのか、取り組みはこのままでよいのか確認し、必要があれば修正するというのです。言葉が悪いのですが、営業担当者を放置して、月末に目標達成できなかったとすれば、管理職の責任は重大であるということなのでしょう。


こうした緻密な業務管理は、「ハッピーコール」と呼ばれる営業担当者が面談した顧客に対し、上司が電話して面談の様子を確認することにもあわられています。キーエンスでは日報には面談時間を記録する欄があり、面談時間は業績評価に影響します。「ハッピーコール」は面談時間が正しいのかどうか確認する意味もあるのです。


キーエンスでは、毎月の売り上げ目標は1/2の確率で達成できるかどうか、という高い目標を掲げないといけない(p96)

人事でも360度評価を実施

性弱説は人事にも展開されており、キーエンスでは一定の等級以上の社員について、等級が適切かどうか360度評価しています。キーエンスにあるのは、「頑張る人に損をさせない」「嘘をつく人に得をさせない」という、どこまでも真実を追求する姿勢なのです。


私事ですが、私は「業務をグリップしろ」と言われて育ってきました。キーエンスでは、同じように経営者が従業員の活動をグリップしようとしているのだと感じました。つまり、性弱説経営とは、口だけの人を排除し、常に現場の行動と現実をグリップしようとする取り組みなのです。


口だけ番長には厳しい会社だと思いますが、実務ができる人にはよい会社なのだと思います。高杉さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言


・先月の予算が達成率87%で未達・・謝罪ではなく真因を求める(p143)


・ホームページ・・・活用事例が掲載されたホワイトペーパーが大量に存在しダウンロードできる・・・会員登録してダウンロードすると、数日以内に営業担当者からフォローの連絡が入ります(p221)


・キーエンスのルール・・「白シャツ着用」「業務時の高級腕時計着用禁止」(p231)


▼引用は、この本からです
「キーエンス流 性弱説経営 人は善でも悪でもなく弱いものだと考えてみる」高杉 康成
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高杉 康成 (著)、日経BP


【私の評価】★★★★☆(84点)


目次


第1章 高収益を生み出すカラクリ
第2章 キーエンスの強さを支える「性弱説」
第3章 性弱説視点で人を動かす
第4章 性弱説視点でモノ・カネ・情報の質を高める
第5章 「仕組みを動かす仕組み」が持つ価値


著者経歴


高杉 康成(たかすぎ やすなり)・・・1969年大阪府生まれ。コンセプト・シナジー代表。経営学修士(MBA)。中小企業診断士。日本屈指の高収益企業、キーエンスの新商品・新規事業企画担当を務めた。退職後、新規事業や新製品開発、ビジネスの付加価値向上などの分野において、大企業から中小企業まで幅広い業種・企業の指導に携わる


キーエンス関連書籍


「キーエンス流 性弱説経営 人は善でも悪でもなく弱いものだと考えてみる」高杉 康成
「数値化の魔力 「最強企業」で学んだ「仕事ができる人」になる自己成長メソッド」岩田圭弘
「キーエンス解剖 最強企業のメカニズム」西岡 杏
「キーエンス 高付加価値経営の論理 顧客利益最大化のイノベーション」延岡健太郎
「付加価値のつくりかた」田尻 望


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