【書評】「差別化戦略で 小が大に勝てる‐まんがでわかる ランチェスター理論を経営・営業に活かす方法」坂上仁志
2025/05/19公開 更新

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【私の評価】★★★★☆(84点)
要約と感想レビュー
ランチェスター戦略とは
ランチェスター戦略といえば、第一次世界大戦の頃の戦略論ですが、会社経営にも応用可能な基本的な理論です。
総力戦の戦闘力は、兵力数の2乗となります。したがって、兵力の多い強者は相手に合わせて消耗戦を戦いながら、弱者を叩いていくのが基本となります。トヨタが他社のヒット商品と同じような商品を、すぐに投入してくるのはこのためです。
局地戦の戦闘力は、兵力数に比例するので、弱者はとにかくニッチを狙い、差別化して局地戦で勝つことを目指します。マツダがドライビングの楽しさに集中し、すべての車種を独自デザインで統一しているのは、弱者として正しい戦略なのです。
弱者はとにかく、競合局面(1地域、2顧客、3商品、4流通など)で1位を目指すことです(p31)
経営理念と戦略と徹底力
この本ではランチェスター戦略を実行するために大事なのは、経営理念、戦略、徹底力であるとしています。経営理念があるから、社員の思いが統一されて、社員が動いてくれます。
経営理念として、ミッション、ビジョン、バリューなどを決めている会社も多いので、参考にするとよいのでしょう。
著者は、「経営理念とは行動である」とし、いくら見た目のよい経営理念を作っても、社長の行動しだいであるとしています。最終的には、社長の人格がお客様や社員から評価され、経営理念との整合を検証されるのです。
理念がハッキリしないので、人がついてこない、戦略がないので、いきあたりばったり、徹底力がないので、どれも中途半端(p2)
人と違うことをする勇気をもつ
弱者のランチェスター戦略は、差別化をすること、人と違うことをする勇気をもつことです。著者は、いい地域、いい顧客、いい商品に一転集中して「他者の3倍」の差別化を推奨しています。3倍やれば、そのニッチな市場で1位になれるというわけです。
一般的な商品で日本一になるのは難しいかもしれませんが、地域、顧客、商品の特徴を絞れば、日本一も目指せるのです。どうせなら日本一を目指せる目標を作りたいものです。
競争に勝つには、選択と集中が大切です・・攻撃目標については、1どこ(地域)、2だれ(顧客)、3なに(商品)の3つの視点があります(p69)
社長の成長が不可欠
徹底力のためには、社員の成長が必要であり、そのためにも社長の成長が不可欠であるとしています。著者が小さい会社の社長にお勧めする習慣は、「掃除」と「管理会計」と「社員とコンパ」です。
社長自らが毎日掃除をし、毎日数字を確認し、社員とのコミュニケーションに時間を割くのです。著者も人材会社の社長時代には毎日トイレ掃除をし、手書きの葉書を10年書き続けたという。
当たり前のようなことですが、実践が大切であるとわかりました。坂上さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・「ホメろ!楽しめ!感謝しろ!」私はこの言葉が大好きです(p215)
・自分には自分に与えられた道がある・・自分だけの道を歩き、「これでいいのだろうか」と誰でも迷います。それでも、自分の道を歩く。これこそランチェスターです(p218)
・マーケティングとは・・お客様中心の発想への転換をするということ・・「相手が喜んでくれるだろうか?」と思うことが大切です(p199)
▼引用は、この本からです
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坂上仁志 (著)、ウェッジ
【私の評価】★★★★☆(84点)
目次
プロローグ 最強可憐な「メリー・ポピンズ」
第1章 差別化/一点集中を実行!
第2章 No.1を目指せ!
第3章 社長の心得
第4章 社長の成長が社員の成長
エピローグ 戦略・理念・習慣で勝てる企業になる!
著者経歴
坂上仁志(さかうえ ひとし)・・・株式会社フォスターワン代表取締役社長。講演家。経営コンサルタント。早稲田大学講師(2011年)。ランチェスター戦略の専門家。一橋大学卒、新日鉄、リクルートなどに勤務後、起業
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