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【書評】「鯱もなかの逆襲」古田憲司

2025/07/08公開 更新
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「鯱もなかの逆襲」古田憲司


【私の評価】★★★★☆(86点)


要約と感想レビュー


老舗「鯱もなか」の復活

2025年、仙台の和菓子「三色最中」を製造している壽三色最中本舗が自己破産しました。一方、名古屋の「鯱(しゃち)もなか」も廃業寸前でしたが、著者夫婦が事業を引き継ぎ、売上を10倍にした!というのがこの本なのです。


大正時代から続く老舗「鯱もなか」も、コロナ禍で売上が10分の1まで激減し、従業員もゼロ、大型製造機も売却してしまいます。先代は儲からないし、お土産需要で生産量の変動が大きく、家族経営で休みもろくに取れない「鯱もなか」を廃業しようとしていたのです。


そこで起こったのがコロナ禍です。売上は旅行者の急減に伴い10分の1まで激減。賞味期限の近づいた商品がうずたかく積み上げられた様子をみて、著者夫婦が立ち上がったのです。


「鯱もなか」がよく売れたのは、コロナ支援サービス「WakeAi(ワケアイ)」です。200件の注文があっただけでなく、「「鯱もなか」の歴史を守ってください」という温かなコメントが多数届いたのです。


コロナ禍という最悪の状況の中で、著者夫婦は「鯱もなか」の事業継承を決めるのです。


100年以上という長きにわたって愛されてきたお菓子は、それだけで大きな価値があります(p21)

「鯱もなか」を建て直す

著者夫婦の作戦は、著者が一人でやっていた不動産事業の収入を柱としながら、「鯱もなか」を建て直していくことです。 午前中はあんこを炊き、午後は不動産事業の事務処理を行いました。


まず、古くなっていた公式サイトのリニューアルを行い、ネット購入できる体制を整えました。そして、お試し価格(当時1200円)で送料無料の鯱セットを公式サイトのトップに大きく載せたのです。


前のパッケージは中身がイメージできないので、「鯱もなか」の商品写真が載っている新しいパッケージを作りました。パッケージの変更だけで、売店の売れ行きは1.5倍以上になったという。


鯱セット・・・お試し価格(当時1200円)に設定、さらには送料無料にして、ECサイトのトップに大きく載せました(p52)

コラボ企画で飛躍

お土産の販売は、売店での場所取りがすべてを左右するというのが業界の常識であったという。そこで後発の著者は、ネットを活用しつつ、コラボ企画に力を入れていきます。


まず、改装資金2000万円のうち、1700万円を自己資金と融資で準備し、残りの300万円をクラウドファンディングで支援をお願いしました。しかし、なかなか支援が集まらない。著者の必死の「鯱もなか」のピンチツイートに愛知県出身の4人組アイドルグループTEAM SHACHIが、鯱からみで支援表明してくれたのです。


ライブ配信SHOWROOMでのイベント「元祖鯱もなか本店イメージガール決定戦!」がらみで知り合ったSKE48中坂美祐さんとのコラボでは、「鯱もなか」提供の「SKE48中坂美祐もなかさかラジオ」をスタートさせました。


そうしているうちに、藤井聡太棋聖と永瀬拓矢王座の将棋 棋聖戦の勝負おやつに抜擢されたり、NHK「クローズアップ現代」に取り上げられることになるのです。


「鯱もなか」のことを話題にしていた投稿・・・「いいね!」をする、コメントで反応する、引用して拡散する(p136)

企画はこちらから持ちかける

コラボ企画のコツは、「鯱もなか」の強みである歴史と伝統を武器にこちらから話を持ちかけることだという。まずはメッセージをしてみると、何らかの反応があるというのです。実際、何でも手を出している印象です。そこで知り合った人から、いろいろな協力関係を作り出すのです。


そうしているうちに、鯱もなかは「幸運の神様」、手土産に鯱もなかを持って行くと、100%仕事を受注できる!といった口コミも生まれているという。


著者の夢は「名古屋の定番お菓子」ですが、十分可能ではないでしょうか。古田さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言


・仲良くなりたい企業公式のキャンペーン情報などを積極的にリポストしました(p165)


・自分にないものを持っている人と親しくなる(p158)


・仲良くなりたい相手とは短期間に3回会う(p159)


▼引用は、この本からです
「鯱もなかの逆襲」古田憲司
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古田憲司 (著)、ワン・パブリッシング


【私の評価】★★★★☆(86点)


目次


第1章 名古屋銘菓「鯱もなか」が消える!?―跡継ぎは元バンドマンと専業主婦の若夫婦
第2章 「鯱もなか」復活への布石―日の目を見る機会を虎視眈々と狙う
第3章 ついにその時が来た―運命を変えた1本の『Yahoo!ニュース』
第4章 雪だるま式にファンが増えていく―SNS発・「鯱もなか」×「○○」のコラボ力
第5章 小さな事業体が戦うための秘訣―多数の味方をつくる古田流・人脈形成術
第6章 そして未来へ―「名古屋肯定感」を上げる起爆剤に


著者経歴


古田憲司(ふるた けんじ)・・・1984年、愛知県一宮市生まれ。大学4年生のときにCDデビューを果たした元バンドマン。その後、フリーター、無職、商社、外資系メーカー、不動産業などさまざまな職歴を経て、2021年より妻の家業である明治40年創業「元祖 鯱もなか本店」の4代目として夫婦で事業を引き継ぐ。コロナ禍で廃業の危機に瀕した店を、SNSを中心とした独自のマーケティング術で売り上げを10倍に回復させた。夢は「鯱もなかを名古屋土産の定番お菓子にする」こと、ひいては「地元名古屋を盛り上げていく」こと


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